海 に い ち ば ん 近 い 駅  
date:2005.08.12-14

 


行き先が無いのでさすらってしまっている。とりあえず、四国最西端の佐田岬に向かっている。
以前、旅先のキャンプ場で一緒になったライダーが言っていた。女の人は同じ観光地に何回でも行って楽しむことが出来る。だけど、男っていうのは一度行った場所にはもう心が向かわない。いつだって初めての感動を求めて旅をしたがるものだ。う〜ん、実感、実感。
佐田岬は数年前、九州に渡る際に立ち寄った。その時は最西端という言葉にワクワクしたものだ。しかし今はどうだ。快適な道が続くメロディーラインも過去の記憶をトレースしているに過ぎなかった。
佐田岬の駐車場でパリダカのナンバープレート(小型なので町名表示)を見たおっちゃんに声をかけられた。兄ちゃん、北島町って徳島からきたん?えぇ、おじさんは?わし?わしは石井から。
佐田岬灯台の近くに三崎漁師物語という地元では有名な海鮮網焼きの店がある。以前に村上くんと紫電改を見にいったときに立ち寄ろうと思っていた店。その時は時間がなくて来られなかった。網の上でぶくぶくと沸き立つサザエやハマグリに舌鼓。う、美味すぎる、、(涙)。飲み込みたくない、いつまでも口の中で噛んでいたい。あぁ〜幸せ。村上くん残念ねぇ〜。

 

 


メロディーラインを走っていると所々に風力発電の巨大な風車を見受ける。道すがら「せと風の丘パーク」という看板に導かれてやって来た。ここから見ると点在していた風車がすべて連なって見ることが出来る。全部で11機の白亜の風車は圧巻。風車に使われている実物のブレードを展示している。パリダカと比べてみるとその大きさが分かる。風車の真下に立つとこのブレードが風を切りながら自分に向かって振り下ろされてくる。ヒューーーーーーゴォ======。きっと新たなツーリングスポットになるだろう。
「せと風の丘パーク」はエコロジーをテーマにした公園。公園といっても展望台があるだけ。それで充分だ。岬を渡る風で電気を作る。なんか、少しだけ未来が明るく見えた気がした。公園のトイレの屋根には太陽電池のパネルが張り巡らされている。ここで消費する電力をまかなっているようだ。ちょっともようしたのでトイレを借りるが、、、紙がない、、、。なんともエコロジー、って、お〜〜ぃ。だれか〜、紙ぃ〜〜〜。
(注:ちゃんとティッシュは携帯しているのでくれぐれも誤解の無いように。)

 

お腹がすいたのでメシにしょう。ラーメンが食べたいなぁ。須崎の鍋焼きラーメンってまだ食べたことない。そうだ、須崎に行こう。いやはや、さすらっている。
しかしながら高知へ向かう山道でリアタイヤの空気が少ないことに気が付いた。パンクか?困ったな、山道だしお盆休みともなると修理をしてくれる店を探すのもひと苦労だな。とりあえず給油に入ったスタンドで空気の補充をしてもらうがこれが裏目に出て完全にバーストしてしまった。スタンドの主人が近くのバイク屋を教えてくれたのでなんとかそこまで行ってみる。もちろん店は休み。家の子に聞いてみると主人は留守で遅くなるらしい。 1時間くらい待ってみたが帰ってきそうにない。這ってでも帰るかとベコベコのタイヤのまま走ろうとする。どうも走行不可能。こまったあげくツーリングマップルの巻尾に載っているバイクレスキューサービスに電話を入れる。
結局、立ち往生した地点から2kmのところに太郎川公園というキャンプ場があり、そこで一夜を過ごす。一度訪れてみたいと思っていたキャンプ場だったのだが、こんな形でこようとは思わなかった。
写真のH-Dダイナの中西くんは三重からのツーリング。なんと彼もパンクして救援待ちの状態。ものがハーレーだけに近所の修理屋では断られて松山まで運ばれるのだという。
パンクして困っているはずの彼ではあるが、困ったなぁ〜という顔が何とも明るい。人懐っこく気持ちのいい青年だった。
別れ際「それじゃ、パンク仲間どうしってことで」と彼が手を差し出した。熱い握手を通 じて彼から元気が流れ込んできた。

 

数分後、近くのバイク屋が軽トラックで迎えに来てくれた。店までは3kmくらい。昨日の夜、キャンプ場がたまたま近かったこと、こうしてバイク屋が近かったことといい、運が良かったのかもしれない。
店でタイヤを外すとどうもチューブのバルブがちぎれてしまっている。パンクしたまま走っちゃったからなぁ。店にスペアのチューブはないし、問屋は休みだし、どうする?どうするって聞かれてもどうもしようがない。「仕方ないものは仕方がない」というのは人生哲学として正しい時がある。どうにもならない時にはくよくよしていないで次の手を考える。とにかく気持ちを徳島へ向けるのだ。意志の向いた方向にのみ人は進む。
バイクはここに置かせてもらうとして、近い内に取りに来るのでそれまでに修理しておいてもらうことにする。しかし、ここ(山奥)からいちばん近い駅の須崎まで(片道車で40分)の足がない。たまたまここのバイク屋の親戚 の人が駅まで送ってくれるという。重すぎる好意ではあるが甘えるしかない。
駅でおじさんと別れる際に僕には感謝の気持ちを表す術がなかった。せめてもと思い、握手で別 れる。ハーレーの中西くんからもらった元気、彼にも伝わっただろうか。

さぁ、これから徳島へ向けて汽車の旅が始まる。ツーリングに来て汽車で帰ることになってしまってちょっとおかしい気もするが、これも旅だ。旅は人生、人生は人、今回も良い人に出会える旅だった。
10:25発の特急「南風」に揺られながら手帳に日記をつける。
以前の旅の時に書いたページをめくる。汚い字で何を書いてあるのか解読不可能。いったい何が書いてあるのやら、しかしたのしい。2年前の旅のときも多くの人に親切にしてもらったことが書いてある。
その時のメモ。「ひとってこんなにやさしかったんかいな?」

 

 

いざ行かん 万感の汽笛をならしつつ

我が身と心 永遠に続く旅路の上

青春という名の 無限軌道

 

 

 

 

 

 

 

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