(2012第1回)片道90分の海外旅行−その1−

 韓国へ行って来た。19年ぶり2回目である。

 前回の旅行は、1993年10月。当時の韓国は、まだ一部に途上国の面影を残した国、軍人の姿がやたら目に付く「こわもて」の国、という印象があった。それが今では、すさまじい経済発展を遂げた先進国、韓流ドラマに象徴される女性好みの国に変貌を遂げていた。

 今回も、拙い旅行記にしばしお付き合いを願いたい。


行程など

高松空港で乗り込む直前のアシアナ航空機2月12日(日)
 高知からマイカーで高松空港へ
 高松空港発18:00 仁川空港着19:45

2月13日(月)
 南山韓屋村
 景福宮
 仁寺洞散策 免税店巡りなど

2月14日(火)
 昌徳宮 免税店巡りなど
 仁川空港発16:00 高松空港17:35

帰途、仁川国際空港にて 時刻表では、高松・仁川間は95〜105分かかることになっているが、実際の飛行時間は
90分もかからない。韓国とは時差もない。出入国手続きは要するが、ちょっとした国内旅行よりもずっと手軽で身近な旅である。

 しかも、今回は、大手旅行会社のパックツァーを利用したため、2泊3日の航空運賃、ホテル代に食事5回がついて、なんと
一人29,800円!燃油サーチャージや空港利用税を含めても、一人37,200円という格安の旅となった。この時期は、厳寒期。一日の最高気温が氷点下ということも珍しくない。したがって、この旅費設定はオフシーズン価格ということかも知れない。

たびびと

 この旅の同行者は、かみさん。韓流ドラマが大好きで、韓国に興味津々、行く気満々のオバサンである。昨秋、私の父が入院したとき、かみさんに病院に泊り込んでもらって苦労を掛けたこともあり、父が全快したことから、今回は、かみさんへの
慰労の旅でもある。

景福宮にて ご覧のような着ぶくれ状態で寒さに備えた 
「何もこんな寒い時期に」と文句を言うかと思ったら
 
「氷点下10℃とかも体験してみたい」と、意気軒昂である。

 一方、私のほうは、「頭の体操」と思って少しだけ韓国語講座に通ったこともあるが、理解度など、
全然たいしたことはない。ただ、「現在の韓国」がどうなっているかについて、関心は少なからず持っている。

 そんなオジサンとオバサンによる滞在約44時間の旅である。

【第1日目 2月12日(日) 高知→高松→ソウル】

仁川空港

高松発仁川行きアシアナ航空機では短時間のフライトながら軽食が出た 定刻より少し早めに高松を発ったアシアナ航空機は、気流の関係で少し揺れたものの、順調にフライトを続け、ソウル郊外の仁川国際空港に着陸した。

 入国審査では、帰りの航空便が分かったほうが審査がスムーズかと思い、パスポートにEチケットを挟んで審査官に渡したところ、審査官のにいちゃんは、Eチケットを一瞥しただけで
「こんなもの要らないよ」とばかり無言で返してきた。両手の人差し指を読み取り機の上に載せて、指紋をとった後、入国スタンプをポン。無愛想ではあるが審査自体はいたって簡単だった。

 税関も、申告書を見ただけで荷物を開けることもなくOK。

 スーツケースを転がしながら到着ロビーに出て、出迎えの旅行会社現地係員を探すが、私たちの旅行会社のマークが見つからない。他社の係員が
「どこの会社?」と聞くので「A社です」と言うと、「あちら」と、指をさして教えてくれた。すると、「A社」の社名の上に「B社」の社名も書いた紙を持っている女性が立っていた。

 「アンニョンハセヨ。ぽんどイムニダ。チョウム・ペッケスムニダ(こんにちは。ぽんどです。はじめまして)」
と韓国語で挨拶すると、「おお!」と驚いた表情で言って、「朴銀淑(パク・ウンスク)イムニダ。ぽんどさん、同姓の方、韓国にもいます」と一言。(「朴銀淑」は仮名。以下、文中の人物名はすべて仮名です)

 私の名前=姓名の特徴は、
「韓国人から韓国人と間違えられやすい日本人」ということである。姓が1文字だし、韓国にも漢字表記すれば私と同姓の人がおられる。


 
「アラッスムニダ。チョヌン・イルボンサラミムニダ。チャル・プタカムニダ。(知ってますよ。私は日本人です。よろしくお願いします)」と応じた。

旅行会社2社

 朴さんは、A社とB社の双方の現地係員を務めていて、これから夕食場所とホテルへは、両社のツァーが同じバスで移動するらしい。

 実は、今回の旅行は、当初B社のパックを利用するつもりで、行程表なども取り寄せていた。あとでA社の方が条件が良いらしいということになって、B社には
「都合で行けなくなった」と言って断っていたのである。AB両社とも同じ日程で同じ航空便。ということは、断ったほうのツァー参加者と係員と一緒にソウル市内に向かうわけだ。複雑な心境・・・。

黒一点

 ツァー全員が揃った。A社11名、B社4名。うち
男性は、私一人。要するに、買い物と韓流ドラマが目的のオバサンの群れに場違いなオジサンが一人紛れ込んだわけである。

 朴さんは、最後にトイレから出てきたオバサンを手招きしながら、ドスの利いた声で
「行きますよ」と催促。なかなか迫力のあるガイドさんである。推定身長175cm。テコンドーの有段者のような体型だ。私は、こっそり、朴さんに「ゴッドヌナ」なるニックネームを献上した。
(「ヌナ」は、韓国語で「お姉さん」。本来男性が自分より年上の女性に対して使う言葉だが、カタイことは言わないで欲しい)

 にしても、ゴッドヌナの
足の速いこと。私のような短足で鈍くさいオジサンは、ついていくのがやっとである。

 寒い!気温は
0℃くらいだろうか。分厚いダウンジャケットの前を合わせて震えながらバスに乗り込む。これでも、この時期としては暖かいほうで、先週は氷点下10℃以下と言う日もあったようだ。

 いかにも、この旅の前途の厳しさを象徴するかのようなソウル第一歩目である。そして、実際に、旅行中には、ぼったくりまがいの店に入ったり、大切なカメラが見当たらなくなったり・・・。

−続く−

(2012/03/08)





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