誰もが一度は経験したことがあると思います。愛媛みかんだから美味しいと 思って買ったのにまずかった。そんな思いをされたことはありませんか。
みかんの味は同じ愛媛みかんだからと言って、すべて同じ味ではありません。 宇和島・八幡浜を中心とした南予地方と瀬戸内を中心とした中予地方でも違 いますし、宇和島市の狭い所でも場所によって違います。 極端にいえば一本の樹でも、外側部分に成っているものと内側に成っている ものでは味が違います。また隣どおしの畑でも栽培管理によって違います。
ではどうすればまずいみかんを避け、美味しいみかんを手にすることが出来 るのでしょうか。それは皆さんのみかんを見る目を、養って頂かなくてはな りません。 美味しいみかんとは美味しいためには甘いことが絶対条件ですが、甘いだけでは美味しくありません。 それには適度な酸味が欠かせません。それは砂糖と塩の絶妙なバランスで作りだ される味に、似かようものがあるかもしれません。
一般的に美味しさの基準は、糖度12度・酸度0.9度・甘味比13.3と言われていま す。この甘味比が重要な目安で、食味が良いといいます。 糖度12度で酸度1度であれば酸っぱさを感じます。また0.8度あればもの足りな く感じます。 糖と酸の関係はみかんの味の良しあしに深く関わっていて、酸が高くないと糖も高 くならない関係にあります。酸っぱいから甘いかと問われれば、それは否定しなけ ればなりませんが、それは脱酸の早いか遅いかに関わっています。
極早生を食べてみてこれは甘いなと思われる方はあまりいないと思いますが、思わ れる通り甘くはないのです。極早生はみかんの中で脱酸が最も早くて糖の高くなる 暇がないのです。ですから酸っぱくもないけど余り甘くないなといった物になるの です。 反対に脱酸の遅い・普通温州・十万温州・青島温州などは大変糖度が高くなります。 年末にかけてみかんが美味しくなっていくのは、そのせいなのです。
美味しいみかんの見分け方美味しいみかんは一にも二にも紅い。赤いのとは違います。スーパーなど暖房の入っ たところなどに置かれているものに、真っ赤になったものを見かけますが、あれは 熟れているのではなく、果皮だけ赤いだけです。 極早生などでよく見かけますが、まだ青い部分が半分ほど残っているものを、温度を かけたりカーバイトで蒸したりして、色をつけたりします。それをカラーリングと呼 んでいますが、それと同じことです。
自然に熟れた物で滅多に目にしませんが[紅が入る]といい、小さな筆の先でチョンチ ョンと果皮をつついたように一段と濃い紅色が見られることがあります。このような みかんは必ずと言っていいほど、美味しい物です。 手にした感じでは搗きたての餅のように柔らかくはりのある物です。そのような物で 本当に良い物なら20センチの高さから落とせば、実は割れてしまいます。
また普通温州などのように貯蔵期間の長い物中には、果皮にしわのよっている物など が見受けられることがありますが、これはみかんが果皮を犠牲にして実を守っている ということなので、問題ありません。むしろ硬いほうが問題あります。
みかんは梨や桃・リンゴなどの落葉果樹と違って、大きい物より小さい物の方が美味 しいと言えます。以前はLサイズが人気でしたが、近年ではMサイズに人気は移ってき ています。 さらに細かく言いますと、へたの色が黄土色の物です。茶色や茶褐色ではありません。 また濃緑色でもありりません。黄土色はみかんの完熟サインなのです。 みかんの成っていた軸こちらでは成り房と呼んでいますが、これが細い物を選んでく ださい。そして成り房の反対側の尻部分ですが、ここが小指の先で押さえたくらい凹 んでいて、その部分が周りより一段と紅い物を選んでください。
みかんは尻部分から熟れてきます。青い時尻部分がほんのりと色づいて来た頃のことを ホタルになぞらえて、ホタル尻と呼んでいます。 雑柑について
雑柑とはみかん以外の物を言います。雑柑はみかんと違い美味しい物を見分けるのは困 難です。ただ一つ言えることは、手にした時しっとりとしていることです。乾燥肌のよ うにカサカサしている物は、まず駄目なものと言えます。 もう一つ言えることは実を剥いたとき、実の紅い物ですが買い求めた後では手遅れです ので参考までに。