睡眠不足・睡眠欠乏
乳幼児期のお子様の場合
乳幼児期の睡眠異常に伴う睡眠欠乏は、脳の発育・発達が著しく抑制されることがあります。重症では運動発達やコミュニケーションに問題が現れ、注意欠如多動性障害（AD/HD）、 「自閉症」的な症状が出現します。お子様に次のような症状は見られないでしょうか？
１歳～１歳６ヵ月を過ぎても・・・
1. 夜間、睡眠中にしばしば目を覚ます（3回以上）
2.トータルの睡眠時間が9時間より短い 3.一度目を覚ますと1時間ほども起きている
4.日中、機嫌が悪くよく泣いている
この様な症状がある場合は睡眠に問題があると疑い、早い段階での治療をおすすめします。
学童期のお子様の場合
学童期の夜型生活習慣が入眠時間のシフトをおこし、睡眠不足が慢性化すると「睡眠不足症候群」をもたらします。重症化すると、逆に「過眠型睡眠障害」となり、日常生活が壊されて不登校状態に。不登校は「こころの問題」などと簡単に片づけられない中枢神経の疲労状態なのです。次のような症状に心当たりはありませんか？
1. 夜間睡眠中に何度も目を覚ます（乳幼児を含めて）
2. 大きなイビキ
3. 日中不機嫌でイライラしている
4. よく泣く
5. 保育所や幼稚園に行きたがらない
6. 頭痛や腹痛が多い
7. 一日中眠気を訴える
8. 朝起きて学校に行くまでにぐずぐずと時間がかかる（行き渋り）
9. 土曜・日曜日・休日はお昼まで寝ている
10. 成績や部活の伸びが止まってしまった、あるいは急激に伸びた（頑張っている）
11. 朝起きることができず学校に行けなくなった
本人は全く気付いてなくても、あてはまる問題があれば睡眠障害を疑いましょう。
「睡眠不足・睡眠欠乏」で考えられる睡眠障害
睡眠不足症候群
睡眠の質の低下・睡眠時間を削って頑張る生活暦の慢性的な睡眠欠乏により脳の働きが保てなくなる
睡眠時無呼吸症候群
鼻閉や肥大した口蓋扁桃（扁桃腺）やアデノイドにより、睡眠時に無呼吸・低呼吸を繰り返すため酸素不足になり、脳が何度も覚醒（目が覚める）
睡眠時の症状
・大きないびきを繰り返す
・呼吸が数秒間止まる
・眠りが浅く、何度も起きる
・座ったまま寝るなど変な寝姿勢
・陥没呼吸（呼吸時にみぞおちがペコペコへこむ）
・咳き込む ・寝汗、夜尿
起床時の症状
・寝起きが悪い
・不機嫌
・口が渇いている
・頭痛
日常生活
・鼻がいつも詰まっている
・よく中耳炎になる
・口呼吸
・アデノイド顔貌（口をポカンと開けて舌を突き出した特有の顔つき）
・長時間の昼寝（幼稚園、小学校での居眠り）
・哺乳や食欲の低下 ・イライラして怒りっぽい
・発育・学力の遅れ ・注意力散漫で落着きがなく、無気力
・疲れやすく、すぐにイライラして不機嫌になる
夜尿症
5歳以上になっても夜尿が続く場合は薬物治療やアラーム療法などの治療を。
過眠状態
不登校状態の80%に認められる睡眠リズム異常です。日常学校社会生活が困難になります。
「睡眠不足・睡眠欠乏」で考えられる睡眠障害
睡眠相後退症候群
• 夕方から夜にかけて目が冴え、0時前には眠れず入眠が午前0～2時以降になるため昼夜逆転傾向となる。 • 一度、寝付くと中途覚醒はほとんど無く10時間あるいはそれより長く眠る。
• 社会の活動開始時間に起床できない。自然に目が覚めるのは昼ごろとなり、遅刻・欠席・欠勤状態となる。
• 長時間睡眠にもかかわらず睡眠質低下に伴う日中の眠気、頭痛、倦怠感、食欲不振・増加が見られる。
• 勉強・仕事に集中できない。
• 慢性化し、学業・仕事を続けることができない。
• うつ状態が現れる。
• 日本だけでなく世界的な問題で不登校（ひきこもり）の主原因。
• 治療が極めて困難である。
ナルコレプシー
・睡眠発作（日中突然に強い眠気発作が出現する）
・情動脱力発作と呼ばれる全身にわたる脱力発作が、笑い・喜びなどの感情の高ぶりに伴って見られる
・入眠時幻覚 ・睡眠時の麻痺(金縛り)
小児慢性疲労症候群
・中枢性の疲労状態
・少なくとも３か月以上、睡眠や休養によっても改善しない疲労状態が続くため、日常生活が50%以上障害される。
・甲状腺機能障害や血液の病気、感染症など一般的な医学的検査により異常が見出せない
・自律神経症状・神経内分泌症状・免疫系症状
・不可解な病態から日常社会生活が長年にわたり障害され、本人のみならず家族を巻き込む大きな社会問題となっている
