印相も一昔前は、「吉相印」などと言って、取り売りの安印鑑をベラボウな値段で売って回る連中が多かったのう。今でもその残党が暗躍しておるから用心してくれよ。先ず、生噛りの姓名判断をして、相手の弱点を突いて不安がらせる。そして、「名前が良くないから、吉相の印鑑で、それを吉に転換しなさい」などと言うて、何十万円で売り付ける手口が多かった。そんなに簡単に凶を吉に変えられるとなると、姓名判断は一体どうなるのかのう。
わしの所へも、「ある印相の先生に吉相の印鑑を作ってもらったが、一向に良くならない」とか、「先生イ―、それ以来出費続きです―」などと言うて来た者も多かった。
そもそも、ベラボウな値段の印鑑を買うこと自体が大出費じゃあるまいか。印鑑販売員の中には、彫元から届いた印鑑が余りに不出来であるから、「自分が彫刻刀で訂正して売っている」等という、笑い話のような本当の話もある。実際に、品格も何も無い、野暮ったい印鑑が多かったのう。印相ブ―ムであったから、彫手も忙しくていい加減に彫っとったのかも知れんが、そんな彫手から受け取った印鑑を、金目当ての販売員が売り回っていたのでは、買うた者の運が良くなる筈もあるまいて。
皆の衆、そうかと言って印鑑はどうでも良いという訳ではないぞ。形があるものには相がある。相があれば吉凶ありじゃ。印にも相がある。良い相の印には誤字が無く、何とも言えない品格と余裕があるものじゃ。ここの辺りは人相も印相も見方は一つということになる。次の、藤本先生の本でも見て、良い印を見る目を養うと良かろう。印鑑なしの生活はできんからのう。どうせなら、良い印鑑を持ってはどうじゃな。
序でながら、わしの実印と銀行印は地元の橋本さんに彫ってもらったのだが、ツゲ材で上品に仕上がっておる。印鑑を見れば持ち手が分かると言うが、フムフム。
それと、福運は福相を通じて入って来るから、何でもそうだが、貧相の者から購入すると、貧相が移るから注意してくれよ。宝くじでも同じことじゃ。売り手が福相をしている窓口で買うことが肝心じゃ。しかし、買い手が貧相をしている場合には、ウウ、何とも言いようが無いわい。しかし、それでも福相の者から買うに限る。さて、印相の本だが、
○藤本胤峯著【印章と人生】、【財運と印章】(新)は、印刻と印相の大家だけあって、内容が抜きん出ておる。朱の印影が多数載っておるから目の保養になるのう。
○三須啓仙著【大運を開く印相】(新) ○村瀬茂著【印相】(古)も大いに参考になる。
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