湯渡湯 (松山市 湯渡町3-41 廃業)
営業時間 16:00〜21:00, 休日は2日・16日
松山東高前から西へ行き、環状線と交わるあたりが湯渡町である。環状線湯渡橋から西をみると堤防のすぐ下にこの銭湯の鉄製のフレームで補強された細い煙突が見える。入り口前にはビニールのアーケードが渡してあるのだが、屋号ものれんもない。ただ、入り口の戸に「男」「女」と書いてあるだけである。建物の左右は、ともに空き地になっている。番台がいないので、280円を置いて着替えていると、おばあさんが浴室から出てきた。
湯舟は2つに仕切られているものが中央にある。奥にもう一つ小さい湯舟があるが、使われてはいないようだ。壁はむき出しのコンクリートにペンキが塗ってあるだけである。しかし、中央に蛍光灯が一つあるだけなので薄暗く、湯煙にぼんやり浮かんだ奥の壁は幻想的な抽象壁画にもみえる。桶は木桶である。しきりの上の天井には小さな蒸気抜きがある。
脱衣場は、板張りの床をはじめ、まわりの板張りの壁は、古いけれど手の届く範囲はきれいに磨かれている。くみ取りのトイレは、ちょっと使いにくそうだ。着替えを入れるロッカーも古く、鍵が残っているのは数個だけである。そのロッカーの上には竹で編んだ丸籠がいくつかのっている。踏み台のような長椅子が一脚ある。脱衣場の鏡には「主食配給は当店え」という時代を思わせる広告などもある。アルミの古い火鉢や、ゆったりした番台の前にある湯温湯量管理装置にも味がある。女湯の脱衣場には赤ちゃん用のはかりも置いてある。客は高校生くらいの学生ばかりであった。外にとめている自転車には附属農業高校のステッカーが張ってあった。
この一年後(H8.2)再びここにくると大きく違っていた。浴室の明かりは明るく、床はきれいなグレータイル。カランはほとんどシャワー付きのコンビカラン。浴室入り口も新品。壁もきれいに青色で塗られていた。木桶はほとんどなくなり、愛食サル印などのプラスチックのものが多く、入り口左の桶置き台の上に積まれていた。終了時刻も22時から21時になり、21時に行った私が、悲しそうな顔をすると、のれんをしまっていた気さくな番台のおばさんが入浴を許可してくれた。