梅の湯  (伊予市下吾川1544 廃業)

 営業時間:14:30〜22:00,休日は水曜日

 伊予市の商店街(灘町)の北、港町郵便局の近くのミラーのある小さな交差点を左(海方向)に曲がると見える増福寺の手前にこの銭湯がある。
のれんをくぐり、ロッカーとボックスサウナで仕切られた脱衣場に回り込む。中央に籐の敷かれた台があり、ゆったりとこしかけれる。その台にはよく研いであるニッパーが爪切りとして置いてある。サウナは3人がゆったりかけれるちょっと広めのもので、座席はもちろん床にも背もたれにも乾いたタオルが敷いてある。
浴室はの壁や浴槽は、淡い緑色を基調とした暖かい色合いにアクセントとして、タイル絵がさわやかな雰囲気をかもし出している。正面の壁の肉厚タイルの縁のあるタイル絵は、上高地横尾あたりから振り返り見た穂高のイメージのアルプスの絵である。女風呂は同じアルプスでも、湖畔から見たものである。しきりの壁にも湖の横に広いタイル絵がある。横長のかまぼこ型の天井には、蛍光灯がつり下げられている。各浴槽にある蒸気ぬきもこじんまりとまとまっている。潮湯は、あまりしょっぱくないので湯と海水のブレンドかと思っていた。が、開業すぐに行ってみると、湯船の底にはまだ溶けていない粗目の食塩が残っていた。男湯には浴室の外に、岩風呂が拡張されている。深めの岩風呂で、十分に水圧をかけた打たせ湯である。
 30〜50歳くらいの漁師らしい男が次々と入ってきて、漁のことや船のことをざっくばらんに語り合っていた。客も番台も気の良さそうな人ばかりで、安心してほのぼのとした雰囲気に浸れる。この銭湯の西には細い路地が縦横に延び、古いたたずまいの住宅がぎっしり並んでいる。その住人がこの銭湯を支えているのであろう。消防上は問題があるかもしれないが、人間くさいこの路地を歩いていると、子供の頃遊んだ光景を懐かしく思い出す。