須崎湯 (八幡浜市須崎 廃業)


 八幡浜市街を港に向いて行く途中にある、大正町バス停と新川とに挟まれるような場所にこの銭湯はあった。平成7年の冬に何度か8時ころ行ったのだが、いつもちょうど片づけているところであったので、この日は午後7時に行ってみた。  番台には、元気のなさそうなおばあさんがテレビを見ながら座っていた。脱衣場はすっきりしている。中央には大きな木の台があり、後はマッサージ椅子と体重計などがあるが、ごちゃごちゃしたものはない。1つだけある脱衣かごに、ぬいだものを入れて浴室に入った。 浴槽をはじめ、壁や天井まで淡い緑色で塗られていて、明るい浴槽である。浴槽のアレンジは中央に普通湯があり、右奥に電気湯、左奥に薬湯と2つの小さな浴室があり、八幡浜・大洲の地方の一般的な配置である。  浴室の入り口に紙が張ってあったので、出てから見てみると「昭和30年より40年に渡って営業していたが、2月20日を最後に銭湯を閉じることにした。」というものであった。20日といえば、2日後である。時代の流れもあるが、残念なことである。番台は、小学生の女の子に変わっていて、出るときに「ありがとうございました」とがらんとした脱衣場によく通る声が響いた。入り口の引き戸も、何やら重く感じた。(H7)