コンセプトは「氣養生」だそうで、落ち着いた感じの露天風呂や、ロウリューサウナがある。三玉石の湯という不可思議なものもあるが、特に目新しいものもない。私が行った平成26年夏にはそろそろ庭園にも各所にほころびが感じられるようになっていた。
その他、「ゆのしたのし」という湯宿型の家族風呂や岩盤浴、「地の根」というレストラン、カフェ、「SOSORA」という雑貨、ギャラリー、「くものテラス」という野外休憩所もある。建物全体に様々な工夫や趣味の良いアート、落ち着いた色調や素材の内装ともに品の良い高級感がある。私たちは、「地の根」で昼食を採り、しばらくの間、休憩所でゴロゴロした。休憩所の隣にはマンガが多い図書館もある。私が特に気に入ったのは休憩所の大きなふわふわクッションである。
私は銭湯や温泉浴場を調べていて歴史の流れを強く意識するようになった。近所の鷹ノ子温泉も激動の歴史があるようだが、この地の歴史もいろいろある。ここの温泉施設は昭和32年に「東道後・ファミリー温泉」という名で温泉療養施設ができたことに始まる。そして次に「松山いよてつ健康ランド」という名で平成2年にリニューアルしたが、平成17年には廃業することとなった。その後外部の会社が平成18年に「湯快爽快いよてつの湯」として開業したがわずか18ヶ月後には廃業する。そして次に平成21年「そらともり」となって今に至る。様々な温泉浴場の乱立する群雄割拠の松山で生き残っていくのは大変とは思うが、このような浴場の浮き沈みを聞くと、それぞれの施設で懸命に働いていた従業員がどうなったかを考えてしまう。