手相と言えば思い出すのう。わしは高校一年の時分から運命学に、「ハマッタ君」となったのだが、縁があって一番最初に読んだのが、大和田斎眼(おおわださいがん)という先生の、「手相の見方を本で覚えたい人に」という本じゃ。題からして、手相の見方を本で覚えるにはピッタリじゃ。この本は今でも市販されておるから、皆の衆も一度は読んでみてはどうかの?
自分の手の線を、本を見ながらあれこれ判断するのも面白いぞ。判断が気に入らん場合には、「この線は、図解のこれとはちょっと違う」などと思って、勝手に良いように判断するに決まっておるわい。
それから、中村文聡、門脇尚平、出雲又太郎、沢井民三という先生や、その他の先生の本も大抵は読んだものじゃ。懐かしいから今でも時々読んでおるが、良い本は何回読んでもエエのう。これらの先生の本は今ではなかなか手に入らんものも多いが、運が良かったら古本屋で巡り会えるかも知れん。
若いときに、門脇尚平先生と大和田和代先生には二回ほど見てもらった事があるが、サスガじゃった。十九か二十歳の時じゃ。「私は大阪の八木喜三朗という先生に、人相を習っています」などと言って、色々と質問をしたものじゃ。横着なわしの質問にも丁寧に応えてくれたのは嬉しかったのう。
わしらが、好きな占いの研究ができるのは、先輩の苦心と研究のお陰なのだが、そんな当たり前のことも分からん占い師がようけ増えたように思う。直ぐに解った風なことを言うからのう。そんな奴には、「自分が手相術を編み出したのかい?! 先輩のお陰だろうが」と言うてやるのじゃ。そう言うと決まって黙り込むのじゃよ。
これから勉強する者は、大先輩の名前位は知っておいてくれよ。さて、懐かしい手相の本だが、
○大和田斎眼著【手相の見方を本で覚えたい人に】(新)は、今でも市販されておるのが嬉しい。実力者の波動がビシビシと伝わってくるわい。赤と黒の二色刷りで、見やすさも抜群じゃ。
「何? わしに勧められて読んだが何とも感じん? ピンとこん? そりゃ読み込みが足らんのじゃよ」、「何? 百回も読んだ? それでも何も感じんのかいな。それなら読むのを止めたらどうじゃ。お花でも習いなさい」
【キロ原著、手相の言葉】(新)は、世界的に有名なキロという手相見の著書である、「手の言葉」を斎眼先生が訳した日本語版じゃ。初っ端にキロ大先生の顔写真が載っておるが、三白眼のスゴイ人相をしておる。この本は、近代手相学の教科書的存在と言ってもよい良書じゃ。
○沢井民三著【手相の事典】(新)は、斎眼先生の、「手相の見方を本で覚えたい人に」と共に、わしの若い頃から今までズ―と市販されておるロングセラ―じゃ。
この本は、西洋手相学の総まとめという観がある。図解が多いのは嬉しいが、図解にあまり囚われてはいかんぞ。説明を読んで、その言わんとする所を掴んでくれよ。
時々、「私の手相は、どの本にも載っていません」とか、「私の手相の、ここの線は、どの本にも載っていませんが・・」などと言うて来る者がおるが、線の位置とか意味の、基本をしっかり覚えたら、後は臨機応変に判断せんといかんのじゃよ。何でもそうだが、「どうして、そのような意味があるのか」ということを考えていかんと応用が効かんからのう。
著者にしても、皆の手相を一々図解して載せとったら、一億ペ―ジでは足らんから、何時迄たっても本が仕上がらんのではなかろうか。それでは著者が可哀想じゃ。手型、丘、主要線などの、基本をしっかり頭に入れて、後はその応用じゃ。場数を踏めば自然と正しい判断ができるようになるから心配ない。
○中村文聡著【新手相術】(古)は、文聡先生の手相書の総決算とも言うべき本だが、今ではなかなか手に入らんのが残念じゃ。【手相明鑑】(新)は、今でも手に入る。
【手相現象秘録】(新・古)は、今でもあるから是非とも読んでもらいたい一冊じゃ。この本は手相の気色血色の見方と判断法を詳しく解説した珍しいもので、読んでも読んでも興味が尽きん。手相の気色と血色について、これほど具体的に書いている本は他に見たことが無い。他にあったら是非ともワシに教えてくれんかのう。
この本を読んでみて、「気色や血色が判らないのですが・・」とか、「実際の判断の仕方が分からない、トホホ」という者は、直接わしに尋ねれば親切丁寧に教えるから、遠慮せんでええぞ。手ぶらで来るか、土産を持って来るかは心次第じゃ。わしは酒好きだが、最近は酒を控えておるという事だけは言って置く。
○門脇尚平著「手相への招待」、「手相の総集」、「手相早わかり」は、門脇先生の三部作といって良かろう。最近はワイド版で復刊されているから、是非とも揃えてはどうじゃな。
門脇先生には、是非とも気色と血色の本を出してもらいたいのう。先生は、手の線の判断は勿論だが、気色と血色での判断が巧い。
大体がじゃ、手相人相の上手は、気色と血色を見るのが巧いのじゃよ。当面の微妙なことは、手のひらや爪の色や、部分的な気色と血色に現れるから、気血色が分からないようでは未だ未だということになる。手相人相を勉強しても、気血色が分からないから、仕方なく外の占いを併用しているという者も多いのではなかろうか。
○出雲又太郎著【手相の見方】、【読掌術】、【手相の実相】その他は、全部絶版になっているのではないかと思う。先生の著書は滅多に手に入らんのが惜しい。
○小西久遠著【図解、手相学】、【人生予言、手相学】 この先生の本も全部絶版だと思う。西洋手相学を日本に紹介した先生だけあって、読みごたえがあるのう。人相術の大家でもある。経験が滲み出ておるわい。
○三輪祐嗣著【手相の解説】その他、(古)も、滅多に見かけん。この先生にはお目にかかったことが無いが、京都の本能寺の前で二、三十年立ち見をやっていたように聞いておる。良く当たるということで有名であった。
先生の本を読んでいると、わしとは脳の皺の数が違うのがよう分かる。信念を持って、運命に関する一切を、非常に熱心に研究されたようじゃ。
○梶尾太郎著【手相がひらく健康生活】、【手相の健康法則】は時々見かける。多分(新・古)じゃ。病気の診断と治療と健康法に詳しいから、必読の一冊じゃ。
○尾栄大寛著【手相術実占集】(新・古)は、図解が多いから初心者には見やすいと思う。しかし、前にも言ったように、いつまでも図解に振り回されてはいかんぞ。「私の手相が載っていない」などと心配な顔をせんでくれよ。応用じゃ。応用。
○宮本雄介著【幸福の診断・指紋に観るあなたの一生】(古)は、指紋と運命について非常に詳しく説明してある。絶版になっているが、たまには古書目録で見かけるから、指紋も是非研究してもらいたいのう。わしの売り食い生活を逃れた、貴重な一冊でもある。
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