老人福祉センター  今治市吉海町 名 

営業時間:09:00〜15:30 休日は土曜日曜祝日盆正月 湯銭は150円(65歳以上無料)

 大島の内陸、吉海町の中心地から国道方向に少し入った小高い丘の上にこの施設はある。このセンター自体なかなか立派な施設で職員も複数常駐しているし送迎バスも保有している。建物の前にある吉海温泉由来に寄れば、製塩業で財を成した渡部市衛氏が昭和43年ラドン含有泉を掘り当て、地域の有志がさらに泉源と用地を提供して昭和51年にできた施設である。すぐ横に島遍路29番札所もあり、信心と人情の厚い島のコミュニケーションの場として重要な施設なのであろう。平日の勤務時間しか営業していないため、一般の労働者は施浴にあずかることはできないが、老人は無料であり後で触れるようにその他の設備も充実しているので、客の途切れることはないようであった。

 玄関の掲示によると一般の利用で150円となっており、以前の200円よりさらに安くなっている。事務所の窓口で利用文書を書いて150円を渡すと浴場の説明をしてわざわざ入口まで案内してくれた。脱衣場はこの手の施設特有の狭いものであるがロッカーにはいくつか鍵付きのものもある。脱衣場のベンチには冬場はタオル状の覆いをするなど細やかな配慮もある。浴場には二つの浴槽があり、説明によると手前の小さい浴槽が温泉で、奥の広い主浴槽は白湯である。広いと入っても5人も入れば一杯になるなるほどで、施設の性格上補助手すりが完備され階段もついている。温泉は無味無臭である。

 入浴後ロビー兼休憩室でくつろいだ。ここには大型テレビや談笑スペースの他に写真のように様々なマッサージ用具がずらりと並んでいる。私が見たことのない器具の説明をのぞき込んでいると、職員がやってきて「それは遠赤で体を温める器具ですよ。やってみますか?」と声をかけてきた。他にもスカイウェルという体に電流を流す電気椅子のようなものもありちょっと興味を持った。しかしこれは入浴後20分経ってからでないと使用できないというので、普通のマッサージ椅子を使ってみた。休憩室の壁には鶴の戯れる大きな壁絵があり、中庭もきちんと手入れがされていてゆったりとした気分で過ごすことができる。職員もとても親切で、このような施設が私の町にもあればいいんだが、とうらやましく感じた。同様な施設が宇和島市や鬼北町にもあったが、できれば各市町村に1つくらいはほしいところだ。老人が集い語り合うだけでなく体を温め裸のつきあいのできるこのような施設の存在は、もしかすると見た目の老人福祉ばかりでなく、お年寄りの心身の健康に寄与することで市町村の財政面にも絶大な効果があるのかもしれない。 (H27.2)