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筒野の石幢を土地の人はカサ仏と呼んでいる。筒野の字名は、この石幢に由来すると考えられている。戦前までは、疫病の流行を防ぐための祈願が多く、特に「かさ」(できもの)の病を治療するための祈願者が多かったと言われている。
幢身の高さは約190センチ、八面とも種字、偈などが刻まれているが、摩滅がはなはだしく判読しがたいが、銘文より、造立は鎌倉中期の文永七年であることがあきらかである。笠の反りは力強く、軒口は垂直に切られており、鎌倉時代の特徴を示している。造立の目的は、刻銘が真言曼荼羅のような意味合いのものであることから、真言の功徳を讃えたものかと思われる。
凝灰岩製の八角の幢身上にまんじゅう笠状の笠をおいてあるが、笠は別物であるという。安政の大地震で石幢が倒れ、笠が二つに割れたので、明治になって再度建てる時に他にあったものを載せたといわれ(新撰讃岐国風土記)割れた笠は幢身の下に置いてある。

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