7章 11〜17節
夫を亡くし、残されたひとり息子を亡くし、悲しみのどん底にいる人に対して、「泣かないでいなさい」 とは、何という言いぐさでしょう。いったい何の権利があってこんなことを言うのでしょうか。
また、もしもこの場面でイエスさまが、「泣いている人たちはさいわいだ」(6章21節) などと言ったとしたら、イエスさまはまわりの人たちに袋だたきにされたかもしれません。
ところが、イエスさまだけはこのことばを言うことができました。というのは、イエスさまは実際に泣く人の味方であり、実際に死人をよみがえらせて、実際に涙を笑いに変えることのできる方だからです。
つまり、イエスさまの 「泣かないでいなさい」 ということばは、単なる無責任ななぐさめではなく、きちんと責任をとってくれて、現実となることばなのです。しかもそのことばは、泣く人に “深い同情を寄せて” 発せられたことばなのです。
イエスさまは、貧しく、飢え、泣き、イエスさまのために迫害されている人たちはさいわいだと言い、敵を愛し、人によくしてやり、何も当てにしないで貸してやれ、父なる神さまのように慈悲深くなれ、と言いました。
だからこれらのことばも、単に無責任な、レベルが高いだけの冷たい教訓なのではなく、罪人に対するイエスさまの深い同情心から発せられたもので、イエスさまが実際に責任をとってくださる現実的なことばなのだとわかります。