玄関はバリアフリーになっており、右手に喫煙スペースがある。鍵のあるロッカーに靴を入れて奥に進むと入浴券の販売機がある。入浴券を買って事務所の窓口で渡して奥に行くと、そこは広い休憩スペースになっている。大画面のテレビとリクライニングチェアがずらりと並び、写真のようにマッサージチェアやベンチや作業デスクなどもあり掲示板に手芸品が展示してある。自動販売機はあるものの遊具のある施設や食堂などはない。広い休憩和室もあり自然豊かな外の風景をのんびり楽しむこともできるようだ。エコを宣伝する掲示物を探してみたが、雑誌立てや掲示板等どこを見てもこの施設の特異性を紹介するような物は一切ない。事務所にも聞いてみたがパンフレットのようなものもつくっていないそうである。
浴室に入ってみると、標準的な大小の浴槽があり小さい方はジャグジー、大きい浴槽の奥の面からはバブルジェットが出ている。HPの写真を見ると女湯は多少違った配置になっているようだ。その他、標準的なサウナと水風呂もある。廃熱利用のエコ浴場なので温泉としての泉質は願うべくもないが、せっかく沿岸近くにあるのだから瀬戸内伝統の潮湯がほしいところだ。しかし、重化学工業地帯のまっただ中にあるので、廃液処理にかなり自信がないいかぎり実現は難しいだろう。もし実現できれば、エコ+環境保護(浄化)の面でのダブルですばらしい浴場ということになるだろう。
洗い場は6つ、そして二つの立ちシャワーがある。片方のシャワーは節水効果のある?エアインシャワーのようである。側壁に壁絵やタイル絵、街の店や企業の宣伝入り備品はないものの、浴室の外にはささやかながら植木のある小さな中庭があってシンプルな銭湯の雰囲気がある。
この浴場の立地は、幹線道から近いが細い効率の悪い道で繋がっているのでカーナビがない場合は少々迷うだろう。おまけに廃棄物処理場のあるところなので徒歩で通えるような民家も少ない。だから客足はどうだろうかと心配になる。私が訪問したのは春の週末の夕方であったが、途切れることなく次々と客が車で訪れ常に駐車場の大部分は埋まっていた。若い学生などもいてまさに街中の銭湯に入っている気さえしてくる。おそらく観光客はいないだろうから純粋に広いお風呂の地元の愛好家の御用達の公衆浴場であろう。この浴場のアドバンテージは、ゆとりのある自然の中の広い空間と30台も停められる余裕の駐車スペースからくる開放感であろうと私は考える。