桝形温泉   宇和島市桝形2-4-5 廃業>

営業時間:15:30〜22:00 休日は土曜日であった。

 市庁から南下し、1つ目の信号をまっすぐに200mほど進み、右折すると、二宮整形外科病院がある。その手前に、立派な門と植木のあるこの銭湯がある。写真のように飾りブロックをつかった外塀もあるしっかりとしたつくりだが、屋号の上にある温泉マークがちょっと間が抜けている。その建物の後ろには、銀色にきれいに塗られた鉄フレームのある煙突がのぞいている。

 のれんをくぐり、男湯の戸を開ける。しかし、靴脱ぎ場は男女共通であり、どちらの入り口から入っても問題はない。訪問した季節は冬(12月中旬)だったが、靴箱の上にはきれいな小菊が生けられていた。優しそうなおばさんに湯銭を払い、ロッカーの上の青いカゴをとって、衣服を脱ぐ。ロッカーの上の窓からは、ヤツデの葉がゆれているのが見える。私の実家の中庭にもあった樹木だ。ロッカーの隣の部屋は便所もあるのだろうが、清掃用具が並んでいる。左奥の床には湿気ぬきの鉄格子があり、底に水を落とさないようにとの指示がある。奥の境の上にはオゾンイオン発生機が2台置いてあるがスイッチは入っていなかった。

 浴室はきわめて明るく、板壁はコンクリート風に処理した上にライトブルーのペンキがぬってある。低い部分は白タイルだが、その目地は、黒で塗られている。また、浴槽のピンクやタイルと板壁の間の緑とピンクの飾りタイルで、全体の雰囲気が明るくなっている。天井は、青と白の不定形デザインで、その中央には何本もの横板のある手の込んだ蒸気抜きがある。男女の境は天井まであり、完全に2室に分かれている。このことで、何となく空間が狭く、銭湯独特の音の反響もなく、窮屈なイメージを受けた。浴槽の配置は、一般的な中央白湯に右奥薬湯、左奥電気湯で、薬湯にはレモン湯が入っていた。12月13日には、ユズ湯が予定してあった。全て固定シャワー付きのカランは両壁に並んでいる。
 湯から出て、ジンジャエールを飲みながら、たばこを吸う。黒鉄の灰皿が懐かしい。競輪や映画のポスターが貼ってあるのをぼんやり眺めてくつろいだ。

 平成11年地元の方から、廃業しているという情報が寄せられた。平成12年8月、宇和島に行く用事があり、この情報を確かめるために久しぶりにこの桝形の地を訪れた。やはりこの特徴的な建物の姿はなく、新しい住宅が代わりに建っていた。つばめ湯とともに廃業を確認して、多くの銭湯が消えゆく現実を改めて知る思いだった。