平成12年に介護保険が始まり高齢者の介護に大きな変化がありました。それまでの施設に関しても、社会福祉法人だけでなく民間企業も続々と事業所や施設を開設し、高齢化にともなう施設の充実に対処してきました。しかし、今や介護保険の利用についてさまざまな問題が生じてきているのも事実です。私共が思います今後の必要かつ重要なことは、団塊の世代が高齢化を向える5年後以降の体制づくりではないでしょうか。
これからの介護を考えると医療は当然必要ですし、国が今後お金をつかって施設を多数開設してくれるとは考えられません。
やはり自分達で考え、法に則ったいろいろなシステムの中で最上の方法を得られるようにしていくしかないと思っております。
そうして考えてみると最低でも以下の条件を満たしてくれる介護施設の必要性を感じました。
  1.介護施設として医療、福祉、生活援助の対応が可能な施設づくりで
    24時間医師に処置してもらえる
  2.ターミナルケア(看取り介護)が実践できる
  3.夜間、かならず看護師を配置する
  4.低料金で生活できる居住空間を確保する
  5.介護施設は、利用者が多額な金銭を必要とする施設ではなく、利用者
    にとって無理のない料金で利用できるシステムをつくる
  6.居室の個室化(12畳以上)
  7.安心して、老後をおくれるシステムをつくる
  8.企業として安定した利益を得る体制をつくる

これらの条件を可能にする施設づくりは、現状の法体制の中では当然いろいろと困難を生じますが、もし完備する施設ができれば利用者や家族の皆さんの喜びも大きいと思い、大変な苦労をともないますが、果敢に挑戦しています。
要点を、箇条書で記載させていただきます。

1. 全国にある110箇所以上の旧国立療養所の内、香川県高松市に独立行政法人 国立病院機構 高松東病院という病院があります。旧国立療養所の時代に看護師の養成のため看護学校と看護師宿舎を国が運営していましたが、7年前廃止されていたのを、病院の要望もあり、遊休の土地、建物の活用の打診を受け弊社で企画して、病院から土地・建物を借用して17年11月に高齢者マンション34室(平成19年8月より国土交通省による高齢者専用賃貸住宅に登録)、18年3月に介護付有料老人ホーム20室としてタ―ミナルケア(看取り介護)を実施できる施設として設置・運営を始めました。病院との約束で、医師が24時間体制で診療にあたっていただけますし、介護認定の重度の方3,4,5のレベルの方を中心として経管栄養(胃ろう)、気管切開、末期ガン、酸素その他の医療処置の必要な方ももちろん入居できます。夜間でも、看護師が勤務体制に組み込まれていますし、他所ではこのような介護施設を、なかなか設置できないのが現状と思います。(両施設とも満床ではありますが)

2.遊休の土地、建物を使用しますので、建設(改修)コストが通常新設の場合の20%〜40%の費用で済み、介護保険外の利用料を安くおさえることができます。

3. 介護付有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅利用の皆さんは全員高松東病院の受診を利用条件としておりますので、昼夜を問わず受診が可能となり、医療面についても当施設に看護師が夜勤をしており、同一敷地内で常に病院、医師との連絡ができるようになっており、医療面での安心を提供できます。

4.職員の充実を図ることが大切であり、介護付有料老人ホームでは20名の利用者に対して職員16名の体制でおこなっており、国の施設基準を大きく上まっております。このようにしないとターミナルケア(看取り介護)はできませんし、看護師の夜勤が必要なので当直は20名に対して看護師と介護士2名でおこなうことになります。これも通常考えれない体制と考えております。
部屋の広さは1室14畳の個室を確保しております。

5.なぜ介護付有料老人ホームかというと、介護の法体制の中で前述したことを全ておこなえるとすれば、介護施設として介護付有料老人ホームしかありませんでした。

6.介護付有料老人ホームを見てもターミナル期における介護でありながらレビン、 経管栄養(胃ろう)等の要介護5の利用者で、1人の料金として部屋代、共益費、 食費、管理費を含めて、月額、利用者負担14万3千円程です。(敷金は3ヶ月分必要です)その他の費用は当施設ではいただきません。もちろん入居費用も必要ありません。こうした料金と介護保険は24万8千円(1割は利用者負担)を合わせた金額が当施設の利益となります。こうした努力の中で施設運営をしていますので、介護付有料老人ホームにありがちな高額料金は必要ありません。

7.1年間で9人の方の看取りをおこないました。
これらのことから、介護施設でも病院の遊休の土地、建物を利用して行うことにより、社会福祉法人のように多額の助成金で成り立つ施設や、医療施設にみられる多額の介護報酬を得られることはできませんが、重度の介護を必要とする皆さんに喜んでもらえる施設づくりができることを実践しています。今後も他所でいろいろアイデアを出して、よりよい企画のもと皆さんに喜ばれる施設を続けて開設できるように頑張りたいと思っています。

株式会社 T・P
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