ときわ湯 (松山市 高岡町860-2  廃業?)

営業時間 16:00〜22:00, 休日は1日と16日  

 伊予・松山港線が空港線と交わる交差点をまっすぐ百mも行き、高岡橋を左折するとすぐに、駐車場と駐輪場の分だけ下がったこの銭湯が見える。入り口には、「ゆわきました」という「ゆ」だけ赤で大きく書かれた札が下がっていた。広い脱靴場で靴を脱ぎ、押し開きの、ついたてのような小さなドアを開いて、脱衣場に入る。脱衣場は、マッサージ椅子とベンチ、体重計、机の上には灰皿代わりの小さな火鉢が置いてある。左奥には子供用のベットのようなものあり、その上にかごが乗せてある。番台の上にも時計があるが、靴脱ぎ場の上にも違和感のあるLEDデジタルの時計がある。番台の前にはテレビがあり、その横の冷蔵庫には何も入っていないようだ。その電源コードにはなぜか電力計がつないである。天井のファンは大きいが先端がめくりあがっている。
 浴室もかなり広く、中央に大きな湯気抜きがある。奥の広い空間には、噴水もある空池のある庭がある。床は緑色片岩の平石で敷き詰めてあり、中央に大きな四角い湯船、左右の奥にも浴槽がある。右奥の浴槽には湯が入っておらず、左奥の電気風呂も湯は入っているが、電気は流れていない。中央には丸石を型どった湯出し口がある。絵などの装飾はないが、かなりの予算をかけてつくられていることがわかる。浴室には電気風呂とともに超音波気泡風呂とオゾン気泡風呂の効能書きがある。超音波気泡風呂は、中央の風呂には噴出口がないので、湯の入っていない右奥の浴槽なのだろうか。それよりも聞いたことのないオゾン気泡風呂とは何だろう。真ん中の浴槽の中央に「さわらないでください」と書いてあるステンレス製の不気味なタワー状の器具が突き出ている。ちょうど湯面と同じ高さに4つの口が開いているので、最初は単なる水面の高さを調節する機器かと思っていたが、これがオゾンを出す機械なのかもしれない。何か出ているようにもみえるが、さわってもなんともないし、臭いもしない。結局この異様な物体の正体は謎であった。またこの広い浴槽は、中央近くで厚手の木の板で区切っていて、奥の方が熱い湯になっている。私以外の客は二人である。きれいにはしてあるが、このようなよい素材でつくられた立派な銭湯も衰退の兆しが見えてきている。水のない池、中央の黒モルタルの浴槽の傷み(ひびがはいり大きいところで1cm以上ずれている)もそのままである。立ちシャワーの跡や水飲みの跡もある。帰りには、おばあさんが番台に座っていて丁寧にお礼を言って見送ってくれた。(H9)