XLシリーズ系譜図
ここにXLシリーズのラインナップを年代別、排気量別 にあげてみた。
古くは1975年のXL250から始まり1991年のディグリーまで。XLR以降に続く現行XRからはその車種に“XL”の 名前が消えてしまっているので除外した。

 

 

歴代XLシリーズ解説

 

XLV750R(1983年8月)300台限定
アメリカンとして人気のあったNV750の3バルブエンジンや、シャフトドライブもそのまま流用。角型断面 のダブルクレードルフレームを専用に設計し、6.0kg/mというビックトルクを支えた。トリコロールカラーは当時のホンダのイメージカラーでもあった。

XL600R PHARAOH(1985年8月)300台限定
パリダカ人気に乗ってデビューしたビックオフマシン。輸出モデルのXL600Lをベースに、オリジナルカラーが施されている。エンジンはXR系と基本設計は同じだが、市販マシンとしてのデチューンがなされ、スタート方式もセル・キック併用とした。容量 8リットルの燃料タンクや大径デュアルヘッドライトが目を引く。

XL500S(1979年7月)
250Sのマイナーチェンジに合わせ、輸出用だった500Sがラインナップ。エンジンやフレーム、サスなども500用の設計だが、そのシステムやスタイリングは250とまったく同じ。ビッグシングルとしては振動が少なく、それでいて低速から発揮する図太いトルクは一部に強烈なファンを生んだ。
K1(1980年7月マイナーチェンジ) ブレーキの大径化、大型フロントフェンダー、リヤバックの装備、サスのバネレート変更などの細部を変更。インジケーターランプと1体だったメーターも独立した。
K2(1981年5月マイナーチェンジ) XR風ライトカウル(実際のXRは角ライト)の採用とダウンフェンダーによってイメージが変わった。500Sはこのタイプを最期にラインナップから消えた。

XL400R(1982年3月)
250SらかRタイプへのモデルチェンジとともに、輸出用だった500Rも国内市販が検討されたが、免許制度を考慮して400Rとして発売。外観上の250との相違点は、Fブレーキが2リーディングになっている程度。出力は250より5PS高いだけだが、トルクの差が大きくその走りは迫力モノ。

XL250(1975年5月)
オフロード車の市場が確立され、ネーミングもSLからXLへと変わった。72年に発売されたSL250(すでに輸出名はXLだった。)と似ているが、エンジンベースが共通 なだけで総てが新設計されている。125と同時に発売されどちらも白い樹脂製ダウンフェンダーが新鮮。当時としては大柄で車重も重く、それだけに乗り手を選んだ。

XL250S(1978年6月)
驚きの23インチFホイールと、2本出しのエキパイ、そして斬新なデザインによって4ストとレールの概念を変えた1台。アルミを多用し車体重量 も119kgと軽く、動力性能においても2スト勢に対し同等以上だった。キック連動デコンプや、前傾リヤショックなど新機構も盛り沢山。XLの名前が世に知れ渡ったのはこのモデルからだろう。
K1(1979年3月マイナーチェンジ) 1年未満でマイナーチェンジし、燃料タンクのグラフィックが変更された。月刊「ポパイ」で“23インチのワークブーツ”よ呼んで特集を組むほど人気が高かった。
K2(1980年2月マイナーチェンジ) リヤブレーキの容量アップとトルクロッドの装備、丸形メーターへの変更、サイドカバーとFフェンダーの大型化など改良が加えられている。相変わらず人気は高い。
K3(1981年5月マイナーチェンジ) 輸出用のエンデューロモデルであるXRに似せたカラーに変更。だが実際にはXRよりも濃い赤に塗られマニアには不満の声もあった。250Sの最終モデルとなる。

XL250R(1981年11月)
フルモデルチェンジにより、マニア待望のプロリンクサスを採用。新設計のバランサー付OHCシングルは、2PSアップの22PSとなり、同時に6速ミッションが採用されている。されに、先代の特徴だったF23インチタイヤも小径化、全体の仕上げは格段に向上する。ゼッケンプレートを兼ねたサイドカバーやライトカウルが目新しい。

ロジャー・デコスター・スペシャル(1982年 限定車)
MXの世界チャンピオンであるデコスターにちなんだ限定車。タンクのストライプは、彼の母国であるベルギーの国旗を模したもの。装備、諸元に違いはなかった。

パリ・ダカール(1982年7月 限定車)
パリダカの4回大会でXL500R改が優勝し、それを記念して作られた。21リットルのビッグタンクと、リアキャリアの装備が特徴。その他には変更なし。

XLX250R(1983年4月)
林道ファンに絶大な支持を受けていたXLに代わって登場。給排各2本のバルブを放射状に配したRFVCにデュアルキャブを組み合わせた新エンジンは、一気に26PSへパワーアップ。新設計のセミダブルクレードルフレーム、アジャスタブル・プロリンクとの抜群のマッチングにより、扱い易さ、燃費とも一気に向上する。

XLR250R(1985年4月)
XLXの名は1世代のみでXLRへと変わった。エンジンは粘り強さに定評があった4バルブRFVCのOHCシングルで、XLXより2PSアップ、車体もひと回りコンパクトになり5kg軽くなった。さらにフロントブレーキもディスク化された。
(1986年2月マイナーチェンジ) エンジンは小改良のみでフレームとサスペンションを変更。だが寸法も大きく変えたので、前モデルとは全くの別 物になった。デザインも洗練された。
(1989年12月マイナーチェンジ) カラーリングの変更とともに、リヤディスクの装備、エアクリーナーのクイックカバーやTLスポークを採用し、エキパイもステンレス製となった。
(1990年1月マイナーチェンジ) カラーリングを一新。だが内容や装備にはまったく代わりがないまま1万円値下げされ、40万9000円となった。中古市場でも人気が高く、出物は少なかった。
(1990年12月マイナーチェンジ) タンクカラーが代に戻り、エンデューロモデルのXRと類似したロゴデザインになった。やはり装備には変更はなく、今度は価格が1万円引き上げされた。
(1992年8月マイナーチェンジ) 恒例となったグラフィックの変更。タンクからウイングマークが消えてしまった。生産コストの上昇にともない、価格アップされた。
(1993年3月マイナーチェンジ) カラーの変更のみ。さすがにイメージも古くなったという声があり、そろそろニューモデル登場の噂も。

XLR−BAJA(1987年12月)
メキシコで開催されるエンデューロ“バハ”の名前を付けた、ラリーバージョンが登場。大型デュアルヘッドライトとオイルクーラーを装備し、リヤディスクブレーキも250Rに先駆けて装備された。ヘッドライトは重量 増のハンドリングの悪化を防ぐために、プラスチックレンズを採用。35/35Wの2灯ライトは抜群に明るい。

XL−Degree(1991年4月)
YAMAHAのセローに対抗して登場した、新感覚のトレッキングバイク。水冷のDOHCエンジンはトルクフルで、セルスターターの装備と合わせて幅広いユーザーに応えられるモデルといえる。シート高も790mmと低く、女性にも扱いやすい。また37万9000円という価格も手頃で、アウトドア指向のホンダファンには歓迎された。

XL200R(1982年10月)
SL系から受け継がれたエンジンをリファインし、プロリンクサスなどを採用した250Rと、同様のスタイル、装備に仕上げられている。コンパクトな106kgという軽量 な車体に、18PSというパワーはひとクラス上の走りを見せた。セールス的には振るわなかったが評価は高かった。

XL125(1975年5月)
250と同時に発売された、SLからの発展モデル。とはいっても極めてシンプルな内容で、軽量 であること以外は特別に目立った機構は取り入れられていない。ただトレールには珍しいダウンフェンダーを採用したことや、バランスのとれたデザインは今見ても美しい。耐久性も高く、実質燃費も40km/lを軽く越えた。

XL125S(1978年10月)
23インチホイールを採用した250Sの登場とともに125もSタイプとなった。6速ミッションやCDI点火を採用し、前後のサスストロークも大きく伸びた。 XL125R(1982年3月) 250に追従するように、125もプロリンクサスを装備したRモデルひモデルチェンジを果 たす。角断面のスイングアームや伝送系の12V化なども、250Rと同様であった。パワー的には少し非力であったが、エアのフロントフォークとプロリンクのマッチングは良好で、かなりのハイペースで走ることも可能であった。

XL125Rパリ・ダカール(1983年3月)
17リットルという容量のビッグタンクを持たせ、オーバーフェンダーやリヤキャリアを備えたパリダカイメージのマシン。エンジンその他はスタンダードと同じ。

XL80S(1980年2月)
XLという名前で新たにデビューしたが、そのベースとなったのは76年に発売されたXE75だ。えんじんはCBシリーズやノーティーダックス、その他多くの機種に流用されているOHC2バルブエンジンで、信頼性は抜群。兄貴分となる125/250とはデザイン上で似ているが、メカニズム的には共通 点はほとんど無い。開くまでもレジャーバイクだ。

XLR80(1987年7月)
プロリンクサスを採用し、フレームから総てを刷新したXLR80は、完全なオフロードスポーツバイクとなった。1人乗車用の設計で、意外な走破性の高さに驚かされる。

XL50S(1980年2月)
80Sとはシリンダーのボア・ストロークが異なり、2人乗りのためのタンデムステップを備えてはいる他は車体のディメンションなど総て共通 。紛れもなくこのマシンが4ストトレールの最少排気量車だ。

シルクロード(1981年3月)
トレッキングバイクのパイオニアといえるマシン。XL250Sのエンジンをベースにセルスターターを装備、そして通 常のローギアよりもさらにギア比の高いスーパーローギアを備え、新しいカタチのオフロードモデルとして生まれた。だが実際の機能性の高さを別 にして、そのスタイリングは受け入れられず、1代で生産を打ち切られた。

 

 

 


[scudelia:cinema]