2003 summer dance with venus
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『霧ヶ峰キャンプ場』

『ぶれっくふぁーすと』
{2003年8月13日(水曜日)2日目}
明けて2日目の朝。天候は曇り。
テントの中にまで冷気が立ちこめる。シュラフはそれなりに良いものを使ってはいるのだがそれでも保温しきれない。好ましくはないがテントの中でランタンを灯して暖をとる。

体が温まったところで着替えて朝食。最近のタケダのマイブームであるところの「クルミパン」そしてコーヒー。角田君にならってコーヒーバネットを用意してきたのでレギュラーコーヒーが飲める。これはイイ。

ビクトリノクスでパンをスライスしフライパンでトーストする。昨夜の焼き肉の余韻の残るフライパンで焼いたパンにはしっかりと肉の匂いが付いていた。(洗剤持ってこなかったんだよなぁ〜)それでもこうしてキャンプ場で食べる食事というのは普段と違った趣があって美味しく感じる。年々クッカーを増強していくにつれて調理の幅も広がるが、一方荷物の量 が増えていくという問題が発生しつつある。今後の課題だ。

霧ヶ峰キャンプ場は全エリアフリーサイトで設備、管理、環境、客質、値段とすべてレベル高し。願わくはテントサイトにバイクを持ち込めるとなお嬉しいのだが。旅の相棒とは離れたくないものです。
ここは長期滞在型のキャンパーが多く、皆さん重装備で設営していた。バイクでの滞在型キャンパーのおじさんも一人いたが天候が崩れて来るというので今日で引き上げるのだという。群馬からDioで来たというライダー、結構話の好きな人でした。

左の写真ではテントのフライを枝に掛けて乾かし、テント本体にも通気をしているところです。朝起きたら一番にすることですね。手前に見えるブルーシートはカタナが夜露で濡れるのを防ぐための物です。ロープでタープを張る要領で打ち込んだペグにロープで固定します。これがなかなかイケてます。

少しのんびりしてしまいました。午前8:00、さぁ、いよいよビーナスラインに向けて出発です。


左上:ビーナスライン途中の白樺並木、霧が景色を覆う。 
左下:七島八島、ビーナスライン途中の湿原地3枚連続のパノラマにて。 
右上:ビーナスライン入口の表札の女神。 
右2段目:白樺湖のほとりにて。 
右3段目:霧ヶ峰の売店で買った飲むヨーグルト。濃厚で美味い。 
右4段目:名前も知らない高山植物。


カタナに跨りキャンプ場を出てわずか1分、すでにビーナスラインの中腹に出る。そのまま美ヶ原までぬ けても良いのだが、せっかくなのだからビーナスラインの全線を走行するために入口までいったん出る事にする。
山を下ると白樺湖が見えてくる。湖をぬけて再度山道を駆け上がったところにビーナスラインの道路標識が立っている。
この間にサスのイニシャルと伸ダンバーを何度か弱めながら調整し直す。なにせ鳴門スカイラインを走っているままのセッティングで来ているので速度が乗らないと曲がっていかない。

ビーナスライン。女神の名を冠するその道は蓼科高原、白樺湖、霧ヶ峰高原、美ヶ原を貫く信州を代表する観光道路。
標高2000mに届こうかという高原を横目に見ながら緩やかに、そして時にはタイトに道は続く。まだ観光客が押し寄せる前の時間を彼女とすごそうと思った。アップダウンの続くワインディングをけして荒ぶるでなく、かといってダルではない速度で駆けていく。緩やかなRにたいしてアクセルを弛めるだけでフロントフォークを沈め、延びようとするその瞬間、軽くイン前方へ腰を入れて旋回をする。そしてクリッピングを合図にアクセルを緩やかに、そして徐々に大きく開けていく。一連の3拍子のリズムで延々と連なるコーナーを尻を右に左に振りつつ女神に踊りを捧げる。

2年前にも一度ツーリングで信州を訪れたことがある。その時は乗鞍スカイラインを走った。乗鞍は今、環境保全のために一般 車両の乗り入れを規制している。その最後の夏だった。2002年に全線無料化されたビーナスラインも最近では観光のための車両の増加とそれにともなうマナーの悪化が問題になっているそうだ。いずれここも第二の乗鞍スカイラインになってしまうのだろうか。今、ビーナスが泣いている。雲の上のシャングリラ。人よ決してこれを汚すことなかれ。

 

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信州といえばお蕎麦なんですけど

ビーナスラインを名残惜しく思いつつも、一路「志賀草津道路」を目指す。冷え切った高原の空気を抜け出たと思うと平地は夏だった。さっきまで寒い寒いと凍えていたのに今度は暑くてたまらない。それもそのはず、レインコートを上下着込みその下にはデニムジャケットと長袖のトレーナーまで着ている。しかし、暑いと思っていられたのもつかの間、太陽光を浴びていられたのはほんの2時間ほどでしかなかった。
マイナーな県道と国道、時には広域農道を繋ぎつつ志賀高原の入口の町「中野市」へやって来た。これから山間部が続くのでスタンドがないといけないと思い給油をしておく。3回目の給油183km。
スタンドの兄ちゃん「ツーリングですかぁ?いいですねぇ、どちらからですかぁ〜?」タケダ「・・・徳島って、、知ってる?」兄ちゃん「え〜っと、たしかこの近くですよねぇ〜」タケダ「四国って知ってる?」兄ちゃん「いやっ、ちょっと地理って苦手なんスよねぇ〜」

信州といえば美味い蕎麦でしょう!と思っていたので道中ずっと美味しそうな蕎麦屋を探しながら走っていたのだけれど、結局どこにも止まらないまんま志賀高原まで来てしまった。致し方ない、今日は昼食抜きだなと考えながら立ち寄った道の駅「やまのうち」の食堂に信州蕎麦を発見。まぁ、道の駅でもいいか。せっかくの信州なのだからとざるそばを食べることにする。さすが信州!道の駅といえどお蕎麦の味はあなどれないものがある、、、、という訳にはいきませんでしたけどね。

 


志賀高原入口にて

高原と言うには高すぎる


11,100米??そりゃ高い

またもや高原地帯。観光バスや一般車両をパスしつつ登るにつれて気温が下がり出す。さ、寒い・・、と再度トレーナーとレインコートを着込んで走る。連休ということもあって志賀高原は観光客が多かった。のんびり景色を見ながら走る車を邪険に思いどんどん追い抜いていくうちに自分が全然景色を見ていないことに気付く。もともとがせっかちな性分なのだ。しかしひょっとしたら普段から急ぐ余りに大切な物事を見落としなら生活しているんじゃないかと考え始める。現代人の性がいつのまにか自分の体にも染みついているのだなぁ。強くならねば、急がねば、早く先へ先へ、と思うあまり背伸びをしすぎて、いつの間にか背伸びをしている事も忘れてしまって、強がっているうちに本当に強いと勘違いしてしまっている自分がいた。なんと余裕のない、なんとも横柄な人間なのだろう。旅のなかで気づく教訓も沢山あるものだ。

気を取り直して景色を見ていきましょう。この志賀高原と温泉で有名な(♪草津良いとこ〜一度〜は〜おいで〜♪)草津を結ぶ志賀草津道路は日本一高いところにある国道なのだという。四国最高峰の石鎚山(=西日本最高峰)ですら1982m。それよりもずっと上を今走っている。日本アルプスに代表される山々はどれも3000m級、そのスケールの大きさに胸が膨らむ。遠く視界の向こうにはアルプス連峰の山々が、、、、天気が良ければ見えるそうです。

草津の温泉街に下りてきたのが午後4:00頃。タケダのセオリーとしてはもうキャンプ地へ向かう準備をする時間。意外と今日は走行距離が伸びずに予測していたよりもずっと手前で日が暮れそうだ。どうもゆっくり温泉に入る余裕もありそうにない。
急遽、地図上で近場のキャンプ場を探す。一番近くて暮坂高原オートキャンプ場¥1000か。方向は逆だが野反湖キャンプ場¥1500。、、、前者だな。とまずはキャンプ場目指して進路を取る。途中食材を調達できるような商店は見あたらず。かなり田舎の山道に入ってしまった。キャンプ場で教えてもらったA-coopに買い物に行くが田舎の商店だけに夕食になりそうな物はあまり見あたらない。少々胃の調子が良くなかったのでカップ麺というのもカンベンだ。仕方なくビールとつまみのウインナーだけになってしまう。どのみち胃に良くはない。


『侘びしい夕食になってしまった』

ようやくたどり着いたキャンプ場「暮坂高原オートキャンプ場」静かな渓流沿いに整地されたキャンプ場で非常に綺麗な環境に恵まれている。ニホンカモシカの生息域にあり稀に見かけることも出来るという。まぁ、キャンプ場なんかの人が騒いでいるところにのこのこ姿を見せる間抜けなニホンカモシカもいまい。
なんとか日没前にテントの設営をする事が出来た。しかしながら“オートキャンプ場”というのがいけなかった。ワンボックスに荷物を詰め込んだ子ども連れがあちらこちらで騒いでいる。昨今の流行とはいえ、あまり誉められたものではない。文化を文化として捉えず、流行を商品として消費するだけの日本の風俗というのはいつまでも続くのだろう。

キャンプ場はフリーサイトに限ると絶対的にタケダは考えている。こうしたオートキャンプ場だとしっかりとした区画整理がされていて利用するエリアさえも指定されてしまう。そうなるとあまり好ましくない隣人に当たってしまうこともある。この夜のタケダのように。夕食を取っているタケダの側を、時にはタケダの使用しているサイト中を近所の子どもが走り回っている。隣のサイトではしつけの出来ていない父親がしつけの悪い息子を罵声で叱りつけている。はてには子どもをテントに連れ込み体罰を与えている様子。悲鳴ともつかない子どもの泣き声が聞こえてくる。どうしてこの人達は結婚して子どもを作ったんだろう。なんでキャンプなんかに来てしまっているんだろう。

どうも雲行きが怪しい。明日の天気予報は雨だが今夜にも降り出しそうだ。朝になって雨の中ドタバタと荷造りをしなくてもいいように今晩のうちに用意をしておこうと夕食を食べ終わったあと荷物の片付けに入る。
明日は一日中雨らしい。そんな中、秩父の山の中を抜けて太平洋まで出なくてはいけない。ほとんど日本列島横断だ。道順をしっかり頭にたたき込んでおこう。
ツーリングも2日目で疲れが溜まっている。9:00頃にはもう寝付いてしまった。

今日はこの近くにある尻焼温泉というところに行くつもりでいた。川がそのまま大きな露天風呂になっているらしい。楽しみにしていたのだがまた明日の朝にしよう。昨日も今日も疲れた、、、きっと明日も。
今夜もまた、厚い雲の下で眠る・・・。


『テントで明日のルート検索』

     

 

またまた続いちゃう