いこい温泉  伊予市 米湊1709 廃業

    営業時間:15:30〜22:00 休日は日曜日
 ここは、五色浜温泉がすぐ近くの通りにあり、人口割合からも激戦区の銭湯である。伊予市はダシや酒の肴などの海産物加工の日本有数の工場がひしめき合う街である。昔は多くの職人の疲れを癒し汗を流したのがこのあたりの銭湯であろう。
 いこい温泉は、写真のように白壁で明るいムードの典型的な昭和の銭湯の建物である。靴脱ぎ場と脱衣場との間にも立派な戸がある。脱衣場のしきりにはヤマニのよく磨かれた大鏡があり、その上には本物の蔦を這わせている。他にも観葉植物など置いてあり、掃除も行き届いており、暖かい雰囲気の脱衣場である。
 浴室は一般的な3つの風呂がある。薬湯にはウグイス色の湯ノ花?が入れてあった。中央の湯船の奥の岩石の湯出し口からは勢いよく湯が出ており、この岩の上には、菜の花とふくらみはじめたつぼみの付いた桃の枝が生けてある。まさに憩いの湯としての経営者の気持ちが感じられる銭湯である。ペンキのはげかかった板張りの天井には蒸気ぬきがある。
 他に客は、彫り物をした男と老人だけで、「この天気では、海に出れんのぉ」と、話をしていた。ゆったりと湯に浸かった後、銭湯の外に出ると、小学校低学年の二人の女の子が、シャンプーやタオルを持って、もつれるように銭湯に入っていった。

 平成26年に再調査するとすでに廃業してしまっていた。白壁のすっきりした建物は残っていたが、煙突は解体されて無くなっていた。