Q&A 2
糖尿病・肥満
Q1 いつもの血液検査で「ヘモグロビン・・・?」が高いと言われました。何のことか解りません。
A1 それはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)のことです。

グリコヘモグロビンといって、糖と血球成分のヘモグロビンが結合したもので、糖尿病の検査の一部です。高血糖の状態が続くとヘモグロビンと糖が結びつきやすくなりグリコヘモグロビンが増えてきます。

ヘモグロビンを含む赤血球の寿命は120日程度と言われているので、このグリコヘモグロビンもゆっくりと変化していきます。

血糖値が今現在の状態を示すのですが、食事により変動があり、最近のコントロールの状態が正確に把握できません。

HbA1cはここ一月ほどの糖尿病のコントロールの指標と考えられており、当日の食事には影響されません。病院では必ず月に一度は検査をします。

HbA1cの基準は正常が6.2未満です。6.5以上有ると糖尿病の可能性が高くなります。糖尿病コントロールの指標は下図のとおりです。

目標 血糖正常化を目指す際の目標 合併症予防のための目標 治療強化が困難な際の目標
HbA1c 6.0未満 7.0未満 8.0未満


Q2 朝食を抜いているのにむしろ体重が増えてきます。どうしてでしょうか?
A2 朝食を抜くのはよくありません。

悪い食事の例に「朝抜き、昼ソバ、夜ドカ食い」という例えが有ります。

夕食が過食になり、夜間は活動しないので太りやすくなります。人間は特に夜間の食事で太りやすい性質を持っているからです。

Q3 毎日歩いて運動しているのに体重が減りません。意味がないのでしょうか?
A3 運動するのは非常によいことと思います。

運動だけでは体重は減りません。運動に使われるエネルギーは食事から入るエネルギーに比べてずっと少ないからです。一日1時間1万歩歩いても使われるエネルギーは350Kカロリーで、これはまんじゅう1個分のカロリーでしか有りません。また運動することによって筋肉も増加するからです。

やせるには食事量もある程度減す必要があります。

ただ、運動することで脂肪、特に体脂肪と言われる内臓脂肪が減少します。内臓脂肪の脂肪細胞はサイトカインという物質を出しており、アディポネクチンなどの善玉サイトカインを増やし、FFP、TNF-αなどの悪玉サイトカインを減少させます。

体重が減らなくても血圧、血糖値が下がり、動脈硬化抑制作用があります。

Q4 私はあまり食べないのに水を飲むだけで太ってしまいます。食事制限のしようがありません。
A4 体内の余計な水分は尿になって出てしまいます。水分から脂肪が合成されることは有りません。太って体脂肪が多いのはやはりカロリーを多く摂っているからです。一度自分がどのようなものを食べてるか一日分の全ての食べたものをノートに記録してみると良いでしょう。
胃腸・肝胆膵
Q1 人間ドックで胃の中にピロリ菌がいると言われました。ピロリ菌とは何ですか?
A1 それは「ヘリコバクターピロリ菌」という細菌のことです。

胃の粘膜内に潜み、アンモニアを産生し、胃潰瘍や慢性胃炎の原因になると言われています。

小児期に親から感染し、高齢になるほど陽性率が高くなります。高齢者では約8割の人が陽性であると言われています。

また、慢性胃炎から胃がんの原因になると言われ、積極的に除菌が勧められています。

Q2 すぐに健康保険でピロリ菌の除菌療法をしたいのですが、可能ですか?
A2 健康な人では保険の対象にはなりません。

保険で除菌が認められているのは、従来ピロリ菌が陽性で胃潰瘍を繰り返す人のみとされていました。医療機関で胃内視鏡検査を行い、胃潰瘍のある人が対象でした。一方、ピロリ菌感染があり、慢性胃炎になって長期間続くと胃がんの発生率が高いことが知られています。このような場合除菌療法が勧められていましたが、保険ではできず自己負担で行っていました。2013年2月から内視鏡検査で胃炎があり、ピロリ菌が検査でいることが証明されれば除菌療法が保険で受けられるようになりました。

当院でも苦痛の少ない経鼻内視鏡を使って内視鏡検査を行い、ピロリ菌がいる人には積極的に除菌療法を行っています。

除菌療法には胃薬と2種類の抗生物質を1週間服用する必要が有ります。ペニシリンを使うので、ペニシリンアレルギーの人は除菌できません。

最初の除菌がうまくできなかった人にも二時除菌と言ってもう一度お薬を替えて除菌することが保険で認められています。
その他
Q1 脳卒中で風呂場やトイレで倒れても動かさない方がよいと言われていますが・・・
A1 そんなことはありません。

昔はそう言われていましたが、間違いです。できるだけ速やかに安全なところに移し、適切な医療を受けさせる必要があります。

ただ、一人で運ぶと頭が下がり危険です。必ず2〜3人で静かなところに運びます。この時頭や首が動かないよう静かに運ぶことが大切です。寝かせるのは固めの布団を敷いた床の上がよいでしょう。

軽いかけ布団を一枚掛けてください。決して「しっかりして!」などと揺さぶってはいけません。首筋をゆるめ、身につけていた物をはずして楽にします。

患者さんを冷静に観察してください。口の中に吐瀉物があれば、顔を横に向けて指で口からすぐ出し、気管がつまらないようにしてください。もし、舌が落ち込んで息が苦しそうにしていたら、顎をやや上に上げ、肩の下に枕やタオルを巻いた物を入れ気道を確保してください。

かかりつけの医師に電話で状況を報告し、指示を受けて下さい。もし、自分で重症だと判断したらためらわず119番をして救急車を呼びます。主治医に連絡して脳外科の病院を手配してもらうことができたらベストです。

Q2 飲む男性型脱毛症(AGA)の治療薬があると聞いたのですが、保険がききますか?
A2 「プロペシア」というお薬があります。保険はききません。

医師の診察を受ける必要が有り、診察料、処方料、薬剤費全て自己負担となります。

男性ホルモンの阻害薬で、ジヒドロテストステロンを阻害する働きを持ちます。脱毛する毛根にはジヒドロテストステロンが集まっていることが知られており、これを阻害することで脱毛症の治療に使用されます。

日本皮膚科学会ではミノキシジルと並びAランクに推奨されています。

Q3 男性型脱毛症の治療薬のジェネリック薬品があるとインターネットに出ていたので欲しいのですが・・・
A3 国内で承認された正式なジェネリック薬品は有りません。

Q4 ジェネリック医薬品とは何ですか?
A4 最初に開発した会社の特許が切れたものを、他の会社が同じ成分を使って生産したもので多くは薬価がずっと安くなります。

医療費が安くなるので積極的に使用するよう保険者や当局が推奨しています。

Q5 タバコをやめたいのですが、禁煙のお薬があると聞きました。飲めばやめられますか?
A5 やめる意思がなければやめられません。

安易に飲むだけでやめられると思っている人がいますが、それは間違いです。

「チャンピックス」というお薬が効果を上げていますが、それはあくまで禁煙補助薬です。喫煙の害をよく知り、きっぱりと禁煙する意思がなければ禁煙治療を受ける事ができません。

Q&A1