[scudelia:cinema] Magical Mystery Tour

 

 八百萬神々之國
date:2005/05/03 to 06 

 

□□□名探偵コナンにあえる街□□□

□白兎海岸を後にする際に立ち寄ったローソンの観光ポスターにちょっと面 白いスポットを見つけた。『コナン通り』とある。ちょうど次の目的地の途中にあるので行ってみることにする。旅の行程は大枠だけを決めておいて後は時間がゆるせばオプションを差し込んで行くのがよろしい。あらかじめ予備知識で理論武装して訪れるの場所もあれば、こうした予期せぬ 寄り道というのも旅の趣に奥行きを与えてくれるものだ。
右の写真は道中に見つけた国道沿いの干物の土産物屋。店先でイカの干物(つまりはスルメだな)がクルクルと回転している。装置下部のモーターでスルメを乾燥させるための枠を回している様子。
回転させることによってイカを風にさらして乾燥を促進させると共に、イカにハエが集るのを防いでいるのだろう。以前テレビで見かけたことがある。大量 に吊されたイカが高速でクルクル回転しているすがたはついつい笑いをさそう。しかし、この装置の最大の性能は格好のアイキャッチとなり客を呼び込むことにあるのではないだろうか。 あぁ、かくも素晴らしき寄り道天国。

 

□このサイトを見ている諸氏なれば鳥取県の境港市にある『水木茂ロード』はもちろんご存知かと思われる。境港市はかの「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木茂氏の出身地であり、街の一角にはいたる所に氏のマンガに登場するキャラクターのブロンズ像を多数ディスプレイしてある。近年では水木茂記念館もオープンしたらしい。今や鳥取県においての超有名観光スポットになっている。タケダのこの旅の通 過地点にあるのだが、数年前に彼の地を訪れたことがあるので今回はパスしてしまう予定でいる。しかし一見の価値アリなので一度は訪ねてみるといい。

□『コナン通り』というからにはあの少年マンガ『名探偵コナン』に他ならない。ここ大栄町は『名探偵コナン』の作者の青野剛昌氏の出身地らしく、先述の水木茂ロードの向こうを張って町中に名探偵コナンのブロンズ像が飾られており、街には有志の運営する土産物屋(コナングッズ専門店)、その名も『コナン探偵社』まである。

□ちょうど街の入口に道の駅があり観光客はそこに車を停めて徒歩で街を散策に出かけていく。大栄町の特産品はスイカらしいのだが、街自体は何とも殺風景な印象を受ける。水木茂ロードの二番煎じの感は否めないが、名探偵コナン人気で今では少々の観光客は訪れているようだ。しかしながらG/Wにもかかわらず街を散策する人の影はまばら。
公共の施設や公園、または橋の欄干の上などに置かれているコナン君のブロンズ像ではあるが、時折眼鏡を剥がれたものや、片腕をもがれたものを見受ける。おそらく悪戯だろう、非常に残念なことだ。いつもながら日本人のモラルの低さには情けない思いをさせられる。

 

 

□□□大山と牛乳の写真館□□□

 

□鳥取県を海岸線に沿って西へと車を走らせる。あいかわらず頭上には気持ちのいい青空が広がっている。この空のターコイズブルーと新緑の緑とのバランスが醸し出す景色が夏の訪れを感じさせる。
そうこうするうちに視界の左前方にに衝立のような山が現れた。黒く沈む山肌に所々白いものが見える。山肌の露出か、それとも残り雪か、、。それにしても美しい山だ。さぞ名のある山に違いない、と助手席の家内に話しかける。う〜ん、きっとあれが“だいせん”。あぁ〜そ〜、あれが“だいせん”ねぇ。ひょっとして“だいせん”って“大山”って書いたりする?あ、やっぱりぃ、、。恥ずかしい話、いままで“おおやま”だと思ってた、、、。で、その大山って今回の予定には入ってないの?心配しなくても今からあそこに行くのよ。
とコ・ドライバのナビに従い、いざ大山へ向けてハンドルを切る。

 

□道の両脇には牧場や広大な農地が広がる。あぁ、のどかだ、こういうのを牧歌的というのだろうなぁ。そんな大山の山道を、タケダはブイブイ車を走らせる。
話は変わるが植田正治という写真家をご存知か?ご存知ないだろうね。実は世界的な巨匠なのだがあまり知名度は高くない。なにを隠そうタケダもそれほどくわしくないのだ。

□植田正治(shoji ueda 1913-2000)は鳥取県境港市に生まれ、早くから写真による創作活動をはじめる。氏の写 真は被写体のあるがままの姿を捉えるのではなく、複数の被写体を徹底した配置の上でフィルムに収める「群像演出写 真」というスタイル。この演出写真は写真誕生の地フランスでも植田調として広く紹介されている、、、、らしい。ただそこにあるものにむかいインスタントにシャッターを切る行為が、どうしても表現活動とは認めることの出来なかったタケダにとって植田氏のスタイルは非常に共感を覚えるものだった。ゆえに山陰を旅するにあたってはこの植田正治写 真美術館はどうしても外すことはできないスポットだった。

□植田正治写真美術館(正称:伯耆町立写真美術館)は大山を背景にした田園風景のロケーションの中にある。しかしながらこの全くの鉄筋コンクリートの箱が国立公園大山の光景を損なうことなく成立している。建築家、高松伸氏の手による仕事なのだが、これは秀逸だ。タケダも少々現代建築を訪ね歩いているが、この建物はなかなかのものだ。先にも述べたように附近の景色との調和が良い。それが自然の風景であればよけいに調和が望まれる。しかし、それが難しい。また、構造物に大きなスリットを設け意図的に光の通 り道を作ることによって、人工池の水面に雄大な大山の姿を映し出すとい手法が用いられている。これはまるで写 真機の原理だ。その景色(作品と呼んでもいいかもしれない)を屋内のプロムナードの椅子に腰掛けてゆっくりと眺めることが出来るという演出。ほかにもこの美術館の大きな特徴ではあるのだが、映画館のような一室に部屋の内外を繋ぐようにレンズが設置されている。部屋の灯りを落としてレンズを開くと反対側の壁に外の景色が逆さまに映し出される。キャメラ・オブ・スクーラをご存知、、、ないよねぁ。ピンホールカメラならわかると思うのだが、実はこの部屋じたいが巨大なピンホールカメラになっているわけだ。この建築家、かなり写 真に精通している様子。この植田正治写真美術館、植田氏の演出写真と共に高松氏の建築作品とを2重に堪能することが出来る。う〜ん、この充実感、五臓六腑に染み渡る(なんのことやら)。

 

 


大山はそれほど標高の高い山ではないが(ちなみに標高1725m)視界いっぱいの平野に向けて穏やかにその裾を広げる姿が美しい。“自称登山家”としてはいつか機会をみて登ってみたいものだ。ガイドブックによると夏山登山道があるらしい。
植田正治写真美術館を後に再度大山へ向けて車を走らせる。次の目的地は大山の中腹にある「大山まきばみるくの里」という観光用の放牧場。ちょっとばかり新鮮な牛乳を堪能しようかという算段である。当初、放牧場というイメージからのどかな草原を期待していたのだが、牧場の駐車場は観光客の車でごった返していた。その辺の路肩がすべてパーキング状態。こ、これはしまったかもしれない、、、。人混みの苦手なタケダの脳裏に嫌な予感がはしる。
牧場ってのはさぁ、もっとほら、牛とかがその辺で草をはんでたりして、時々遠くでモォ〜〜〜なんてのが聞こえたりして「のどかだねぇ〜」と和んだりするからこそ牧場たりえるのだ。その辺の草むらで家族連れが所狭しと押し掛け、搾りたて牛乳で作るソフトクリームの売店には数十キロの行列ができ(大げさな、、)、土産物屋はギネスに挑戦するかのように買い物客が詰め込まれている。とりあえず瓶入りの牛乳とシュークリームだけを買って「大山まきぼみるくの里」を後にする。蒜山同様、この大山の牛乳も徳島のキョーエイに売ってるし、、。

 

 

□□□レイクサイドサンセットアベニュ□□□

 


 

どうだい、この夕日。絶品だろう。徳島に住んでいると気の利いたサンセットにはちょっとお目にかかれないからねぇ。宍道湖湖畔の東側にはこのサンセットを見るためにプロムナードが設けられている。傍らには島根県立美術館がありガラス張りのエントランスからもこの夕焼けを堪能できるという設計。タケダは無料で堪能できるプロムナードに陣取る。
そう、実はすでに島根県に移動している。地図でみる宍道湖は琵琶湖よりもずっと小さいのだが、実際にほとりに立つとこの湖の広さを思い知る。この宍道湖の広さも、浜辺を吹く風の爽やかさも、そしてこの夕日の美しさも、地図を眺めていたって全然分からないんだ。
宍道湖といえば宍道七珍。シジミとか手長エビとか、、、えっと、あと何だっけ、、、食べてないから分からない。

 

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