吉野湯  (大洲市中村)

営業時間:14:00〜21:00  休日は3のつく日 年末年始

 大洲の一番の歓楽街**町の奥を注意してみると小さな温泉マークの電光看板が見える。それが大洲の最後の銭湯「吉野湯」がある。愛媛では珍しい神社仏閣風の門構え、正面にある古い看板は、白地に赤の温泉マーク、そして鮮やかな青で「よしの湯」の文字が描かれている。男湯の窓にはコンクリートの塀、女湯の前には自動販売機がある。
 番台は小さな部屋になっていて、脱衣場とはつぎはぎされた長いのれんで仕切られている。脱衣場には小さなロッカーと、多くの脱衣かごの置かれる棚が並んでいる。回り込むと畳敷きのエリアがある。昔はここで長々と話し込んだり、碁や将棋をうつ人がいたのだろう。天井は板張りだが、中央が高い特殊なつくりである。大きな鏡は、私の住んでいるところに近い志保町の今はなき自動車販売店のものである。番台の手前にある神棚はお稲荷さんである。便所のところから住居につながっている。
 浴室は湯ノ花を入れた薬湯と、その前に底の三点から気泡が出ている湯船がある。湯出し口はライオンらしいが、パテ盛りされて原形をとどめていない。左奥に隠れるように電気湯がある。新調されたピンクの腰掛けと、吉野湯のロゴのはいる白い桶が光っている。正面の壁には、アルプスに湖と水車小屋のタイル絵があり、その絵のスポンサーらしい片倉のシルク号自転車の白石商会と二宮建材のタイルも埋め込まれているのが珍しい。上部の壁は木に薄緑のペンキを塗ったものだが、こってりと塗られていて、色はくすんでいるがはげ落ちてはいない。その一角に木の枠で囲まれた部分がある。看板か絵があったのだろうか。天井は、その半分が大きな蒸気抜きになっている。洗い場の黒いピストン式カランには、ホース付きのシャワーがついている。しかし、その前の白い石鹸置きは、水がたまりやすく、好ましくない。私の家からもっとも近いこの銭湯には何度も通ったが素朴で心温まる銭湯である。