花の森ホテル  中山町中山11号405-2

営業時間:7:00〜21:00 無休 湯銭:500円

 夕やけ小焼けラインと松山自動車道(中山ICはない!)が整備されて、とんと交通量が落ちたR56号線。銭湯が無くなり高校も廃校、そして町村合併で名前すら失って影の薄くなった中山町。良質のスイカと栗が有名だが、あえて買いに行く人は少なく、あれほど賑わった国道沿いの店舗が次々に閉じられている。そんな中、今が旬の体験型観光施設そば打ち道場と栗の里公園(できた頃はもっとおもろい名前だったような気がするが?)ががんばっている。その栗の里公園内にある宿泊施設が花の森ホテルである。写真のようにオランダチックの日本の田舎にはミスマッチな西洋風の建物だが、落ち着いて療養したい中高年の女性の感性にはベストマッチの施設なのである。線路の下をくぐりこのホテルに登っていく道沿いには誰の提案なのか一間までどこでも見たこともない高価な五葉松の植え込みがずらり続いている。丘の上に登ると下からは考えられない広い駐車スペースや広場、そして花の森の象徴(行かなかったが)だろうと思われるでかい温室なんかがある。ホテルもデザインは突っ込みたくなるが写真のように温かい色合いの適度な大きさの建物である。

 ホテル内の「花の湯」は温泉ではないが、備長炭風呂(備長炭から発せられる遠赤外線の効果、長炭に豊富に含まれる各種ミネラルの効果、、備長炭のミクロの穴の浄化の効果)で品のある落ち着いた作りで適度な広さを持った浴室に十分満足できる。従業員も施設もガツガツとしたところはなく脱日常の療養効果はハイレベルである。名ばかりの温泉の多い愛媛で、道後平野では温泉浴場のすざまじいつぶし合いが繰り広げられているが、住民が活用しているのであればこういう公衆浴場こそ大切なのである。常に有益な店や施設をチェックして紹介してる友人であるMr.Kの薦めで訪れたのだが、今回は期待してなかっただけに驚きの公衆浴場であった。

 さて、浴場の利用もよかったのだが、さらにこの公園での施設で一番の驚きは「遊栗館」(左写真、山の上の建物が花の森ホテル)のバイキングである。いろんな食べ放題バイキングがあるが、ある程度の年になると焼き肉や油もの、スイーツなどのバイキングにはうんざりしてくる。ところがここは地物バイキングといって、一般的な料理に混じっていわゆる田舎の家庭料理が多数含まれるバイキングなので、久しぶりに大満足であった。なお、このランチバイキングは営業は11:00〜14:00で木曜日は休みである。前文では中山のことを辛辣に語ったが、日常でもお客さんを招いても十分満足させられる施設が身近にあるというだけで中山に住む人はある意味で幸せだと思った。ただ、箱物は無駄が多く施設が古くなると心配でもある。市町村合併後、多くの施設が整理されて、ある意味で田舎ほど何もかもなくなっていく傾向の時代ではあるが、なんとか地域でもり立てて地道に維持していってほしいと切に願う。ここは松山への通勤圏内であるため、ベットタウンとして生きていける点ではあえて生き残りの地域おこしをする必要もないという有利な地域でもある。