見奈良天然温泉 利楽   温泉郡重信町見奈良1110

 営業時間:5:00〜1:00 湯銭:870円 

 平成12年秋、重信川の中流域:水の豊かな扇状地である見奈良に大規模な商業施設とともにできた温泉浴場である。 この地域は松山市のベットタウンとして人口増加が著しく、近くにR11と松山自動車道川内インターもあって交通の要所でもある。 県内随一のこの商業施設は特にアウトレットという形態の先駆けという点で大きな話題となった。それまで見られなかっただだっ広い敷地内にショッピングモールとアウトレット、ホームセンターなどの商業施設、坊ちゃん劇場、手軽なスポーツのできるレジャー施設も併設して後にレスパシィという名で呼ばれる複合商業施設となった。ここに鳴り物入りでできた温泉施設が利楽なのである。

 私も早速その年の11月、真新しい利楽を訪れた。パンフレットによると7500万年前の白亜紀末期の地層(深さ1500mの砂岩・泥岩層)から湧水する50℃の源泉はナトリウム塩化物・炭酸水素塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)で神経痛や筋肉痛などの治癒に効果があるということになっており、西日本最大級の露天風呂(野天風呂と表記)を売りに四季折々にうつろい変わる野趣豊かな風情をご堪能できる天然温泉を強調している。確かに広々とした野天風呂はすばらしくリッチな温泉浴場としての魅力は大きいと思われた。

 しかし問題は高額の湯銭である。これほどの温泉施設の減価償却は大変だと思われるが、商業的には併設されるレストランや宿泊施設等のサービスでしっかりお金を取ることを工夫すべきでなかろうか。人を集める役目をしている入浴について料金の高めの設定はどうなのだろう。ましてや、この周辺には入浴料500円程度の温泉施設がゴロゴロある。話の種に一度は訪れることはあっても入浴は移動の途中にある安価な温泉施設を利用するようになるのではなかろうか。 そして、おそらく野趣を望む客は山や海の展望の温泉を選択することだろう。少なくとも私はそうだ。 これが車利用を前提とする公衆浴場のシビアな点で、東道後温泉やさくらの湯等の泉質重視の温泉客から根強い人気を保っている温泉浴場が近くにあることも考慮すべきである。

 私も一度入浴したっきりで、商業施設や坊ちゃん劇場に来ることはあってもこの温泉浴場に足を向けることはなかった。気づくとやはり営業不振で一時休業しているという。そこで改めて平成26年に久しぶりに寄ってみた。このときは営業を再開しており、心なしか庶民風の温泉浴場としてさまざまな努力をしている感じがした。しかし、高めの湯銭は相変わらずで集客がうまくいっているかは疑問であった。