2002 summer aso-retry touring
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 岡崎城からR502の山間の道を東へ向かい県道7号を少し南下する。『原尻の滝』というのを御存知だろうか。実際には一般 的な知名度はそれほど高くないだろう。以前ニュースステーションで中継されていたのを見て僕も初めて知った次第だ。しかしながら豊後のナイアガラと云われる原尻の滝が夜の闇の中にライトアップされた光景は僕を旅に駆り立てるに充分な景色だった。残念ながらこの景色を人に伝えるボキャブラリーを僕は持たない。 だから、自分で見に行くしかない。

 ありがちだが『原尻の滝』の観光用駐車場を兼ねて道の駅が開設されている。実のところこの道の駅というのはとてもありがたい。僕のような旅をしていると良い休憩所を提供してくれるし食事もとれる。時には宿泊にも利用させてもらっている。団子汁はこの辺の名物なのだそうだ。


ん?これは何きてぃーだ?

なるほど、カボスキティーだったか

朝昼兼用団子汁定食

 

河原に沸く天然温泉、料金無し、脱衣場無し。と云う温泉が全国あちらこちらにあったりする。去年訪ねた岐阜県の下呂温泉にも同じ様な河原の露天風呂があった。

原尻の滝からは少し複雑に田舎道を繋いでいく。まず元のR502へ戻った後、県道46号(緒方朝地線)→R57&R442→県道209(朝地直入線)と走っていくとそこは直入町、『長湯温泉』。山間にひっそりとたたずむ小さな温泉街だ。変なお土産屋が乱立し観光客でごった返す湯布院よりもよほど落ち着いて休養できる。

 ツーリングマップルで「河原の露天風呂、入浴自由」と紹介されている『カニ湯』と云う温泉があった。是非行ってみたいと思っていた。思って居たのだけれど到着したカニ湯は掃除中。瞬時に下呂温泉のことが思い出された。(2001能登ツーリングを参照)「すみませーん、今日はお風呂入れないんですかー」河原の下へ問いかける。「今掃除終わったから一時間したらおいでー」。おお、ということは一番風呂か!待つ価値ありだな。

 河原で服を脱いで記念撮影をしようとカメラと三脚をセットしてタイマー撮影をしていると、河原の上から観光客らしいおばさんが冷やかしの声を掛けてくる。「あんた〜、写 真取るならあっちの向きのほうがイイでしょう」とか。気にしない気にしない、あ〜〜極楽、極楽。このカニ湯は泉源にパイプを突き刺してあるだけで湯船に間欠泉の状態で吹き出している。別 にポンプアップしているわけでもないし炊き直しをしてもいない。吹き出したお湯を河原の湯船の中に捨てているという状態。湯温は38℃くらい。
長湯温泉にはこのカニ湯の他にも近くに、炭酸性のお湯が沸き出す露天風呂『ラムネ温泉』(200円)や数カ所の町営温泉40円と安価に楽しめる温泉もたくさん。もちろんちゃんとした温泉宿も何軒もある。情緒たっぷりの温泉街でした。
 
【カニ湯伝説】〜河原の看板から〜
昔、長湯温泉を流れる川に大きなカニがいた。ある日、カニは、色白の美しい村の娘に一目惚れをしてしまった。そして、人間になって娘を嫁にしたいと思うようになった。たまたま、そんなカニの切ない思いを知った川のほとりにある寺の僧が「寺の鐘を百聞けば、人に生まれ変われる」と言い聞かせた。そこで娘が湯浴みに来たとき、僧が鐘をつき、カニは川の中からこれを聞いていた。僧が鐘をつきながらふと娘に目をやると、娘のあまりの美しさに、これまた一目惚れ。鐘を九十九までついて「娘はオレがもらう」と言って娘に近づいたとたん、空がかきくもって、大雨となり、僧もカニも落雷にやられてしまった。しばらくして、川の大水が引いたところ、川の中にカニの形をした大岩が現れ、無数の泡をともなった湯がわきだした。以来村人達は、これを“カニ湯”と呼ぶようになった。

 


三日月の滝公園

竜門の滝

霧にむせぶ由布岳


カッパに着替えました

 長湯温泉から北上しやまなみハイウェイへ出てくる。道中、小雨に見舞われ雨合羽に着替える。今年のタケダはひと味違う、合羽を持ってきた(2001秋足摺ツーリングを参照)。コンビニで買ったビニールのやつだけどね。このところツーリングに出ると雨に降られる。雨男ってヤツか?まぁ、雨が降れば雨の中を走り、風が吹けば風の中を走る、それが旅ライダーってもんだろう。あまり悪い気はしない。雨が降ると法定速度を守る善良なライダーにもなってしまう。
 
実のところここから先の予定は立てていなかった。やはり漠然とこの辺をこう廻って・・・というくらいしか考えていなかったので行く先を求めてさまようことになる。せっかくの日程を縮めてしまうのも勿体ないので早いとは思いつつ寝床を探して走り出す。まずは玖珠町の三日月の滝公園へ行く。レジャーキャンプの家族連れやカヌーをしたり水泳をしたりする人がたくさん訪れている。彼らは目的としてキャンプをしにきているわけで、旅の手段としてキャンプしている僕とはチト趣が違う。っと云うわけで次の寝床を探す。近くにある竜門の滝。火山活動の名残だろうか?滝沢の斜面 が格好のウォータースライダーになっている。「うぉ〜、楽しそうだぜぇ〜」・・・なんて行っている場合ではない。ここもレジャーキャンパーでむせ返している。滝見物をするのにバイクを駐車するところがなく困っていた所へ「竜門茶屋」というお土産屋のおっちゃんが店の前に止めさせてくれた。いい人だ。いい人ついでにバイクでキャンプできるところを聞くと、丘の上に見えるオートキャンプ場を奨めてくれた。料金が1000円で水も使い放題とやけに詳しい。バイクに乗って云われた通 りの丘の上のキャンプ場に行くと管理棟も何もない。看板を見ると「滝見キャンプ場〜お問い合わせは竜門茶屋へ〜・・・・おい、おい。

 なんて云ってるうちに17:00をまわる。無理に滞在することを諦め今夜の内に徳島へ帰ることにする。全く持って無計画極まりない。


伊予市の夜景、高速道路から

帰り道、大分市で夕食代わりにマクドナルドへ立ち寄り港へ向かう、ろくな物食ってないなぁ。
21:00発のフェリーに乗ってまた来た道を引き返していく。家についたのは日付がかわって翌日の01:30。アクセルを握り続けて右手にはマメが出来るし上体を支えた腰も痛い。なのに家についてもしばらくは気持ちが紅葉(注:高揚の間違いです、またか)して眠れなかった。旅の余韻と・・・不完全燃焼の残りかすになってしまった無念さで。こいつぁ、秋にもう一度リターンマッチだな。

 e p i l o g u e

何はともあれ今回のツーリング反省点は2日目以降の計画性の欠如だろう。今になって佐賀関から鹿児島へ向かえば日程中に佐多岬にたどり着けたのではないか、阿蘇からでも無理をすればそれが可能だったのでは、夜間走行で徳島へ戻れるのならオールナイトで走行すればたどり着けたのでは等々。後悔は後を絶たない。また九州へ来よう。次は鹿児島だ。と心に誓いつつすでに今から来年の夏へ向けての準備が始まっている。


さぁ、次は何処へ行こう・・・。

走行距離:1,036km
費用:20,531円

 

 

 


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