久万の台温泉   松山市久万ノ台1165

湯銭:470円  営業時間:07:00〜24:00  第1火曜が休業

 松山の西北部は、環状線が国道437号まで延びたことで、どんどん便利になってきている。伊予鉄衣山駅辺りは聖陵高校、松山西高、愛光学園などのある松山の郊外である。銭湯も少ないこの地域では、広々とした温泉好きにとってまさに的を得た位置にある温泉浴場であるといってよいだろう。

 観光スポットとしては、伊予かすり会館(左写真)が有名だが、この浴場は最近この会館と併設でもうけられた施設である。会館の駐車場とこの浴場の駐車場は合同であり、昼と夜の合理的な利用がなされている。「道後・・温泉」という名前を使えば、さらに客足を効果的に増やせるのかもしれない。ただ、写真を見ても分かるように伊予かすり会館はすっくと煙突が立ちいかにも関東の銭湯という感じの建物なので、こちらが久万ノ台温泉だと勘違いしてしまいそうだ。
 さて、駐車場の奥の久万ノ台温泉に入ってみよう。入口もたいして工夫がないようだし、何となく軽い気もするが、建物を煌々と照らしたり安易な照明をつけていないので、夜に来るとなかなかしっとりとしている。駐車場のネオンは異様に明るいが...

 入り口を入るとまず目にはいるのは、1000mも掘り下げて得られたこの温泉の説明である。泉源が28℃のナトリウム塩化物鉱泉などという説明とともに、気泡が上がっていくディスプレイがある。自動販売機でチケットを買って、フロントに渡し、男湯のかすりののれんをくぐる。
 浴室は、主浴槽、洗い場、マッサージ系浴槽、サウナに大まかに分かれている。側壁は暖色系の明るいタイルだが、マッサージ系浴槽の空間は、青系のタイルである。その側壁にはレモン型の暖かい色のライトがありその下のタイルは独特の色と模様で、良い雰囲気を醸し出している。天井の明かりはついておらず、少し薄暗く、大きい蒸気抜きに温泉情緒がある。しかし、管理上の理由からか、天井がプラ板なのは興ざめである。
 主浴槽の縁は赤御影で、湯だし口からわき出る湯も心地よい。露天風呂は縁が石英質の多い御影石で、湯だし口も主浴槽のものとは違う造りである。左右に湯が出る湯だし口は左側の方がずっと湯が多く、たいしたことではないが気になる。浴槽の上の屋根は女湯の様子さえちらついて見えるちょっとちゃちなもので、ない方がよいようにも思う。この露天風呂には熱帯性の観葉植物が植えられているが、もう一つ露天風呂といった雰囲気に乏しい。
 全体の雰囲気として、すべての内装において色の使い方がうまく、心が落ち着く雰囲気がある。名のある業者の手によるものなのかもしてないが、この何となく落ち着きリラックスできる雰囲気こそ温泉浴場の最も重要な要素に一つであると私は考える。