【シート表皮の張り替え】


町中で見かけるボロいオートバイに乗っかっているシートってよく破けてたりしていて、そういうのを見るとホントに格好悪いなぁと常々思っている。その破れたところをガムテープでふさいでたりするとさらに格好悪い。それが自分の所有するオートバイだとかなり許せない気がするのだが、きっとその手のオーナーは一向に気にしないのだろう。
困ったことにパリダカのシートがあちこち破れている。これはイケない。さて、張り替えるにもショップに出す予算もないしなぁ、、、。レザー生地を買ってきて自分で張り替えるという手もあるが、経験がないしなぁ、、、。

「眉山のふもとで椅子の革張りをしている職人さんがいてバイクのシートも安く張り替えてくれる」という噂を思い出した。MSイズミさんで紹介してもらったのが写 真の中村内張店さん。本職は椅子の革張り屋さんである。
地図で場所を探しながら訪ねていくと、眉山の麓とは聞いていたが、ホントに山の斜面 の真下にその仕事場はあった。
「あの〜、、ここでオートバイのシートを張り替えてくれるって聞いたんですけどぉ〜」
口コミだろうか、すでに仕上がったバイクのシートが何点かおかれている。オートバイ専門の店(店というか、仕事場って感じ)ではないので表皮の種類の選択幅はあまりないのだが、いろいろと現物を見せていただきながら決めることにする。
ノーマルはツルツルの表面でブレーキを掛けた際に腰がタンクまで滑っていくのが難点だったのですこしグリップ感のある革にした。少し複雑な形状のシートなので大丈夫かな、、、、キレイに仕上がるかなぁ、、、、。と心配しながらの依頼であったが、ここをこうしてあっちをこうして云々云々と打ち合わせをしていると、さすがはプロの職人!と感じる受け答えが返ってくる。
例えば「ここのラインはシワにならずに巧く出せますか?」「ノーマルは一体だけど、ここをこういう風に縫製して形を出した方がキレイだからそうするね」「雨が入らないように内側にシールしたいんですけど」「内側の縫い目をこの方向に処理するから濡れても水はしみ込まないよ」等々。仕事がら色んな職人さんと一緒に仕事をさせてもらうことが多いのだが、“職人”という人々の腕の善し悪しはだいたいこうした事前の打ち合わせの話し方で分かる。腕の良い職人さんは実践に基づいた経験を背景に持っているので的確な返答が返ってくる。そういう人は話の中にはったりを交えない。そうでない職人さんは話が頓珍漢な方向へ跳んでいき、話を聞いていてもよく分からない。そして決まって自分を誇張した話し方をする。
中村さんと話をしていて、この人ならイケる、と思った。

シートを預けて待つこと2日。携帯に仕上がりの連絡が入る。噂では(だれの?)個人でのんびり仕事をしているから時間がかかると聞いていたのでちょっと驚き。はやく仕上がりが見たくてワクワクしていたので週末に仕事が終わりしだい急いで引き取りに行った。以前のオンボロのシート(なんといっても20年物なのでしかたないのだが)がこんなにキレイになったのかと一瞬目を疑う仕上がりだった。素晴らしい仕上がり。
若干ノーマルと異なる部分もあるがそれは当然のことなのだ。工場で専門職が専用の型で成形するのに対し、こうしたリペアーの場合は独自の経験と技術でノーマルの形に近づけていくものだ。ここが違う〜〜!などと言うのは素人。
実際に跨ってみると改善したかったグリップ感が良好になっている。文句無しだ。真新しい表皮の黒さが初々しくも感じる。こうして職人達の技術(that's 職人魂!)によってひとつずつパリダカがキレイになっていくのがなんとも嬉しい。ただの古いオートバイが少しずつ宝物に変わっていくのだ。

 

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【スプロケカバー交換】


パリダカがうちに来たときからドライブスプロケットのカバーは写真のとおり破損しているのをプレートを加工して塞いでいる状況だった。破損の状況はパーツの1/4程度がまったく欠けてしまっているという状況。しかしそれを補修しているアルミプレートの加工の仕上がりはまったくプロの仕事だった。はたしてこれをしたのは前のオーナーなのか、それともショップなのか。実はその他にもそうした腑に落ちるヶ所が所々に存在する。
それならそれでそのままでもよいのだが、実は部品取り用のXL125SのエンジンはRのエンジンと共通 だったりするのでこういうところは流用できてしまう。それならそれでそのままでよいのだが、あるならあるでせっかくなので交換してしまおうと志を高く持つことにした(?)。



作業前のパーツ

塗装を剥離する

プラサフにて下塗り

本塗り作業

しかしながらSのエンジンはシルバーでRはブラックなのでそのままでは都合が悪い。しかもシルバーの塗装が随分とやられている。それでもパーツ自体に欠損がないのでたいした問題はない。まずはリムーバーで塗装を剥離しようとするが一向に塗料が剥離しそうな気配がない。数回試してみたが同じ事だった。ためしにステンレスの焼け取り用の塩酸を使ってみたが(おいおい、、、)その労力は報われなかった。あえなくディスクグラインダー&カップワイヤブラシの登場とあいなる(またか、、)。いや〜〜、しかし作業の早いこと早いこと。アルミ素材の場合、母材が傷つくかと思いきや全然平気である。あっというまに剥離終了。
下塗りのプウサフは前回のの余りで事足りてしまった。経済的に大助かり。これ系の何は結構アレだからなぁ、、、(なんか隠語が多いぞ)。
さてさて本塗りのブラックも前回のマフラーを塗装したときの余りで万事オッケーである。

 



それでもって作業終了状況が上の写真。艶消しのブラックを使ったのでスタンダードのエンジン色とは若干色目は違うがこれは仕方がない。おそらくどの塗料でも同じ色は出ないだろう。しかしメーカー純正の塗装はいったいどんな工法を使っているんだろう?耐油性も兼ね備えつつ耐熱性もずば抜けてあるというのはサンデーメカニックでは真似ができない芸当なのかもしれない(耐熱ウレタンなんて聞いたことないし)。

 

 


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