★・・・ 指揮者のお話 ・・・★
昨年の金賞受賞から1年・・・コンクールで金賞をとることの難しさを本当に痛
感した。
とくに選曲には、頭を悩ませた。自分たちの歌いたい曲を歌うのか、それとも自
分たちのスタイルに合った曲を歌うのか・・・それが合致している団はスムーズ
に事が運ぶのであろうが、セレアンはそれが合致しているのかどうかもわからな
い。
とりあえず答えとして“歌いたい曲”を選ぶ、課題曲は「やわらかいいのち」だ。
松本望さんのデヴィジョンの多い難曲、しかし歌うほどに、その変拍子が心地よ
く詩にまとわりつく・・・相手のことを思い必死に語りかける作詩者のおもいが
胸に響いてくる。最終的にこの曲に取り組んだことは、これからの合唱を通じて
自分たちが「何をどうしたいのか?」ということをおしえてくれたような気がし
て、とても有意義だったと思っている。
そして自由曲は、「シャンティクリア結成25周年記念曲集」から2曲を選んだ。
1曲目ヘンリー・パーセルの「Hear
My Prayer,O
Lord(私の祈りを聞いてくださ
い、主よ)」は8声からなる壮大なポリフォニー、前半の囁きから後半の叫びへと
曲に力がみなぎっていく様子は圧巻。
2曲目クルト・ワイルの「Lost
In The
Star」は、もともとミュージカルの中の
ソロ曲で、合唱編曲の中にもソロの占める部分が多い。星空を見上げて嘆き悲し
む主人公の思いが惜しみなく表現されている。とてもコンクールの自由曲として
勝負すべき歌ではなかったかも知れないが、この曲は是非ともこの舞台で“歌い
たい曲”であったのは事実。自分としてはやり遂げた感はある♪
おもえばコンクール前日の練習は、台風接近による警報発令でやむなく中止。ソ
リストの体調もイマイチで、当日1時間しかなかった練習でもヘロヘロ状態のま
ま臨んだ本番。。。しかし、ステージに立った瞬間にドーンと視界がひらけると
てつもなく広い空間の素晴らしいホール!いつも狭いところで練習しているセレ
アンメンバーにとっては“水を得た魚”のように、臆することなくよく声が出て
いたと思う。パートバランスが悪く、時々ピッチも狂うので、合唱としての出来
は「?」だったかも知れない。
本番の演奏が終わって、審査結果待ちの時間中に、愛媛の佐藤陽三先生から声を
かけられ「白神さんは、おもしろい曲を選択するね。」と言ってもらえた。これ
は「うまかったね」と言われるよりも、ボク的には嬉しかった。その後、ロビー
でいっしょにダベっていたぜんぱくさんからも「セレアンの自由曲、カッコイイ
ですね!どんな楽譜か見せてくださいよ♪」と・・・う〜ん、やはりみんなそう
感じていたんだなぁと。“ツカミはOK!”だっただけに“技術はNG?”ってこと
にならないでほしいと願っていた。
結果は10団体中、4位の【金賞】・・・2年連続の金賞受賞にホッとひと安心。
順位だけみれば“真ん中”だが、セレアンを評価してくれた審査員の先生もいら
したので、本当によかった。また来年に向けてがんばろうと思う。
表彰式 2011年9月5日朝日新聞より
★・・・ 審査員先生方の講評 ・・・★
★澤島
富男先生
課題曲:よくまとまった素敵なアンサンブルですが、何よりつよいので音楽表現
が素晴らしい!
自由曲:1曲目24〜ラストまでの盛り上げ、素晴らしい感動です。2曲目Solo、お
二人とも素晴らしい感情表現です。1ヶ所はフォルテを作ってください。楽譜にな
くてもクライマックスを作って!指揮者の深く強い音楽性に拍手です。もし出ら
れたら全国もがんばって!
★信長
貴富先生
課題曲:言葉からあふれる情感の表出が見事!ときどきパートバランスの悪さと
音の置き方への確信の不足があり惜しい。
自由曲:面白い選曲ですね!Soloのお二人に全部もっていかれたかんじです。ハー
モニーときどき疑問譜が浮かびました。
★内田
陽一郎先生
皆さんが歌いたいことがしっかり伝わってくる見事な演奏でした。ダイナミック
スの面もよく構成が考えられています。
2曲目のSoloは、【A】も【C】素敵でした。ついつい聴きほれて書くのを忘れてま
した。
★香月
ハルカ先生
細やかに揺れるハーモニーとテンポの中に熱いメッセージの込められた課題曲、
歌詩の表現などかなり留意された演奏でしたが、内声部の音程が不正確だったり、
バランスが悪かったりで、今一歩の仕上がりでした。
自由曲はやわらかな英語の響きでのびやかな音楽が流れましたが、ところどころ
ぴったりこないハーモニーがきこえました。
★上月
明先生
少ない人数での多声部の曲への挑戦、見事です。歌うことへの積極的な姿勢が伝
わってきて、好感がもてます。アルトがやや弱くてアンバランス