しまなみ天然温泉 キスケのゆ 今治市中日吉町1丁目2-30 

営業時間:10:00(土日祝は6:00)〜23:00 湯銭:570円 無休

 松山のキスケのゆが盛況なのだろう。平成26年8月6日、今度も今治の駅前にその姉妹温泉浴場がオープンした。ただ、ここは松山と違って公衆浴場単独の施設である。さらに、大きく違うことがある。それは泉質で、ここはかなり高濃度のカルシウム・ナトリウム-塩化物温泉(ナトリウム含有量は全国第5位との表示がある)なのでなめてみるとかなりしょっぱい。 かみとくの湯も同様なので、これが今治の温泉の特徴なのだろうか。

 駅前なので駐車スペースを心配したが、施設前に結構なスペースを確保しており、通りをはさんだところにも第2駐車場がある。ただ、この駐車場はゲートがあり浴場利用の4時間(カードをフロントに通す必要有り)以外に利用すると結構な駐車料金をとられることになる。建物は一般的な温泉浴場である。入口をくぐるとまず目に入ったのが、写真の従業員勢揃いの表示である。楽しい雰囲気でさすが娯楽産業母体の公衆浴場であると思った。
 チケットを販売機で買ってカウンターに渡し、奥に入ると漫画コーナーもある休憩室があり、その奥には手もみ処「癒和」というエステの部屋や「もぎたて食堂」というレストランがある。右の浴室への入口をくぐるとこじんまりした脱衣場である。鍵のついているロッカーを使って浴室に入る。その手前の洗面台の下には他では見たことがなかったタオル脱水機がある。
 浴室もさほど広くはないが一般的に必要だと思われる浴槽がそろっている。奥にバブルジェットと水風呂、中央左には歩行湯、その手前が洗い場でありリンスインシャンプーとボディーソープが常備してある。そして右が主浴槽とシルク風呂である。女湯には翡翠風呂というのもあるらしい。主浴槽は一画が子供用の浅いエリアになっておりそこには小さなおもちゃのアヒル(日替わりらしい)が無数に浮かんでいた。女湯では子ども湯のエリアがかなり広くなっているようだ。さらに奥の一画には電気風呂(イオン濃度の高い温泉の電気風呂は怖いのだがここの電気風呂の電流はかなり弱く、押しつけないと適度なビリビリ感は感じられない)もある。何よりいいのは、中島盛夫氏のサインの入った三保の松原のごしの大きな富士山のペンキ絵が壁一杯に描かれている。松山もそうだったが浴室の大きな壁絵の効果は絶大である。何も富士山にすることはなく今治だからしまなみの景色でも良い。と思ってよく見ると左手に来島海峡大橋らしきものも描かれているのに気づいた。しかし、橋の一方はどこに繋がっているのだろうと首を傾げる不自然な位置と大きさである。もしかしたらこれは経営者の希望なのかもしれないが明らかに蛇足といえよう。しかし、パンフレットを見ると女湯は橋をメインにし富士山を遠景にしたもののようだ。なお、泉質が泉質なのでペンキも心配だが触ってみると浮いているところもあり、短期間の定期的なメンテナンスが必要であろう。さらに右奥には壁で囲まれた高濃度炭酸風呂がある。ここはちょっと露天風呂風のイメージで外気が入るようにしてある。高濃度というだけに肌に気泡がつく程度の炭酸ガスを強制的に溶け込ませていて、いろいろなイベントも用意されているようであった。サウナは入口に「熱波サウナ」と大きく描かれていて、どうも2時間周期の自動ロウキュウのようだ。入ると地下に2段になった遠赤サウナがありテレビを観ながら汗を流せる。

 結論としては、気持ちの良い銭湯として必要なものは一通り揃っている温泉浴場であった。場所も銭湯の多い地域ではないが、結果として同時期に営業を始めたかみとくの湯と共にさらに街の銭湯の駆逐施設となってしまうであろうことに私は胸を痛める。(H27.2)