肥満について
メタボリックシンドローム(症候群)を俗に「メタボ」と呼んで肥満と混同していますが、本当は少し概念が違います。

肥満は体の脂肪組織が過剰である状態で、現在はBMI(体格指数)がその基準に用いられています。BMI25以上が肥満とされ、次の表のように分類されています。


食生活の変化とともに肥満の増加が重大な問題になっており、2000年にはBMI25以上の肥満者が男性で25%いるとされています。
BMI 判定
18.5未満 低体重
18.5以上25未満 普通体重
25以上30未満 1度肥満
30以上35未満 2度肥満
35以上40未満 3度肥満
40以上 4度肥満

BMI
BMIは次の計算式で求められます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

下の計算機であなたのBMIが計算できます。半角数字で入力して下さい。
体重 (kg)
身長 (cm)
BMI
コメント


肥満のタイプ
肥満には2つのタイプがあると言われています。

一つは中年の女性に多いタイプで、下腹部から腰、大腿にかけて脂肪が付いているタイプで、「洋なし型」と呼ばれます。また、もう一つは肩から胸、腹部とずんぐりと脂肪が付いているタイプで、「リンゴ型」と呼ばれ中年の男性に多いとされています。

体脂肪には2種類あります。一つは皮下に付く皮下脂肪です。もう一つは腹部内臓周りに付く内臓脂肪です。実は同じ肥満でも、この脂肪の付き方で大きな違いがあると言うことが解ってきました。

洋なし型の肥満は主に皮下脂肪によるものです。一方リンゴ型の肥満は内臓脂肪が多いと言うことが解っています。どちらが良くないかというとリンゴ型に多い内臓脂肪の方が悪さをすると言うことが解ってきました。

メタボリックシンドローム(症候群)
肥満があるといろいろな血管合併症を引き起こすと言うことが言われてきました。かつて肥満に高血圧、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病の4項目を伴うものを「死の四重奏」(deadly qualtet)と呼び、危険な状態と考えられてきました。

肥満の中でも特にリンゴ型肥満で見られるように、皮下脂肪よりも内臓脂肪の蓄積を伴った状態が糖尿病、高血圧、脂質異常、血液凝固異常などをきたしやすく、心血管病を起こしやすいと言うことが解ってきました。

その事から、肥満で内臓脂肪を伴った状態を「内臓脂肪症候群」とよび、さらに発展してメタボリックシンドロームとして考えるようになったのです。
メタボリックシンドロームの定義
2005年に我が国独自のメタボリックシンドロームの定義が発表されました。腹腔内脂肪(内臓脂肪)はCTにて測定するのが正確なのですが、全ての人にするのは困難なため、おなか周りの腹囲で代用すると言うことになり、男性は85センチ、女性は90センチ以上と言うことになりました。

腹囲が基準以上で、さらに脂質、血圧、血糖値のうち2項目で異常があればメタボリックシンドロームという診断がつきます。

しかし、特に女性の腹囲の設定はもう少し低い方が良いという意見があります。

メタボリックシンドロームの危険性
内臓脂肪を伴うメタボリックシンドロームの状態になると様々な血管合併症を引き起こすと言うことが解っています。脳梗塞、頸動脈狭窄症、狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、肺塞栓症、腎硬化症などです。

メタボリックシンドロームの人は約5〜12年間の観察期間中でそのような心血管系疾患の発症が通常の人の2〜3倍になると言うことが報告されています。

また、肥満の人は睡眠障害を来しやすく、がんの発生も高いことが報告されています。特に子宮体癌、乳癌、大腸癌、肝癌、胆嚢癌などが肥満と関係あるとされています。
インスリン抵抗性
さらにメタボリックシンドロームの状態ではインスリン抵抗性という状態をもたらします。

インスリンは血糖値を下げるホルモンです。このインスリンが十分出ているのに効果が無くなり、血糖値を下げる事ができなくなるのがインスリン抵抗性です。

インスリン抵抗性ができると、肥満がさらに進み、高血圧、脂質の異常、糖尿病などを引き起こし、動脈硬化がさらに進展します。