2章 1〜7節
ついにイエスさまのお誕生です。ところで、ルカによる福音書の1,2章には、バプテスマのヨハネとイエスさまの誕生の様子がくわしく記されていますが、いったい記者のルカは、これらのことをどこから取材したのでしょうか?
そう思ってじっくりと1,2章を読み返してみると、この記事のほとんどすべてを直接目撃したか、あるいは近しく聞いていた人がいることがわかります。それは、マリヤさんです。ことに1,2章にはマリヤさん自身の心の動きやことばが多く記されていることを考えればなおさらです。
それでは、ルカはマリヤさんに会うチャンスがあったのでしょうか?
使徒行伝を読むと、ルカはパウロといっしょにエルサレムに来て、イエスさまのすぐ下の弟でエルサレムの教会の指導者だったヤコブに会ったらしいことがわかります。
マリヤさんがどのくらいまで生きていたのかはわかりませんが、おそらくルカはこのとき、マリヤさん自身かあるいはマリヤさんにとても近しい人々に取材して、これらの記事を記したのだと思われます。
ですから、この1,2章には、年をとったマリヤさんの心の様子が映し出されているのだろうと思えるのです。
昔をふりかえって、自分の身におきたこと、自分の見聞きしたことを語るとき、このように確信をもっておだやかに、平和と喜びに満ちた雰囲気で語れるマリヤさんは、とても幸せだと思います。