施設全体は写真のように木造平屋の瓦葺きに統一した建造物の美しさもさることながら、駐車場も広くゆとりのある施設である。一言で言えば広大な施設だ。平屋なので高さこそないが、昔の御殿のように建物は多く奥行きもありそれらが木造の廊下で結ばれている。プンとにおう木の香りを味わいながら、ずっと昔の木造校舎のような懐かしい感じさえする。
配置図を見るとホールや温水プールや特産品販売所もあり、樹齢900年の大楠から造った日本一の樹根太鼓も展示してある。
温泉施設である「熱田の湯」も玄関こそこじんまりした民家風のものだが、中は木のぬくもりとゆとりのある広さを感じる作りをしている。玄関ののれんをくぐると風情のある足湯がある。しかし、ここだけは窮屈な感じで、どの施設も盛況なのに足湯を利用している人はいなかった。
浴室や露天風呂も広々とそして明るく、後ろの山もうまく利用して和の和み空間を演出している。変に気負った演出もないのだが、暖色系の和風の造りと石の配置、何よりもゆとりのある空間の中で体を伸ばして気持ちよく入浴できる施設である。サウナも普通のサウナと塩サウナがあり、これ以上特に必要性を感じるものない。ただ、露天風呂の植え込みや石の配置は平面的でこれを日本庭園の専門に設計から先々の管理まで徹底してやればこれだけの素材なら年を追うごとに一流の演出空間が完成していくことだろう。まあ、維持管理をあまり考えることなく、開業時が完成と考えるお役所仕事なのだろうからそうもいかないのだろうが。
H26に行ったときは近くに高速のICもできて交通の便も良くなり薬師谷温泉も廃業になっていたためか相変わらず盛況であった。合併して宇和島市となった津島町だが、この施設は交流の場としてもこの地域一帯を支える唯一の大規模温泉施設になっていくのだろう。