鯛崎温泉 (松山市 南吉田町1875-7 廃業)

営業時間 16:30〜20:30, 休日は水曜日

空港線を三津の方に曲がるとすぐ右手にパチンコ百萬弗がある。この駐車場の一角にこの銭湯はあるが、南北に通る細い路地の中ほどにある柱に、「御婦人」「御男子」と書かれた入り口を見つけるのが大変だった。入ると歳をとったぎこちない番台とその横の金色の招き猫が迎えてくれる。テレビがないので人の声しか音がない。片隅の注意書きにはおもしろい文面があった。「…(一般の注意)… 5.良い子はおふろでさわがない。これらのことを守っていただくために、ときどきブザーがなります。」一体どんなブザーなんだろう、どんな効果があるのだろうと期待したが、結局聞くことはできなかった。普通の銭湯は脱衣場の奥に浴室があって男女に分かれているが、ここは左右に浴室が分かれていて、女湯は2つの脱衣場をはさんで向こうにあるらしい。だから、女湯とのやりとりや広い天井空間の反響がなく、何となく銭湯としての雰囲気に欠ける。壁絵はないが、天井には中央に蒸気ぬきがある。浴槽も、電流の流れていない電気湯や、中央が深くその左右は浅くなっている岩風呂など、何となく他の銭湯と違う。浅いバブルジェットの浴槽の強力な吸い込み口が、噴出口のすぐ横にあって、いきなり指が吸い、込まれてびっくりした。中央の円柱状の台や、入り口横の台も何なのかわらなかった。昨日NHKで放映されたヘビー級チャンピオン:ジョン・フォアマン(フォーマンと言っていたが)のことを長々と解説する老人や、それをあまり興味ないながらもがんばって聞いてやっている40くらいの男性が印象に残っている。その他にも個性的な人が多く、退屈しなかった。衣服をつけて出るときには、番台がていねいなあいさつで送り出してくれた。

 平成11年、久しぶりに訪れると、そっくりこの銭湯の建物はなくなっていた。個性的な銭湯だっただけに残念なことである。