[scudelia:cinema] magical mystery tour

 

2004  jiro-kyu

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昨年からタケダには山登りという一見似つかわしくないような趣味がひとつ加わっている。このサイトを見ている友人諸氏からしてみれば『タケダ+山登り』というイメージがイマイチよく理解できないかもしれない。しかしながら諸君らは「まぁ、そういうこともあるのだろう」と未知の部分を想定によって埋めることで肯定することが出来るのだからうらやましい。それがこと本人にとってみると、自分のことであるにもかかわらず『タケダ+山登り=?』なので始末に負えない次第。
誤解をまねかないように断っておくが、山登りといっても、そびえ立つ断崖絶壁にハーケンを打ち込みながらザイルをたよりによじ登っていくロッククライミングのようなものを想像されては、、、え、しない?それはよかった。ちなみに岩肌を素手だけで登っていくフリークライミングのようなものでも、、、は?あぁ、それならけっこう。
山登りといってもここで言うのはたんに山の頂上を目指して歩いていく気軽なハイキングのようなものだ。ただその歩いていく道がちょっと坂道だったり階段だったりするだけのこと。では、何故山へ登るのか?と聞かれれば、、、あ、そこのあなた、答えを先に言わないように。
それでは自称アルピニスト(?)の次郎笈登頂の様子をどうぞ。


2004年4月29日(木曜日)、非常に良い天気に恵まれた。空には雲一つ無い青空が広がっている。こういうのをピーカン晴れというのだろう。5月1日の山開きを待たずしてタケダの山登りシーズンは幕を開ける。去年は剣山の頂上に登ったので今年はその隣の次郎笈(標高1,929メートル)を目指すのであった。

国道192号線から穴吹川に沿って山へ入っていき、登山口の見の越(みのこし)まで細い山道を車で1時間以上も走っていく。道中、恋人峠(コイトトウゲ)という場所があり近年密かなスポットとなっているそうだ。なんでもフェンスにカップルが自分たちの名前を書いたカギを掛けると、、、、あ〜〜説明するのも恥ずかしい。

 

剣山は、本来であれば5月1日が正式な山開きである。山開きの日には神事があったり餅投げをしたりのイベントが行われるそうだ。それまでは登山リフトは動いていないと思っていたのだが、すでに営業を開始している様子。
タケダが登山口の見の越についたのは午前9時少し前。すでに沢山のハイカーがやって来ていて準備をしている。彼らのほとんどは手練れなのでリフトを使わずに登山口から登りはじめる。僕は前回は初挑戦だったのでリフトをつかったが、今回からは登山口から登ろうと決めていた。ちなみにリフトは片道¥1,000。健康のためにも登山口から行きましょう、、、。
さて、僕らも出発するとしよう。山登りを始めるにあたって登山靴だけはよい物を買い求めた。わざわざ大阪南港のモンベルショップにでかけて店員のアドバイスを聞きながらいくつかの種類を試着し比べて買ったものだ。これが厚手の登山用の靴下と相まって良い働きをしてくれる。
まだまだ山の気温は低いだろうとまったく冬の装いで来たのだが、他の人たちを見てみるとみんな半袖やシャツだけの薄着で出発している。この時点での見の越での気温は9℃、山頂は4℃とリフト乗り場には表示されいた。せめてもと思いトレーナーだけは着ていくことにする。

 



登山口の石段

天涯の花のモニュメント

書籍:天涯の花

見の越に剱神社という神社があり、その石段を登り境内を通って入山していく。まるで神様の山におじゃましますって感じで剣山の山登りは始まる。この時点での標高はすでに1,420メートル。石段を登りきった境内には透明のガラスで出来たモニュメントが建てられている。ここ剣山を舞台に作家の宮尾登美子氏が書いた「天涯の花」という小説があり、それを記念して建てられたものだ。この本は僕も去年の登頂後に図書館に行って借りて読んでいる。透明度の高いモニュメントは剣山系の山脈を背景として映し、その中央には「天涯の花」の表紙につかわれたキレンゲショウマ・パルマータ(剣山系を代表する高山植物。山中に群生地があり7月下旬から8月初旬が開花時期)の写 真があしらわれ、その上に宮尾登美子氏の詩がこう刻まれている。

『さわやかな月光の花は 凛として気高い』

 

 


だ、、、大丈夫ッス、、、、

細い山道では対向する人とすれ違うだけの道幅がないのでどちらかが止まって道を譲るのが山のルール。譲られたほうは礼の代わりに「こんにちわ〜」と声を掛けてすれ違っていく。道端に立ち止まるタケダにも対向者が声を掛けながらすれ違って行くが、決して道を譲っているわけではなかった。入山して5分、すでにへばって立ち往生していた。
この2週間ほど風邪と併発して喘息に悩まされていたので体力が思いの外落ちているようだ。体調が悪いとはいえ仕事が休みを取れないタイミングだっただけに何とか頑張って乗り越えてきた。仕事を頑張って休みの日に休息を取るなんて言うのはタケダ的にはナンセンス。頑張って働いたのならその分頑張って遊ぶのだ。

 

まだ10℃を切るような気温なので山肌には所々溶けきらない雪が残っていたり、雪解けの雫が山風にさらされて氷柱になっていたりする。それでも歩き続けているかぎりは体は温まっているので寒さは感じない。ヘロヘロの体を引きずって何とかリフトの降り口である「西島」までやって来た。ここで標高1,750メートル。登山口からは330メートルの標高差だ。とりあえず体を休めなくてはとベンチに腰掛けて家から持ってきたサンドイッチとお茶で栄養補給。山はイイなぁ〜〜、空気が上手くて、、、、、、なんて余裕はこれっぽっちも持ち合わせていなかった。

 

つづく



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