つるの湯は駅前の大通りのすぐ北にあって、市街の北西部では唯一の銭湯である。この新しいつるの湯は繁華街にも関わらず、銭湯前に3〜5台隣のコインランドリー前に2台の駐車スペースがある。私は映画(宇和島ではメジャーな映画でも座席は空いているのでゆったりみられる)を観た後、夜の9時過ぎにここを訪問した。
男女別の入り口から入ると、対面できる靴脱ぎ部屋になっていて、番台は普通にあるのだが、脱衣場は左右の横に完全に分かれて、のれん(戸もある)で仕切られている。番台の正面には飲料などが置いてある。のれんをくぐり、脱衣場にはいる。脱衣場はそう広くないが床やベンチなども新しくエアコンもしっかり着いている。ただし誰も使いそうもない寝式マッサージ機は置いてある。四角いプラカゴを入れるロッカーが正面にあり、側面には普通のロッカーがある。
浴室もそう広くはないが、右に2段で座れるので6人はかけられるサウナがある。10分砂時計があり、壁も発泡性の新建材である。浴槽の配置は典型的な宇和島風のもので、奥に浴槽がずらりと横に並んでいる。左から麦飯石(説明は右下写真)の入ったバイブラ湯、次は熱湯、次に電気湯とジェットバスがつながった浴槽、そしてその手前に水風呂がある。浴室の中央には、地方の銭湯では珍しいついたて式の洗い場があって、そのためにさらに狭く感じる。そしてそこと左の境の壁沿いの洗い場には、三角形のカランとコック式の趣のある固定シャワーがある。これらが現役で使ってあるということは、消失ではなかったということだろう。壁は、少し緑の入った白色である。ノペーとした色なのでどこかにアクセントがほしいのだが、プラ天井も浴槽も床も同色の上、掲示も浴槽の種類程度の掲示しかなく、壁絵もないので寂しい。ただ、天井にアルミサッシの蒸気抜きがぽつんとある。
私は風呂から出ると、いかにも銭湯の飲料である四国乳業の瓶入りのねっとりとした「てつ元骨元牛乳」を飲んで、ここを出た。出るときに番台に聞くと、平成8年7月から新しいつるの湯は営業していると行っていた。ここを出てふと見ると、入り口前に小さな古い木のベンチが置いてあった。違和感を感じたが、古いつるの湯の雰囲気が想像できる。今ではそこは駐車場だから、車でも前に止められれば、ベンチに座る気はしないだろう。