入館すると目にとまったのは右写真のこの施設を造った人たちの名前の入ったシンプルながら趣のあるプレートがある。完成までに様々なストーリーがあったのだろう。左に進むと家族湯、右は大浴場になる。そして靴を脱ぐとすぐ奥に広がる実に広々とした休憩室が目に入る。券売機でチケットを購入しカウンターに渡す。休憩室にはマッサージチェアやTV付きリクライニングシートが写真のようにゆとりの空間に配置されている。
脱衣場に入ってもその広さに感動する。これだけ空間を贅沢にとった脱衣場は大型の健康ランドでもなかなかない。浴室に入ると左手は洗い場、右手は一般的なサウナとなっている。ただ、500円超えの浴場には配備されることが多いシャンプーやボディソープ類はないので要注意である。奥に進むと左手が主浴槽、右手に炭酸泉とジャグジー付き寝湯がある。主浴槽を回り込むように奥に行くとさらに別スペースがとってあって寝湯がある。しかし気になるのは、広いガラス壁を通して見える外の露天風の浴槽群である。中央に石造りの円形浴槽があり、それは東予で流行の源泉風呂である。その手前に二つの壺風呂、右手には水風呂、薬仁湯、そして歩行湯がある。おもしろいのは歩行湯の両端に大型テレビが設置されており、歩きながら番組をどちら向きでも見られるという過剰サービスぎみの配慮がなされている。一番奥は、板敷きの雑魚寝スペースだが私が行った冬にはさすがに寝そべっている人はいなかった。どうもこの手の施設が多いのは今治の寝そべり文化があるようだ。そして私が真っ先に入ったのは源泉風呂である。地下1300mから汲み上げた薄茶色に濁ったナトリウム・カルシウムー塩化物泉が加温はされているもののかけ流しである。H7.6で、口に含むとしょっぱいが苦味も感じられる。植え込みや観葉植物、彫刻などの有機的なものはほとんど無いが広々としているのはそれだけで気分がよい。
風呂から上がりゆったりとした休憩室でテレビを観たり無料マッサージ椅子を利用したりしながら時間をつぶしておおらかな気分でこの公衆浴場を後にした。なお、カウンターで聞いたところ料金表以外のパンフレットはないとのことで、女湯に特別な浴槽があるのかどうかは分からなかった。このあたりにはいわゆる街の銭湯はないのだが、個性的な銭湯の多かった今治の銭湯の存続に大きな意味を持つ公衆浴場であることは否めない。