貸しロッカーのあるところもあるが、道具はロッカーの上に置いておくだけで良さそうなものだ。この右の写真は、大洲市の吉野湯のものであるが、上の棚にはキープした道具類が並んでいる。ここのロッカーは空いている場所が確認ができるようにすりガラス入りのめずらしいものだが、ほとんど利用されていない。物の豊富な時代なので、衣服などを盗る人はほとんどいない。それで、私もかごを利用することが多い。愛媛県にもまだかなり残っているが、籐のかごなどがあると、何か得したような気になる。
女性用の脱衣場には、写真のようにさまざまな設備がある。テレビの取材で入ったこの今治の鯉池温泉には大型のドライヤーの他にも赤ちゃんの世話をする台や美容機器など、男とはあきらかに差別化されている備品があるのに驚いた。
今は無き保内町の清水湯では特に、今では見られない物が多かった。左の写真は、衝立ではあるが、その宣伝しているメーカーの名前には私はまったく見覚えがない。なんか醤油のような化粧品や固まってしまいそうなクリームなど、昔はユニークな名前のメーカーが多かったようだ。病院にあるような素っ気ない衝立が置いてある銭湯も多いが、このような木で作られた傑作もあるのである。
多くの銭湯の脱衣場には神棚があるようだ。写真のようにその多くはお稲荷さんである。のれんは石鹸会社のロゴのはいったカラフルな物が多いが、銭湯の顔であるのれんには、その銭湯のオリジナルがほしいところである。派手であれば、営業しているのが遠めにもよくわかる。
脱衣場の大きな鏡は、その地域の一番大きな力をもつスポンサーから送られているものが多い。町田氏によると、鏡は小さいものの中に古く価値があるものが多いらしいが、そうすると左の写真の鏡もかなりの値打ち物なのだろう。鏡の近くにはドライヤーがよく置いてある。構造的に壊れにくいだけにかなり古いものも残っている。愛媛県では、多くが20円で使用できるようだ。
同様に体重計はまさに古美術と言ってもいいものがごろごろしている。写真の体重計は今治の神ノ木湯のもので、見ての通りの逸品である。見れば見るほど緻密でおもしろい機械だ。
最近では扇風機やエアコンが幅をきかせだしたが、写真のような天井からつり下がったファンもまだ多くのところで残っている。
他にも今は誰も使うことのないマッサージ機などの不思議な機械など新鮮な発見ができ、昔を懐かしむだけでなく物の原点を改めて考えることができるのも銭湯の魅力の一つである。
