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澤原 勇さん ・・・平成19年7月7日・・・

2007年7月7日(土) 小潮(曇)     −’07.07.07 7回チヌボウズの男−

 チヌ釣りで堂ノ浦に訪れるのも、今日でもう早くも8回目である。チヌボウズも7
回を数え、未だにチヌの姿を拝めないのだが決して諦めた訳ではなく、次こそは次こ
そはと、この際釣れるまで何度でもチャレンジしてやろうと、くじけるどころかます
ます意気盛んである。また、私の寝床の周りには、チヌに関する専門誌が3冊とカカ
リ釣りのDVD2本がいつでも見れるようにと、手に届く範囲に無造作にちらかってい
る有り様。

 近頃は“何としてもチヌを上げてみたい、しかも船長の見ている目の前で!”が私
の夢であり、それがいろいろと釣りに関して、ど素人の自分に一から根気よく教えて
いただいた船長への最大の恩返しだと考えていた。

早朝2:30頃、出発前自宅の洗面所にて“何だか最近、髪の毛に白髪が増えちゃったな
あ“と鏡を覗き見、神戸の自宅を3:00に出発、道中に一度短い休憩をとり細川渡船さ
んに5:00前に到着した。

どうやら前日の天気予報が雨だったせいもあり、お客さんは少ないみたいだ。

船長が私を見つけるなり『今日の堂ノ浦は、釣れそうな気配がムンムンしているな
あ、今日こそはいけるよ!』と声をかけてくれた。船着き場で船長の奥さんと愛犬キ
チにも『今日こそは頑張って釣ってきてよ』とエールを送られ、いつもの相棒である
メバル名人の嫁さんと2人で、いざ!K-3筏に上陸した。

 まず、細キューの大きめのおからダンゴを3個投入し、ボラを寄せる間に嫁さんの
タックルを組んであげる。それから自分のタックルを組んでいる間に、嫁さんが早々
と一匹目のメバルを釣り上げ上機嫌だ。 “くそっ、今日もメバルの日かぁ!いや今
日こそはチヌの日や!”と心に言い聞かせながら6:00頃、ボケエサで第一投目を落と
し込んだ。

しばらくすると、ダンゴにボラのアタリがきた!どんどこ・どんどこダンゴが底で暴
れ回っている感じだ。

周りの筏を見回してみるとほとんどの筏に人影が見あたらない。“よしよし、周りの
ボラよ、みんなK-3筏へ来い!そしてチヌもいっしょに連れてみんな来い!”と祈り
つつ緊張感が高まってくる。

そして前アタリの後、引き込まれるようなアタリがあったので合わせると、いつもの
ボラの引きだ!

“何で今のアタリがボラやねん”と、ぶつくさぼやきながら更にボラを追加してしま
う。

“そやそやまてよ、使うのは初めてやけどコーンで攻めてみよう、コーンやったらボ
ラは喰わんやろ”とコーンをダンゴに包んで落とし込む。が、再びボラを上げてしま
う・・・。“ボラはコーンは喰わんけど、吸い込むのは他のエサといっしょや”とく
さりながらも、チヌはどこかに絶対いるはずやと、気を取り直し再度コーンで攻め
る。

しばらくボラのアタリをかわしていると、何か違うような前アタリがあった。モゾモ
ゾしているみたいなので取りあえず合わせてみる“おっりゃ!”。  ・・・空振り
である。

しかし、エサを確認してみると何とコーンに半分かじられた後を発見! 嫁さんに
“チ・チヌがやっぱりおるぞ!”と言うと“はよ、釣ってよ”と簡単に返される。

コーンを付け直し、チヌよ逃げるなと祈りながらあわてて落とし込む。

しばらく潮の流れの方向に何回か誘いをいれていると、先程と同じようなコツコツと
いうアタリが!ここは我慢して我慢して “おりゃっ!”と合わせると大きく竿がし
なった!

底で走る走る!これは明らかにボラではないと感じ取るが、魚影を確認しない限りは
ボラかもしれないので、さんざん今までボラをチヌかも?と嫁さんに嘘をついてし
まっていたので、“これはチヌや”と断言できない。ボラ釣りで少し疲労してきた片
手ではもう無理なくらいに竿がのされそうになるので、両手で竿を立て直し、何とか
しのいで魚影が確認できるまで上げてきた。前方5・6m先にちらっと正体を現した
のは、いいサイズの黒々としたチヌである。(多分35〜40cmくらい) “チヌ
やっ!!”と嫁さんといっしょに叫ぶ。 その時、一瞬くるりと方向転換したチヌは
再び足下へ猛突進して行く。それと同時に、“すうーぅ”と糸のテンションが無く
なった。

“・・・・・” “ゲ・ゲェ〜ッ!何でやねん!”と言いながら肩を落としへたり込
む。

鈎を確認したが、ちゃんと付いたままだった。“いったい自分は、何回取り込み時に
失敗しているのだろう”

悲しくなり天を仰いだ。

 しかし、悲しみに浸っている余裕などチヌボウズには無く、気を取り直してダンゴ
を握り始めた。

しばらくすると『ダ・ダ・ダ・ダ・ダ〜ッ』と勢いよく卓丸を操り高橋船長がやって
きてくれた!

『どう、釣れた?ボラはおる?』 “ボラは沢山入ってきて最高の状態で、先ほどい
い形のチヌを取り込みそこねたんです。鉤がチヌの口から外れるのは、何が悪いんで
すか?せんちょう”

『そうやね〜、きっと合わせが弱いのかもしれないなぁ』と助言をいただく。

船長ニコニコしながら『久しぶりにやってみてもいいかな』と私の顔色を伺う。この
前のようにまた船長がチヌを自分の目の前で釣り上げて衝撃(精神的修行)を与えてく
れるのかなぁと、とまどいながらもチヌのアタリを再度確認させてもらおうと考え
“いいですよ”と船長に自分の竿を手渡し、釣り座に座っていただいた。 エサは練
りエサ、錘なしで落とし込む。『これはボラ、これもボラ、多分この辺りにチヌがお
るはず。』何回か繰り返し誘っているうちにそれらしいアタリが!“ズバッツ!”と
自分の竿がうなりをあげながら、竿先がしなる! しかし船長の顔色が冴えな
い・・・・『しまった!ボラや!』 “えっ、ほんまですか?!”と問いかけてみる
と、上がってきたのはたしかにボラであった。 船長も百発百中の神様ではなかった
んだ、やはりボラにもチヌに似たまぎらわしいアタリがでることもあり、名手の人で
も間違えることがあるんやと、心の中で思い、ボラに悩まされてきた自分も正直少し
ほっとした気持ちになりました。←船長ごめんなさい

そして船長は、『これではあかん、もう一回やらせて』と言い、船長が船に戻り再度
持ってこられたのは、船長のマイ竿で、あのチヌ釣りの名手 北 英樹氏手作りの竿
ある。座に再び座られた船長の顔は、まさしく真剣であった。エサにオキアミの剥き
身を付け、ダンゴに包み落とし込む。私も何とかアタリを見極めたく竿先を睨んだま
まだ。“ググッツ”と先ほどと同じようなまぎらわしいアタリがあるが、船長は竿を
上げるのをグッとこらえた様子。その後、再び“クッ・クッ”というアタリ。数セン
チ穂先を送るや否や“ズバッツ!”力強く合わせた船長の竿先がしなっているではな
いかっ! ラインが小気味良く走っているが、船長は何やらまたうかない顔だったの
で、“せんちょう、ボラなんですか?”と聞いてしまう。

『いいや、間違いなくチヌやで』と船長はつぶやく。

上がってきたのは、30cmくらいのまぎれもないチヌであった! そうか、船長は
自分が思ったよりサイズがいまいちだったので、うかない顔だったんだと気づく。 
まったくお見事としか言いようが無く、また私の中で、ボラがいるところには必ずチ
ヌがいるということが、更にますます確実かつ確信に変わっていったのだった。 船
長はニコニコしながら私に語る『澤原さん悔しいやろう〜、この悔しさが更なる精進
につながって、みんなうまくなっていくんやで』と更に優しい笑顔でニコニコ。 
“ええ、ほんまに悔しいですわっ”と船長に言い、船長に怒るのではなく、自分自身
の未熟さに本当に腹が立ってきたのだ。       そう、ここまできたらあの熱
血アニメ、巨人の星の星一徹と飛雄馬の関係である?・・・。 船長が笑顔を残し
帰ってしまったあと、何となくアタリが見えてきたような気がすると、早速とダンゴ
を落とし込む。

 しかし、更にボラ2匹・ヒトデ3枚を追加する・・・。 

 

 時間も昼の2時前になり、8回目のチヌボウズも少し濃厚になってきてあせり始め
てきた頃、船長が再び心配し見にてきてくれた。 『アタリはあるっ?』 “ええ、
ボラのアタリは少なくなってきたみたいですけれど、まだ続いてますよ”と答える。
 船長は私の左隣にしゃがみ、私の誘い方や竿先の動きをじっとだまって見つめてい
る。 『すっかり、ベテランみたいになったなぁ。10年くらいやっているみたいや
ね』とお世辞でもうれしいお言葉。 “せんちょう、この時間帯になるとあせるんで
すよね〜、3時頃なんかものすごくいやな感じで、どんどん早く時間が経つんです”
 『そうか、そうか』とうなずいている。 そうや、船長の目の前でチヌを釣り上げ
るのが自分の目標・夢だったことを思い出し、しゃべるのを止め竿先に集中した。

ボラがあまりいなくなり、潮の流れに沿って誘いを繰り返していると、“クン・ク
ン”と小さなアタリを見つけた。少しゆっくりと穂先を送り込むと“クゥー”と更に
引き込まれる。“こ・これはチヌアタリ・・・今だっ!”と心の中で叫び、力いっぱ
い振り上げた! 竿に重さが載る! だまっていた船長が、急に大きな声で『ついに
捕ったぞぉ!やりよった!』と言い放つ!  午前中に捕り逃がしたチヌより、はる
かに引きが弱いが、小気味良くラインが走っている。 “せんちょう、ボラじゃない
ですよね!” 『おお、それは間違いなく100%チヌやっ!』とうれしい後押し。
 

やがて魚影が見えキチヌであることが確認でき、船長が丁寧にタモですくってくれ
た。

25cmくらいのキビレであったが、自分にとっては年なしのチヌどころか、それ以
上の価値のある一匹であった。何回も“やったー!やったー!”を筏の上で子供みた
いに繰り返した。そして嫁さんが前回くらいから用意してくれていたレイを首に掛け
てもらい、瞼がうるうるした状態で船長と記念撮影をしてもらった。

本当にこんなに喜び、熱い思いをしたのは久しぶりのことだと思う。 

そして何よりも、自分のことのように喜んでいただいた師匠にやっとやっと恩返しが
できたのだ。

 

その後、早めに帰る他のお客さんの連絡があってので、卓丸の後ろ姿を見送り、今の
アタリの残像を忘れないうちにと、また残り1時間でサイズUPを狙おうと竿を握り直
した。 

 更にボラを1匹追加し、納竿となった・・・。

 

思い起こせば今年の4月からカカリ釣りを船長に教えていただき、現在の腕?に至る
訳ですが、本当にチヌだけのアタリを捕るのは容易ではなく、悔しい思いばかりを繰
り返してきました。

しかし不思議なのは、船長に頼まれてこの釣行記を書いてきた訳ですが、私の場合釣
れない事ばかりがネタだったのにも関わらず、何やらその時のことを想い出しなが
ら、悔しさを楽しみながらスラスラと書けてしまうのです。それは、きっと釣れよう
が釣れなかろうがその結果だけではなく、筏に上がればそこには少なからず必ず起こ
る出来事・ドラマがあり、誰しも自分自身が主人公になれたからだということです。

本当にカカリ釣りは難しいけれど、へたはへたなりにおもしろい!

そして、最後に船長(師匠)にお願いがあります。私の釣行記は、ど素人チヌ釣り一直
線という題名でしたが、ど素人の“ど“は、もうそろそろ取り去ってもいいですか
ねっ?。

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