単なる温泉施設なら一応チェックなのですが、はま湯は塩(潮)湯をメインとした温浴施設であることが特徴なので、「四国では温泉より潮湯!」が持論である私にとっては魅力あふれる施設である。施設の中に入ってロビーの掲示物を見る。そこには右図のようなここの潮湯についての説明が書いてある。それによると25m以上掘削して地下の岩盤を通して塩水を汲み上げているとのこと。現実的に考えると海沿いの地区で塩化物ナトリウム泉と呼ばれる天然温泉と同じようなものだが、ここでは海水として使っている。
階段を上って二階に行く。最初に来たときにはタイを抱えたカッパのリアルな絵があったと思うが、2度目に来たときは心温まるカッパの伝説の張り紙があるだけだった。左の図が2階の見取り図で浴場は二階にある。上がったところは休憩スペースになっており、マッサージチェア等が置いてある。最初は椅子だけだったが2014年には畳が敷いてあり、そこで家族が戯れていた。
ここで初回は右奥、2度目は左の浴室へと入っていく。中はほぼ対象で特に違いはないように思うのだが男湯と女湯を入れ替えているのだろうか。脱衣場はそんなに広くないが隣に独立したパウダールームという洗面室がある。
ここには7種の浴槽があるが塩湯が基本のようである。うち塩湯でないのは2つで軟水の表示がある。そのうち一つは薬湯になっていて、一度目は忘れたが二度目は玉露カテキン茶だった。軟水風呂には様々な遊具が置いてあって塩湯をいやがる幼児が子どもとここは浴槽の間や洗い場にはけっこう高い仕切りがあって薬湯の壁は丸石を積み上げた独特なものである。後は落ち着いた色の仕切りや壁である。おそらく塩湯と軟水の混合を懸念してのことではあろうが、仕切りのせいでせっかくの広さや開放感はスポイルされている。とはいっても私が来館したのは二度とも夜であるため、本来の印象と違うのかもしれない。ここは西向きなので夕日の頃はかなりすばらしい光景となるに違いない。
塩湯は寝湯やジェットでは塩分が薄いように感じたのだが濃度の違う潮水が使われているのだろうか。また寝湯のバブルジェットは凄まじい。仕切りの上に空気取り入れ口があったので遮ってみたらその強さが変わる。おもしろいが子どもが遊ぶと事故につながるかも。(そのための高さなのか?)
迷路のような壁伝いに奥に行くと露天(ベランダ?)塩湯に行った。それが左の写真だが、扇状の浴槽で潮湯に浸かりながら夕日を...。誰もが分かるように湯に浸かるとせっかくの夕日は見えない構造になっているのである。これはあんまりだと苦情が出たのかもしれないが2度目に来たときは、板の仕切りは無くなっていた。といっても銀色の仕切りがあって、湯に浸かると展望は良くない。安全のためとはいえ、展望を売りとするのなら手すりを目立たない色とか細い鋼材にするなどの工夫がほしかった。2度目に来たときはミストサウナは故障中のようだったが、サウナも適度な大きさである。
いろいろ書いたが、全体としては潮湯をメインに置くことといい適度な広さと落ち着いた浴室といい。県内でも随一の良質の温浴施設であるといえる。ただ問題は交通の便の悪さだ。客も途切れる様子はないがといって多いわけでもなくけっこう建設費のかかる建物だけに減価償却にはほど遠いのではなかろうか。塩湯のため備品等の傷みも早い。そして、西予市には公共資金を投入した温泉浴場が多いが、もうすぐ合併特例債の期限が切れる。その後に進むと予想されるシビアな施設整理の波にこの施設がのみ込まれる可能性もある。「温泉より塩湯」の啓発のためにもこの良質の温浴施設の存続を私は切に願ってやまない。
せっかくなのではま湯のすぐ上にあるオートキャンプ場にも行ってみた。海を見下ろす高台のキャンプ場は驚くべき展望だ。帰りは三瓶方面も考えたがすごい距離になりそうなのでピストンした。この日は古式伝統の残ることで有名な狩浜の秋の例祭。神宿の提灯が家々に下がり、夜も更けたというのに秋では珍しい和服姿の人々が道路沿いにもくりだしていた。