Silent Night    



    




「なぁ、しゃんくす……」
 大丈夫だよな、まで言えずにしゃくり上げる小さな子ども――
十分己を責めてる彼の頭に掌を乗せ、ぐりぐりと手荒に撫でてやる。

「シャンクスがこんな事で負けるわけないだろーが」


「み、みんな、怒ってる?」
 おれのせいで、シャンクスけがしたから…
そこまで言って耐えきれずにまた泣き出す。
声を出さずに泣く、切なくなるような泣き方だ。



「そんな泣くなよ。海賊になるんだろ」

「だってだって」


 海賊にとって利き腕は命と等価。
それを自分を助けるために失った……


「おれのせいで」

 静かに泣く子どもの、強ばった背を軽く叩く。


「大丈夫だよ」



あの人は悔やみはしない。そして、俺達も。
あの人が決めて為したことだ。俺達は受け入れる。
 そうだ、俺たちは何度となく許してきた。


 あのとき―――


 自分が海賊となったがために、
見せしめとして家族が処刑された新入りの嘆きを聞いたシャンクスの怒りは、冷たく燃えるようだった。
 いっそ冷静にその国を調べ、敵対する北の蛮族と結び、数百年にわたって栄えた大国を滅ぼしてのけた。

 あのときも、誰もシャンクスを止めはしなかった。



 その国で、見つけてきた男を傍に置いた時も。
 あの人がたった一人を選ぶのを押し止めようとはしなかった。
まぁ、止められるものでもなかったが。

俺には、俺達には―――









 けれど
 けれど、こころが痛い。

 シャンクスが負けるはずがない、


 こんなことで。
 あの人のことだ。
 傷さえ癒えればきっと「ドジった」と笑って……


 けれど――

 どうか
 どうか

 ………………



 長い、暗い夜は、祈りに包まれてふけていった。







2002.9.26





☆ ボウシ君の独白。
シャンクスが腕を無くした夜のことですね。
えっと〜ボウシ君にも屈折はあるようで〜
いったん言い出したら、止まらなくなったようです。ほほ〜

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