私が行ったときには、入り口の扉は開いたままで、中に入って奥にある番台まで狭い通路を歩いていく。番台は男女脱衣場・浴室4部屋の中央付近にある配置である。回り込むように脱衣場に入って裸になる。
浴室はベージュの壁で覆われ、明かり取りの窓が1つあってその上に渋い古蛍光灯がある。入ってすぐ右に湯ノ花の入った薬湯があり、後は中央の白湯から奥に勢いの強いバブルジェット、そしてその右に電気湯と、宇和島に多い連続してつながった浴槽である。左奥には固定シャワーだけが2つあり、しきりの壁にカランが並ぶ。その中央にあたり下に排水が集まるトンネルがあいている。天井は板張りで、各浴室の天井の中央に簡単な飾りのある小さな蒸気抜きがある。
脱衣場に戻り、机の上に立ててある木の飲み物のリストから80円の瓶牛乳を選び、ぐいっと飲んだ。なぜか銭湯には牛乳がよく似合う。窓際にはパネルで説明している寝式マッサージ機があり、その上にある2つの扇風機がぶんぶん回っている。ふと見ると机の上にドライバーのようなものがある。先がL字に曲がっていて、何に使うんだろうとしばらく考えて、あることに思い立った。ロッカーの穴だ。ここのロッカーには扉に穴があいている。実は、そこにこれを差し込んで、ぐるりと回すとかんぬきがかかったり解除したりできるのである。この仕組みのロッカーはその後いくつかの銭湯で見たが、はじめて発見したこの時には、しばらくその簡単でおもしろいからくりに感心しながらこれで遊んでしまった。