コリドラス・ステルバイのページ


コリドラス・ステルバイとは?

 コリドラスステルバイとは、暗色ベースに淡い斑紋のある引き締まった体色に、オレンジのフィン(胸びれ)をもつ美しいコリドラスです。この胸びれを広げ、活発にホバリングし、水槽の下層から中層を元気に泳ぎ回り、日本ではかなり人気のあるコリドラスだと聞いています。さらに、何といっても丈夫なコリドラスなので、あまり神経を使わずとも毎日元気な姿を見せてくれます。

コリドラス・ステルバイへの道

 コリドラスの飼育は、最初は安価な青コリから始めた。赤や白は不自然な魚なので、次にはジュリーとステルバイを購入した。ジュリーは小さかったこともあり、なぜか、次々と昇天したのだが、ステルバイは元気で泳ぎ回っている。ということで、初のブリージングをも目的に購入を考えていたところ、バビロン松山店で安売り(1匹1200円)を見つけ、計8匹の成魚を平成10年2月に購入した。35cm水槽に入れてホバリングダンスを鑑賞しながら適当に世話をしていた。
そして、ある日1匹のチビコリが石の上にちょこんとのっているのを発見。いつの間にか繁殖していたことに気づく。1年〜2年はかかるかと思っていたので、俄然ブリージングに挑戦することとなる。

ブリージングへ

 まず、平成10年5月末に細かい砂をしいた60cm水槽に移転する。文献を見ると環境が変わったり水替えをすると、産卵すると書いてある。いつでもOKの万全の体制を整える。その5日後、水槽に点いたコケをとろうとした瞬間、水槽のガラスに80個ほどの卵がついているのを発見。よく見ないと気づかないほど小さくて透明な卵だ。最初の産卵発見は、熱帯魚を買っていて最もうれしい瞬間である。でも、こんなにあっけなく願いが叶ったので、なんか気が抜けたのも事実だ。でも、数が数だけにこれからが大変だった。もしかすると全部受精していない卵かもしれない。さっそく稚魚飼育箱を買いに行き、そこへ卵を丁寧に移す。

 3日でほとんどが無事孵化、一人でガッツポーズをとるが、容器の底の小さいすき間から次々と落下していたらしく、翌日には33匹になってしまっていた。.....がっくり
 次のテーマは以下に早く大きくさせるかであるが、そのための第一歩はブラインシュリンプをわかすことである。2〜3日でブラインシュリンプを食べ始め、おなかがオレンジ色に輝く稚魚を毎日眺めて楽しむ毎日が続いた。職場が近いため、昼食時には自宅に戻り、明かりに集まるブラインをスポイトでとってやる日々であった。自宅が海辺の集落なので、塩水の採取には便利である。
 でも「産卵は喜びである」時期はすぐに終わった。なぜなら、コリちゃんは堰を切ったように水替えをするごとに30個ほどの卵を次々と生んでくれるのである。尊厳ある生命を無視するわけにもいかない。同じ箱内にいれていたが、元気な先生まれのチビコリのパワーで孵化直後の稚魚は死んでしまうので、ついに60cm水槽を買い加え、箱ごとそちらに移動することとした。もとの水槽の水を半分使っての引っ越しなのでダメージはほとんどなかったようだ。

ついに悲劇が..

 しかし、仕事が忙しい時期にこの水槽の世話につきっきりとなっているうちに悲劇が起こった。多めに入れた新しい種類のエサが腐り、元の60cm水槽の水質が悪化していたのだった。週末に処理しようとほっておいたのが災いして、ある日の出勤前の朝、親ステルバイの1匹が昇天。仕事が終わって帰宅してみるとあっちこっちに死骸が...
 結局8匹+1匹のステルバイのうち5匹が死亡。グリーンFで水槽ごと薬浴したが、その後さらに1匹は水カビ病で対処のかいもなく1週間後死亡。最終的に3匹となる。さらに悲劇は続き、それまでコリドラスの悲劇を横目に元気に泳ぎ回っていたインペリアル・ゼブラ・プレコ1匹の白い肌になにやら血管が浮き出しているような?。そして次の日には4匹のゼブラが全滅したのだった。(当時は高価なプレコで、これもブリージングを目指していたのだが..)

 その後、残った3匹は産卵もしたが、どうもすべて孵化しないところを見ると、メスだけになったのかもしれない。それに産卵してもすぐに卵を食べてしまう。でも、その子孫は着々と育ち、悲劇の水槽に15〜20匹、職場の90cm水槽に20匹ほど、そして7匹ほど人にあげたものが、元気に生き続けていると聞く。そのうち繁殖できるようになるだろうが、近親交配の害を考え、定期的によそからも時々ステルバイを加えている。
 その後、最初に生まれた稚魚が今では購入時の大きさになって、自宅には60cm水槽1で30匹くらい、35cm水槽で6匹元気に泳ぎ回っている。産卵合戦のあの忙しさが遠い過去のような平和な日々が続いていたが、平成11年の初夏から水換えをする時に1ヶ月に1度くらい産卵している。だから、常に毎日のようにブラインシュリンプをわかす生活が続いている。

ステルバイの繁殖と飼育(まとめ)

 さて、コリドラス・ステルバイの産卵と幼魚の育成について、写真を見ながら簡単に説明してみよう。産卵は、産卵間近の雌が元気よく水槽の中層を左右に泳ぎ回ることに始まる。雄と雌の区別は、小さいときにはわかりにくいが、大きくなるとずんぐりした雌と、小振りで引き締まった雌はおおよそ区別ができる。次に雄が雌を追っかける(写真左端)ようになる。そして、写真左中のように数秒間「Tポジション」をとる。雄の精液を雌が口に含む作業である。次に雌は自分の腹びれの間に挟み込むように3〜4個の卵を生む。その卵に精液をエラからその卵に向けて吹き付ける受精させるようだ。受精卵はしっかりと腹びれに挟まれて、適度な場所を探し、ねばり気のある卵をこすりつけるようにして(写真右中)産み付ける。水槽では主にガラス壁だが、固い葉の水草に産み付けることもある。これを根気よく繰り返し、1匹が20〜50位の卵を一度に生むようだ。
 私はこの卵を丁寧に指でとって、産卵箱に移す。産卵箱はいろいろな試行錯誤の結果、市販されているNISSOの産卵箱を箱の部分だけ2つ60cm水槽に設置している。サイズのでかいチビコリは、生まれたての赤ちゃんコリをはじき飛ばして殺すからである。卵は十分な酸素の供給が必要であるというが、受精卵は特にそのままでもほとんど孵化している。(ただし4カ所の濾過部品設置穴は埋める必要がある。)孵化後、3日ほどでブラインシュリンプを食べるようになる。小さい間は、ブラインシュリンプで育て、ある程度の大きさになったらディスカスフード(なぜかステルバイは好んで食べる)を小さく砕いて人工餌に慣れさせ、そのうち各種の冷凍ミジンコやコリドラスフードに慣らしていく。1ヶ月ほどしたら十分自分で生きていける幼魚に育っている。
 最近では、ステルバイを死なすことはほとんどなくなった。水が悪くなったりすると、よく観るとステルバイの皮膚の表面に白い膜のようなもの観察できる。この時点で適度な水換えをすれば、ステルバイが調子を崩すところまで行くことはまずない。今日もステルバイは、必要以上に元気に泳ぎ回っている。