天童春樹の人相術
 
 
 人相術の本

 さあ、いよいよ人相の出番じゃ。「わしは人相見だから、人相の事については、ちょっとうるさいぞ」などと言っても、街頭占い師の言うことじゃ、大して響くまい。しかし、好きな人相のことだけに、どうしても話に力が入る。
 手相も人相の一部ではあるが、いざ運命鑑定となると、手相か人相かのどちらかに片寄るものじゃ。実際に客を前にして、手相も人相も両方とも、じっくり見尽くすのは難しいからのう。と言うよりも、実際に勉強してみると分かるが、どちらかが得意になるのじゃよ。わしは手相も見るが、人相で殆どの判断をしておる。
 京都は本能寺の門前で運命鑑定を続けた、三輪祐嗣という有名な手相見の先生はその著書の中で、人相について、「人相術の古典から、色々な勉強もしたが、人相は今一つ私には判りにくかった」と言っておる。名人にしてこれじゃ。わしは三輪先生には一面識も無いが、この先生は本当に正直で真摯な手相の研究家であったと思う。今日日の、「運命学全般を極めている。エヘン」などと、平気で言う占い師などとは根本的に違うわい。

 占いにも色々あって、人によって得て不得手というものがあるが、人相は面白いぞ。手相でもそうだが、人相の骨格と気色血色の見方を覚えれば、一代の運命から当面の運命まで、大抵のことは判るからのう。人相術も、やるのであれば奥までやらんと、中途半端では何も判りはせん。「人相学もマスタ―している」等という、モの付く占い師の中には、「顔に色々な景色や、人間や動物の顔などが浮き出てくることなどは有りえん」などと、恥さらしな事を平気で言うのがおるからのう。
 気色や画相(がそう)一つにしても、そこいらの、何でもやっている占い師の知るところではないのじゃよ。知らんのなら知らんで良いが、「画相などは無い」等と言うから大恥をかく訳じゃ。
 さて、人相の本だが、

「八木喜三朗 選集 観相発秘録」 八木喜三朗先生の本は絶版になって久しく、古書店でも非常に高価でしたがこの度、鞄圏m書院から復刊されました。これらの書は「八木観相塾」の教材でもありましたから、読まれた皆さんは八木観相塾で直に講義を受けているのと同じです。天道春樹は絶対お勧めです。

【第一巻】一般相法。
定価(本体価格16000円+税)
総ページ数 624ページ
著 者  八木喜三朗
発行者 八木喜三朗
発売元 株式会社東洋書院

【第二巻】気血色相法
定価(本体価格11000円+税)
総ページ数 408ページ(一部写真欠落あり)

【第三巻】刀巴心青
定価(本体価格10000円+税)
総ページ数 320ページ

【第四巻」保健相法
定価(本体価格11000円+税)
総ページ数 400ページ

 ○石龍子著【神相全編正義】(古)は、木判刷りで和綴じの三冊本と、ガリ版刷りのものとを古書目録で時々見かける。中国は明の頃に出されたという、神相全編(しんそうぜんぺん)という有名な相書を、江戸時代に石龍子(せきりゅうし)先生が解り易く書いたものじゃ。日本の人相術の教科書的存在と言える。是非読んでもらいたい。 
 【形貌學講義】(古)は、昭和の石龍子先生の著じゃなかろうか。先生の学識が高いのがよう分かる。

 ○水野南北著【南北相法】(新・古)は、江戸時代の人相見として有名な南北先生の代表作じゃ。復刊もされているから、是非とも読破してもらいたい。勿論、木版刷りの古書もある。
 【南北相法、極意修身録】(古)は、食と陰徳と運命について書いてある。最近は解説本も出ておるから一冊どうかな? わしはこの本を見るたびに、暴飲暴食を反省しておる次第じゃ。

 ○林文領著【林流相法、画相気色全伝】(新・古)も、復刊されて嬉しい限りじゃ。明治時代の人相見であった文領先生の秘伝が、この一冊に詰まっておるからのう。この一冊の重みは大変なものじゃ。復刊した本屋さんに感謝せんといかん。
 人相術の秘伝である、気色、血色、画相の見方と、具体的な判断の仕方が一目瞭然じゃ。アリガタヤ、アリガタヤ。しかし読み切る者は殆どおらんのが現実なのが淋しい。
 せっかく手に入れた、この有り難い本を読んでも、「訳が分かりません」では文領先生に申し訳がないから、分からん所はわしに聞いてくれよ。「分からん所ばかりです」と言う者は、白雲の会という運命研究クラブがあるから、クラブに入って研究してはどうじゃな。研究会といっても、茶のみ会のようなものじゃ。

 『白雲の会』には、偉そうな会長や、うっとうしい役員などという者はおらん。入退自由で、会費もいらん。全員が会員という倶楽部じゃ。会員同士が勝手に連絡を取って、「運命や人相について話そうではないか」とか、「解らない所を、お互いに問答して、スッキリしたいワ」などという時に随時集まって、美味いコ―ヒ―等を飲みながら、好きな運命のことについて「ああでもない、こうでもない」と話し合うのじゃよ。二次会もあるが、そこではワシの大嫌いなアルコ―ルも入って、否応無しに舌の回りが良くなる。そうなると色々な話が飛び出すから、奥伝科と言っても良かろう。
 県外からの参加も期待しておるぞ。葉書に住所、氏名、性別、年齢などを書いて、〒781 五一〇二 高知市大津甲九九九番地の、わしの所へ申し込むだけじゃ。わしの携帯電話〇九〇 七七八〇 八三五三へ電話して申し込んでもオッケ―じゃ。
 人相教室の生徒は別として、会員が今のところ二、三人しかおらん。淋しいのう。この間できたクラブだから仕方ないが、独りで勝手に二次会をやることもしょっちゅうじゃ。

 ○桜井大路著【人相の科学】(古)は時々見かける。わしが若い頃には、【人相学全書】として神宮館からも出ておったが、今では絶版になってしまった。この先生も有名じゃ。
 今は三代目じゃなかろうか。今の先生も実践をして、【観相入門】とか、【観相、顔にひそむ運命】という本を出して、今も活躍しておるようじゃ。初代直伝の見方があるとはのう。是非とも公開してもらいたいものじゃ。

 ○黄石洞著【神異賦全訓。付録、金鎖歌、銀匙歌、洞玄経、通玄賦】(古)は、千年余り前の人相術の古典である神異賦(しんいふ)と、その他の解説だが、読んでいると著者の人柄と学識がヒシヒシと伝わってくるのが嬉しい。
  高校生の時にも先生に本を送ってもらって読んだが、漢文ばかりで「何が何やらサッパリ」であったのう。ある程度実践して年が行くと、この先生の凄さが判ってくる。しかし、大体が、限定六〇部発行などとなっておるから、滅多に手に入らんのじゃ。
 この本もわしの売り食い生活を免れて、本棚でくつろいでおるわい。しょっちゅう読むから、擦り切れては勿体ないと、コピ―して袋綴じにして読んでおる。
 【人相格例】(古)は、先に話した八相の格について詳しく解説してある。 
 【顔面造作図説、目】(古)は、目の相だけを、図解で詳しく解説した珍しい本じゃ。この先生は本当によう勉強されたのう。恐れ入るわい。 【人相精説、眉】(古)は、眉だけの解説で一冊じゃ。読みごたえがあるぞ。色々な話が盛り込まれているのも面白い。どうしてこのように面白い本が市販されんのかのう。「世の中間違っとるゾ―」と言いたくなる。
 【神相金較剪】(古)は、中国の原書を分かり易いように解説してくれているが、人相の本としては珍本に当たるのではなかろうか。問いに答える形で、受け答えのうちに理解できるようになっている。

 ○吉村観水著【画相気色、観相奥秘伝】(新) この本は気色と血色と画相の観方の入門書としてはピカ一じゃ。「人相の勉強をしたい」という者にはこの本を勧めるのだが、決まって「難しい」という答えが返って来る。入門書でこれじゃからのう。一字一句キチンと読んで、自分の顔や回りの者の顔を詳しく観察すれば必ず判るはずじゃ。
 顔に現れる気色と血色と画相が分かると、現在の運命と成り行きの吉凶が具体的に判断出来るから、実際に役に立つし、何といっても楽しいではないか。

 先ずは、この天童のいうことを素直に信じて、わしの勧める本を本気で読んでみてはどうじゃ。わしは人相術の勉強で随分と遠回りをしたが、わしと同じことを繰り返すこともあるまい。運命学を勉強しようとしても、良い本に出会うのは余程の縁がないと難しいのじゃよ。素直にわしの言うことを聞き入れてはどうじゃな。片っ端から買い漁ってみるのも結構だが、三百万位は用意しとくことじゃな。

 ○目黒玄龍子著【玄龍子相法】(新・古)は、大正から昭和にかけて有名であった、初代と二代目の玄龍子(げんりゅうし)先生の共著じゃ。人相術を科学的に究明しようとする姿勢がよく現れている。わしが習ったことのある、大阪の八木喜三朗先生は、二代目玄龍子先生の高弟であったそうな。
 【相法原基】(新)は、江戸時代から伝わっているとされる、観面秘録(かんめんひろく)という相法を、新しい研究と形で紹介している。これらの相法も大変面白いので、一冊をお勧めする次第じゃ。わしが若いころには、青写真の本であったように覚えているが、最近は三代目玄龍子著として新本が出ておる。内容も新しく、値段も安いから、ぜひ一冊どうじゃな? 
 【蒙色望診】(古)は、身体に現れる色と病気の関係を研究した珍しいものじゃ。体表に現れる蒙色(もうしょく・薄暗い色)と病気との関係を説いて、その色を鍼灸などによって消せば、病気も治ると説いている。実際に、蒙色の気色は、タバコの火を近づけるだけで、見る間にス―ッと消えるのじゃよ。「二十一世紀の医学」と銘打ってある。
 鍼灸師や治病に当たっている者には、是非とも読んでもらいたい一冊じゃ。是非とも復刊してもらいたいのう。
 【観相神通秘録】(古)は、初代玄龍子先生の著作だが、小冊子ながら、読めば読むほどに実力が付きそうな気がする本じゃ。
 【色情人相学】(古)は、恋愛や性愛の色情に関する見方と、顔面部位と気血色のことが簡潔に載っているので分かり易い。
 【車人形活断】(古)も、玄龍子先生の著作だったと思う。青写真版で、人相を見て易(えき)を起こして判断する、車人形(くるまにんぎょう)というのを説明してある。「初学の徒禁見」とあったのが印象深かったのう。

 ○中司哲巖著【觀相軌範】(古)は、絶版になっているから入手はちと難しかろう。しかし、この先生は、あちこちの図書館にこの本を寄贈されておるようだから、是非とも図書館で探してみてはどうじゃな? 古典の抜粋と解説、鑑定書の書き方など、殆どのことが網羅されておる良書じゃ。日本有数の人相見と言うだけあって、内容にも自信が溢れておる。
 【觀相學の実地応用】(古)も、実地鑑定には打ってつけの本じゃ。
 【觀相の秘訣】(古)は、小冊子ながら内容は濃い。

 ○八木喜三朗著【観相発秘禄】(古) さて、いよいよ、ワシも習ったことのある八木先生の出番じゃ。八木先生のこの本は、通信講座も兼ねていただけあって、人相術の殆どが網羅されておる。しかし、絶版になっているので、滅多に手に入らんのが残念じゃ。
 【観相発秘禄・気血色相法】(古)は、顔面の部位と、そこに現れる気色や血色による、色々な問題の判断法を詳しく説いてある。気血色をマスタ―すると、「黙って座れば・・」という事になる訳じゃ。
 【保健相法】(古)は、病気の観方が詳しく載っている。
 【刀巴心青(とうはしんせい)】(古)は、恋愛などの色情の問題の観方を載せてある。刀巴心青とは、色情という字を分解したもので、人相術の隠語じゃ。
 以上の八木先生の本は、なかなか手に入らんのが現状じゃ。有っても、相当の値が付いておると思う。セットで十万円位なら、わしなら飛びつくが、到底それでは有るまい。何とか復刊をお願いしたいのう。希望者が百人くらい集まれば、ひょっとしたら復刊してくれるかも知れんから、その時には先輩にもお願いしてみようかのう。

 ○中村文聡著【観相入神伝】(古)は、顔面の部位と色で、易を起こして判断する方法を説明している。文聡先生は、初代玄龍子先生の直弟子ということじゃ。
 わしが高三の時に、「人相術の通信講座はありませんか」と、文聡先生に問い合わせたところ、先生から、「大阪の八木喜三朗という先生が通信講座をやっています」とご返事があり、八木先生の住所も知らせて下さったのは有り難かった。そのご縁が無ければ、八木観相塾も知らんままで、人相見にもなっていなかったかも知れんと思うと、縁の不思議に打たれるのみじゃ。いつも、良い先生に恵まれたと感謝しておる次第じゃ。

 ○大熊光山著【光山相法・人相学講話】(古)。光山(こうざん)先生も、初代玄龍子先生の直弟子ということじゃ。玄龍子先生は良い弟子に恵まれたのう。余程の人徳があったのじゃろう。
 この本には形と気色の両方が載っておる。「画相は見ると消える事がある」と載っていたと思うが、実際に画相も見つめられると恥ずかしいのか、消える事がある。正体がバレて消えることもある。
 そればかりではないぞ。画相はこちらの質問に応じて、その場で喜怒哀楽の表情を変えることもあるのじゃよ。わしは、最近は画相と話をしておる。

 ○石本有孚著【人相学大全】(新) 石本先生は八木先生の直弟子であるから、わしの大先輩でもあるが、文面から非常に几帳面に人相を研究している様子が窺われる。

 ○尾栄大寛著【人相術実占集】(新・古)は、血色とか画相とか色々なことが載っている。

 ○近藤芳眼著【人相画相の見方秘傳書】(古)は、気色と画相の見方を図解で説明しているから分かり易い。

 ○大和田斎眼著【人相観法】(新)は、先生直筆の豊富な図解と、見事な解説が実力のほどを窺わせる。

 ○梶尾太郎著【顔による診断と治療】(古)は、題の通りじゃ。
 ○天童春樹著【人相術講座・十八冊】(新) 序でにわしの本も宣伝しておくとするか。これはワシが人相教室で講義したものを纏めたものじゃ。大体七〇〇ペ―ジ位で、人相術の古典である神異賦(しんいふ)の解説から、気血色と画相の見方、項目別鑑定の仕方と、大抵のことは鑑定できるように順序だてて載せてある。真面目に勉強してマスタ―すれば、直ぐにでも運命鑑定家になれるという代物じゃ。文面も優しいぞ。「わし」等という言葉は使ってないからな。
 この本にはワシが今までに読んだ本と、三十年余りの実践が詰まっておる。身びいきもあるが、是非とも読んでもらいたいのう。「何?、ホ―ムペ―ジの易者の独り言だけで充分ダア?」 ハイハイ。

 しかし、時々おるが、「占いを勉強をするには、色々と覚えんといかんのですかア?」などと聞くような、トボケた連中にはワシの本の内容も到底分かりはせんから、買うだけ無駄じゃ。この講座は、百セット製本して、あと残りが三十セット位しか残ってないから、欲しい者は急いだほうがええぞ。わしが死んだら、値が跳ね上がるかも知れんからのう。それか、タダ同然になるかのどちらかじゃ。
 発売元は大阪の中尾書店だが、わしに直接注文しても構わん。本の定価は消費税込みで、二万二千八百円となっておる。「何? 高い?」 ハイハイ、ハイ―と。