令和5年  ・・・・1/30日配信
上・・ポンカンの出荷・セリの状況・20日ころ梅が咲きました。
右上・・
左中・・
     右中・・
   
   
下・・ポンカンなどの出荷状況・ヒヨドリの食害です

田舎暮らし 今時のみかん作り

殿、江戸表からの知らせで、江戸ではみかんが大変な高騰をしているとの、ことでございます。いか程の高騰か、もうしてみよ。

紀伊の国の紀伊国屋文左衛門以来との、ことだそうです。

江戸時代であればこんな会話がなされたかもしれないが、そんな会話が現実にありえるようなみかんの高騰が、起きている。

昨年12月下旬から異常なほど値上がりを始めたみかん相場が、年が明けてからもさらに高騰を続けている。そのみかん高騰の余波を受けてか、ポンカンなども大げさのようであるが歴史的な高さである。

それがどれほどの高騰ぶりかと言えば30数年前の大暴落時50円くらいだった物が、300円ほどしている。30円もすればよかった格外品なども250円と、高値を付けている。

数十年前の大暴落が嘘だったような、信じられないような光景が、今まさに目の前で繰り広げられている。

先日話を交わしたみかん農家の一人は手取りが昨年の、2倍になっているそうである。私も八百屋稼業を始めて47年になり、その間にいろんな場面を見てきたが、このような光景に出会うとは私自身思ってもいなかったことであり、初めての経験である。

この数年みかん相場は高値傾向ではあったもののこのような高値になるとは、まったく震えの来るような、出来事である。

その高値の直接の原因は静岡産のみかんが思った以上の不作で、東京市場で品不足になったことに、あるらしい。

しかしもう少し目を凝らせば、この十数年減反政策を進めてきた農水省の政策が、成果と言えるかどうか分からないが、その影響も見逃せないと思う。

最近では新規就農者も徐々にであるが増えてきて、その彼らにとっては明るい兆しであるとも、言える。

その新規就農者の陰で最近気が付いたのだが、兼業農家がほとんど見当たらなくなっている、ことである。それはみかん作りでは仕事量に応じた収入が得られないこともあるだろうし、親から引き継いだ畑で仕方なく従事していたことも、あるだろう。

とにかく兼業農家がいなくなっているのである。一方で荒波を乗り越え生き抜いてきた専業農家は、高齢者等が廃園で手放した畑の代作で、経営規模は2町歩3町歩と大規模化している。

以前はみかん作りで一千万円の収入を上げることなど夢のような話であったが、最近では後期高齢者一歩手前の爺ちゃん婆ちゃん二人でそれを実現している、達者な人も出てきている。

大暴落時代が、嘘のようである。そんな時代があったことも知らない新規就農者がほとんどであろうが、そんなことよりも農業を見る視点とか価値観が、我々の世代とは全く違っているのである。

きつい汚い危険と3Kの代表のように言われた農業であるが、新規就農者たちはそんなことを気にする風もなく土と触れ合うことが、めっそう楽しいようである。

我々の世代は食うためのみかん作りであったが、彼らは人生を楽しむためにみかん作りをしている、ようである。

私の畑の隣にも千葉県から移住してきた若い衆がいるのだが、移住してきたとは思えないほど地域に溶け込んでいて、生まれも育ちも明浜育ちだと言っても全く違和感のないと言える、青年である。ちゃっかり1年余りの研修期間中に、嫁さんをもらったりして、なかなか隅におけないところもある、青年である。

あと数年もすれば私の園地は彼に作ってもらおうと、思っている。その時が私のみかん作り引退の時であるが、うまいこと後継者が見つかったと、一人喜んでいる。

今年のみかんの高値が彼ら新規就農者の追い風になればよいが、いいことは長続きしないと言うのが世の中通り相場だから、今回のことは臨時ボーナスくらいに考えていたほうが、良いだろうと思う。

ここまで順調に来ていたミカン作りも、今月23・24日の雪でどうやら被害が出ている、ようである。

大きな被害ではないと言うものもいるが、山の畑ではマイナス3度4度が数時間続いていたので、何もなしでは済まないと覚悟しておかねば、ならないところであると思う。

特に心配なのが河内晩柑(宇和ゴールド)であるが、寒さが今年ほどではなかった昨年でも、果汁の少なくて実がスカスカした酢上がりかが見られていたことから見れば、今年もそんな果実が多いことが、予想される。

被害果の見分けかたはちょっと難しいかしいですが、手に取って持ち重りのするものを選ぶように、してください。酢上がりしたものは正常なものの半値かそれ以下ですので、あまり安いものには手をださないほうが、良いかと思います。それを隠して販売している者もいますので、気を付けてください。

今年も早一月過ぎました。遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年も今までに変わらぬご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます。




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