[scudelia:cinema] Magical Mystery Tour

 

 八百萬神々之國
date:2005/05/03 to 06 

 

□□□大迷惑!大砂丘大作戦!□□□

□夜が明けた。重装備で来ているとはいえ車中での寝泊まりにだけに快眠というわけにはいかない。それでもこのスタイルで何年もやってきているわけで、もうすでに慣れっこになってしまっている。
昨夜寝床にしたのは大砂丘の真ん前の大きな有料駐車場。親切に夜間は解放してくれていたのだ。その上有り難いことに道の駅のようにサニタリーの設備も充実している。行楽シーズンともなるとこうしたスペースにはタケダのような「車で寝泊まり組」が全国各地から集まり、深夜にもかかわらず駐車場が満車になるという世にも奇妙な現象が発生する。
目が覚めたのは5時くらいだろうか、車の外に人の気配が増えてきた。そろそろみんな起き出す時間らしい。さて、僕らもそろそろ起きるとするか。

□まずはサニタリーで洗顔と歯磨きをして朝食の準備に取りかかる。今日も良い天気だ。朝食といっても昨夜ジャスコで仕入れてきたおにぎりとサラダ、そして家から持ってきた即席のお味噌汁。ストーブとコッフェルがあると何かと助かる。お湯を沸かせるだけでも暖かい味噌汁やコーヒーを作ることができるし、その気になればもう少し凝った料理もつくることが出来る。旅先での食事で要注意なのはどうしても外食やコンビニものにかたよりがちなのでビタミンとか繊維質が不足しがちになることだ。意識的に野菜をとったりドリンクで補充する必要がある。最近ではサプリメントという手もある。

 

□駐車場を出ると、そこは即、砂丘。早起きをして一番乗りをしようと思っていたのだがちょっとゆっくりしすぎた様子。砂丘にはすでに沢山の観光客が訪れていた。こんなに早く来ているのは僕らと同様の駐車場にお泊まり組だろう。おぉ〜っとこうしてはいられない、急がないと。
大砂丘を直に見るのはこれが初めてなのだが、実は想像していたほど“大砂丘”ではなかった。思ってたよりも規模が小さいように思う。もっと見渡す限り地平の果 てまで砂丘なのかと思っていた。(そりゃぁ砂漠だろう!)しかし見渡す限り砂、砂、砂。砂だらけ、いや、砂しかない。ただの砂でも沢山あれば観光名所になってしまうのか。
砂しかないのだから入口からみようが、どこから見ようが同じだと思うのだけれど、せっかく来たのだからとみんな丘のようになった高台へと歩いていく。ほとんどの人たちが勾配のなだらかになっている部分を歩いていくのだが、タケダのような天の邪鬼は人と同じ道を歩くことに抵抗を感じる。少々つらい道でも人とは違う道を行くのだぁ〜、と急な坂道を登ることにした。、、したのはいいがこれがけっこうキツイ。下から見るぶんにはそんなに急勾配には見えなかったのだが実はあまかった。この性格が災いして普段から損な道を選んでいるんだろうなぁ、とちょっと反省。

 

□昨夜のうちに風が砂丘を渡り砂の上に模様を残していった。これを風紋という。朝早くに砂丘に降り立たなくてはならない理由はこの自然のつくりだしたアートを見るためだった。人が大勢訪れたあとではせっかくの風紋も踏みつぶされて跡形もなくなってしまうだろう。

□丘の上から下をみると平たく開けた部分がある。これはっ!と思い家内にカメラを預け砂丘を駆け下りる。おもむろに砂の上に落書きを描きだすのであった。家内に怒られてあとでちゃんと消しておいた。

□鳥取と言うことで、梨のソフトクリーム。まぁまぁイケている。

 


□砂丘の出口の休憩場に足の砂を落とすための水道の蛇口が設けられている。たかだか足についた少量 の砂でも、年間何万人(何十万人?)の観光客が訪れるとなるとそれなりの量 になるのだろう。蛇口で洗い落とされた砂は再度砂丘へもどされるのだという。
駐車場に帰ると、車のウインドウに駐車料金を払うようにとの張り紙がはられてあった。ありがたいことに宿泊費までは請求されなかった。


 


 

□□□現実と虚構の因幡の白兎□□□

ダヤンダヤン号は朝のすがすがしい陽射しの中、鳥取県北側を海岸線に沿って西へ走っている。しかし本当に今年のG/Wは良い天気に恵まれている。

次の目的地まで時間があるので少し古事記の話をしよう。大国主(おおくにぬし)という神様をご存知だろうか、七福神のなかの大黒様のことでもある。大国主というのは「偉大なる国の主の神」という意味の名前なのだが、伝説上、この国を初めて支配したのが大国主だとされている。
つぎに「因幡の白ウサギ」の話は知っているだろうか。大国主がまだオオアナムヂの神(注:穴の中の偉大な神という意味の名前)とよばれていたころの話。彼には80柱の兄弟がいた。(注:神様の人数は柱という単位 で数える)
この80柱の兄弟神はヤカミ姫に求婚すべく因幡へ会いに出掛けるのだが、オオアナムヂは彼らの荷物持ちとして同行させられる。道中、砂浜で皮をむかれて血だらけになったウサギ(注:宇佐女「うさめ」、宇佐の国の女がウサギとして伝わったという説もある)が横たわっている。このウサギは海を渡るために鮫(注:一説に鰐「わに」と伝わるのを鮫と解釈しているが、和邇「わに」、つまり朝鮮人のことであるという説もある)を騙したためにこのような姿にされてしまったのだが、意地の悪わるい兄弟神たちは海の水を浴びて風あたれという嘘の治療を教えたため、これを信じたウサギはいっそう体を悪くする。そこに大きな荷物袋を抱えて(注:大黒天が袋を抱えているのはこの事に由来する)あとから通 りかかったオオアナムヂはウサギから話を聞いて心を痛め、まずきれいな水で体を洗い、浜に生えているガマの穂にくるまるように教える。実際ガマの穂には止血効果 があり、このことが日本で初めての薬品処方であると言われている。実はこのウサギはヤカミ姫の使いで、この話を聞いたヤカミ姫は80柱の兄弟神ではなくオオアナムヂを結婚の相手として選ぶようになるのだった。

古事記とは地方に伝わる神話・伝承の類をまとめた日本最古の書物で712年(奈良時代の初め)に成立したもの。ゆえに基本的にはフィクションであるのだが、不思議なのことに日本各地にはこの古事記に登場する舞台が多く実在している。
ここ白兎海岸も先の説明で皮をむかれたウサギが横たわっていたとされる海岸。
そして奇なることに浜辺にはガマが本当に自生しており、タケダが訪れた時には茶色い穂を実らせていた。まさか1300年前から生息しているのか、または現代になって故事にまつわり植種されたものなのか。いったいどこまでが現実でどこからが架空なのやら。
こうした場所というのはあまり世間から注目されることはないようで、訪れる人はあまりいない。かえってタケダには好都合。

『白兎海岸』

 


□白兎海岸のすぐ近くにこのウサギを祀った『白兎神社』がある。一応、愛読の古事記にまつわる神社なので参拝をする。社はそれほど立派なものではないのだが一応本殿と拝殿を持っている。境内には古事記の中でウサギが体を洗ったとされる池が存在している。おぉ、これがそうかぁ、、、ふむふむ、なるほど、う〜ん。と文献に登場する場所を訪ねては自己満足に浸るのも旅の醍醐味ではなかろうか。

□白兎海岸の正面に「ハマナス自生南限地帯」という標識を見つけたので一応寄り道をする。タケダの旅はいつだって寄り道天国なのだ。

 

さぁ、次の頁へ進むのだ


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