ビデオテープレコーダ   


DVとVHS
 昔は、DVテープというものがあって、デジタルデータで標準で最長270分という長時間録画できた。昔のビデオカメラの多くは40〜60分録画のminiDVカセットテープを使用しており、必要に応じてまとめて映像を記録保存していた。SONYは、DVテープレコーダーを販売しており、録画データのダビングやテレビの録画などもできた。
 特にノンリニア編集を始めようになると、DVテープのダビング機能が便利であり、DV&VHSダブルデッキをもつビデオレコーダ「ソニーWV-D700」を購入した。このデッキは、DVとVHSが混在するビデオ環境では、きわめて便利である。DVはデジタルであるため記録画像が劣化することもなく、高画質で長時間録画ができる。だから、エアチェックマスター機としても、とても重宝していた。しかし、酷使しているうちに時々誤動作を起こすようになり、だましだまし使っていたが、ついに平成20年、電源が入らなくなってしまいお釈迦となった。
 そして、DVデッキの利便性と標準DVテープの活用のために、WV-DR5を中古で購入した。ただ、このデッキはミニDVが使用できなかった。ミニDVは、ビデオカメラで使えるとしても、そろそろDVテープの活用も見直す時期なのかもしれないと考えるようになった。やがてこの機会にも寿命が来ると、もうDVビデオレコーダの使用は打ち切っている。しかたがない。SONYもコンシューマ向け生産を断念したのだから。ただ、ビデオカメラとしてはminiDV に加えminiDVCAMを使用するようになった。


録画といえばVHSビデオテープだった時代   S58〜       

 ビデオ録画の媒体といえば、ビデオテープだった時代がある。日本の各社は情報量の多いビデオ画像の記録のために様々な試行錯誤を繰り返して、やがてビデオテープの規格はVHS方式とβ方式の二つに絞られた。そうして社運をかけた血みどろの規格戦争となったのである。その結果はコンパクトで画像記録の面で優れていたβに傾きかけていたようで、放送機器に強いSONYの後押しで業務用の多くはβを採用していくようになったからだ。しかし、ここから伝説のVHS逆転劇が始まる。いろいろな意見はあるが、通説としては、ソフト業界を取り込み、次々とVHSビデオソフトの充実策を展開していくことで、一般人は一気にVHS機器購入に走ったのだ。一端方向が定まるとコンシューマ向けのビデオ規格はほとんどがVHSになった。そうして、当時の技術者には信じがたい「優れている方が負ける」ことがあるという伝説が生まれることになったようである。あの「技術のSONY」が、ハリウッド映画業界を取り組むソフトベタの戦略をとる業界になったのもこの時の教訓のせいなのだろう。
 さて、私がテレビ番組を録画しようと思い、ビデオデッキを最初に購入したのは、社会人になった年:昭和58年頃だったと思う。授業で使うために必要なものになりつつあったからだ。記憶によると、黒いPanasonic Maclordであった。次に、昭和60年頃に写真にある銀色のVictor HR-D15を購入した。本体のボタン部のバーがそのままはずれてリモコンになるという変わりものであり、これによりVHSダビングができるようになった。
 次に買ったのは、SONY SLV-F70。本体にもリモコンにも操作性の良いジョグ・シャトルのある操作性の良いデッキであった。これほどのジョグ・シャトルをなぜ今のソニーは継承しないのか。この後、ソニーのSLV-FX5を買ったが、使い勝手が悪い上に、トラブル続きなので、すぐに廃棄してしまった。このためソニー製品への信頼が薄らいでいった。
 反面、HR-D150は、その間も全く故障なしで長く動いていたので、その信頼のもと、次はビクターのHR-VX1とHR-VX11をほぼ同時に購入した。これらは当時ジョグ・シャトル付きの中堅機ということで購入したのだが、コマ送りに関してはかなりいい加減なもので、つなぎ目が不正確なのが不満であった。
 そこで、PanasonicのデッキNV-SV1を買い、これをエアチェックのマスター機とし、ビクターの2台とソニーのSLV-F70をダビング記録器としてしばらく使っていた。そして、その中で今も生き残ったのは、NV-SV1のみである。この機にはCMカット機能がついているので、民放のエアチェック用として重宝したからである。

 このあたりで、「ビデオ画像はDVDで残す」時代に突入することとなる。DVDはデジタルのため録画時の画像が劣化することはなく、ランダムアクセスで非接触のためにヘッドの機械的な摩耗もない。これだけ有利な点があればDVD-Rの価格が下がると一気にVHSが駆逐されることは目に見えていた。
 また、テープにはカビという致命的な弱点があった。多くの人は、残したいVHSテープ画像はDVDに録画し直す「DVD化作戦」を展開することになり、皮肉なことにVHS機は滅亡のために生き残ることになっている。わたしのDVD化も平成24年になっても遅々として進まず、未だにVHS機器を手放すことはできない。カビだらけのテープのためには、SONYのSLV-NX1(中身はサムスン産?)という安価なデッキも使っている。
 平成20年頃からは、DVD化作戦も本格化してきたので、業務用の本格デッキpanasonic AG-7150を購入した。今までとりためたVHSテープがなくなるまで、これら3つのデッキが活躍してくれることだろう。                 平成24年12月更新