茄子

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登場人物
天野=天野美香。天使。24くらい。
秋月=秋月裕一。大学生。21。自殺志願者。茄子が天敵。
佐田=佐田。悪魔。20〜30。
高澤=高澤博史。カウンセラー。26くらい。茄子が憎い。
久保=久保ヨウコ。クライアント。22。茄子が苦手。
森瀬=森瀬正造。老人。茄子が嫌い。

全日本茄子撲滅同盟
  代表:高澤   メンバー:秋月、久保、森瀬、佐田。


茄子 第0幕   舞台暗いままで  テレビのニュース(音声、かすかに) 昨夜6時すぎ比嘉岬付近の海岸で女性の死体が発見された事件で・・・・ 持ち物などから久保ヨウコさん21歳であると・・・・ 自殺したものとみて捜査を・・・・(F.O.)
第一幕    電車の中。  SE−電車の音  明るくなる  座席に天野と秋月が並んで座ってる。 天野:で、なんで麻婆茄子かっていうと、その時たまたま近くのスーパーで茄子が安    かったの。ただそれだけ。ピーマンが家にあったから、後は挽肉とにんじんを    買って家に帰ったの。 秋月:(せりふの途中で)あの、・・・ 天野:え? 秋月:・・・・ 天野:なによー 秋月:あ、いえ。いいです。 天野:気になる。なんなのよ。 秋月:・・・怒らない? 天野:ええ。 秋月:僕を馬鹿にしたり、軽蔑したりしない? 天野:大丈夫だから。いってごらん。 秋月:・・・・僕と一緒に死にませんか? 天野:・・・・(ただの沈黙) 秋月:あ、ほら、やっぱり怒った。 天野:怒ったわけじゃないの、ちょっとおどろいっただけ。    でも、どうしてそんな事をいうの? 秋月:・・・ 天野:何かつらい事でもあったの?たとえば、会社を首になったとか 秋月:僕はまだ大学生です。 天野:じゃあ、単位が足りなくて卒業できそうにない? 秋月:単位はもうそろってますし、大学院への進学も決まってます。 天野:それじゃあ・・・・あ、分かった。彼女にふられたんだ。 秋月:彼女はいません。 天野:今まで、ずーっと? 秋月:前はいました。 天野:前は? 秋月:ええ、別れたんです。あ、でも、それは関係ありません。 天野:だったら、どうして死にたいなんて? 秋月:なんだか虚しくなったんです。 天野:虚しく? 秋月:今朝、いつものように目が覚めました。時間は・・・    そう7時半くらいだっただろうか。夢を見ていたような気もします。    いえ、それは、もしかしたらテレビから流れて来ていたニュースだったのかも    しれない。これもいつものことだけど、テレビは目覚まし代わりにと、時間に    なったらつくようにセットしているから。どちらにしても、その夢の内容はす    でに記憶になく、ただ、ぼーっとテレビを見ていました。    そのあと、朝食を作るためキッチンに行きかけて、ふと、パンをきらしていた    事に気がついたのです。近くのコンビニまで買いに行こうかとも思いました。    今朝はわりと暖かかったので、外に出るのを億劫には感じませんでした。    ただ、その時僕の心には言いようのない虚しさが浮かびあがってきたのです。 天野:パンがなかったというだけで? 秋月:分りません。    パンがなかったからなのか、それまで気づかなかっただけなのかは。    コートを着ていくかどうかは迷いました。今朝はわりと暖かかったから。    でも、北に行けば寒いかもしれないと思って、とりあえずコートを手にして駅    に向かいました。 天野:駅に? 秋月:そのまま電車に乗るつもりだったのです。    でも、朝食を食べてないことが気になって、そして、そう意識したとたんおな    かが空いてきたのです。駅前に朝からやっている定食屋があって、そこで朝食    をとることにしました。朝のメニューは日替わりの定食だけなので、それをた    のみました。ご飯と味噌汁と焼き魚に卵焼き。それだけならよかったのですが、    後一品、漬物がついていたのです。茄子の漬物が・・・。 天野:茄子の漬物がどうかしたの? 秋月:僕、茄子がだめなんです。あの、紫色の皮を見るだけで、言葉では言い表せな    いような嫌ーな気持ちになるのです。 天野:茄子を見ただけで? 秋月:そうです。    言いようのない虚しさから逃げ出すように旅に出た僕は、その最初を茄子に    よってけがされてしまったのです。 天野:ただ、茄子が定食についていたっていうだけなんでしょ。    そんなに大袈裟に考えなくても・・・ 秋月:あなたにとっては「ただの茄子」かもしれませんが、僕にとっては大変なこと    なのです。    今までの人生、茄子のせいで僕がどんなにつらい思いをしてきたか・・・・。    僕にとって、茄子は・・・、茄子は天敵なんです!!  SE(電車の音)大きくなる  SE(電車の音) C.O.  天野、去る
第二幕    会議室のような部屋、茄子撲滅同盟の本部である。  秋月、久保、佐田、森瀬が座っている。 久保:ねえ、明日の休み、なんか予定ある? 秋月:べつに、これといってはなにも。 久保:だったら、映画でも見にいかない? 秋月:いきましょう。ちょうど見たい映画があったんです。  (秋月、久保、今はやっている映画について何か話す) 久保:じゃあ、決まりね。で、映画見た後、家に行っていい?  高澤が現れる 高澤:おはよう。 4人:おはようございます。  BGM(茄子撲滅同盟のテーマ) 高澤:久保君、JN剤の開発状況は? 久保:現在試作第三号の最終テストを行なってるところよ。それで、追加のサンプル    の購入と実用実験の許可がほしいんだけど。 高澤:サンプル購入は許可しよう。    実用実験については次回の産地襲撃時まで待ってくれ。 久保:わかったわ。 高澤:佐田君、工作員からは何かあったか? 佐田:はい。東雲地区の自治会で危険な動きがあるという報告がありました。    報告書です。  佐田、報告書を高澤に渡す  高澤、報告書に目を通す 高澤:・・・茄子嫌い矯正運動? 佐田:自治会主導で地区内の子どもの茄子嫌いを治そうという運動です。    茄子の栄養面での評価を分析したデータや茄子嫌い克服のためのレシピなどを    載せた冊子を発行するようです。 高澤:気になる動きだな。 佐田:調査を進めます。 高澤:いや。この件は私が直接調べよう。君は通常の任務を続行してくれ。 佐田:はい。 高澤:他に報告はないか? 秋月:あのー 高澤:何だ? 秋月:新規志願者の対応についてなのですが・・・  秋月、書類を高澤に渡す  高澤、書類を見る 高澤:22人か。多いな。・・・  高澤、書類を秋月に返す 高澤:1週間後に面接審査を実施。    それまでに志願者全員の出生時まで溯った経歴を調査するように。 秋月:はい。 高澤:他には?  全員無言 高澤:よし。    茄子撲滅のための5ヶ条!!    一つ、決して茄子を食することなかれ 4人:一つ、決して茄子を食することなかれ 高澤:一つ、決して茄子を調理することなかれ 4人:一つ、決して茄子を調理することなかれ 高澤:一つ、決して茄子を作ることなかれ 4人:一つ、決して茄子を作ることなかれ 高澤:一つ、見つけた茄子は速やかに処分すべし 4人:一つ、見つけた茄子は速やかに処分すべし 高澤:一つ、裏切り者は速やかに処刑すべし 4人:一つ、裏切り者は速やかに処刑すべし M(茄子撲滅のテーマ) F.O.  高澤、佐田、久保去る
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