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大内 夏実 さん ・・・平成21年7月18日・・・後編

運命の7月18日。
緊張している気がする。前日までは
「スカリがチヌでいっぱいになっちゃったらどうしようかねー? ふふふ。」
などと軽口をとばしていたが、いざ、この時がきたらエリを正して先生の教えを待つ、というカンジ。なので、本日はTシャツではなくポロシャツを着て正装。

先生から4人分の道具が渡される。
「じゃ、とりあえず行ってくるから、練っとくか」
といってタライにあるヌカと土とサナギをまぜ、海水を入れろとの先生(高橋船頭)からの指示。ええーと、水くまなきゃ・・・どれぐらいヌカとまぜるの・・・?
などと戸惑っていたら、きっと常連さんであろうお兄様がたが、タライに水を汲んでくれたり、練り用のしゃもじをとってきてくれたりと親切にしてもらった。
今、思いおこせば、きっと皆さん先生に教わった方々で、当日の私の不安&緊張をひと目で理解して、親切にしてくださったんだと思う。なんてステキな常連さんたちなのだろう。

さて、第二陣の船に乗せてもらう。船で走ること5分程度、「大内さん、次、いくよ!」との声がかかり、イカダに到着。いつもより機敏な動きで荷物を降ろし、さぁ…!
というところで、高橋船頭、「ちょっとそのまま待っとって!!すぐ帰ってくるから!」
ほーい、ということで、ちょっと一息。
待てって言われたし、何にもすることないし。
んーっと…
と思っている間に同行の二人はクーラーボックスを開け、景気づけにプシュッとやっている。
(あ、我々は言わずとしれた、いわゆる飲んだくれです)
「ホントに釣れるかなぁ」
「教えた人は必ず釣れるって、先生ゆってたし」
「それでも釣れなかったりして…」
なんて言いながら待つことしばし。先生が帰ってきた。

「ダンゴ大きくまるめて、4つ、5つ。んで、細キューとまぶして」
最初の指示はコレ。
言われる通り、ハンドボールぐらいの大きさに3つ、4つと丸めていく。
「ここら辺にしようか、4人並ぶ?ふた手に分かれてもいいけど…」
「いえ、4人並びます!」
「じゃ、ここに全部落として」
ドボン、ドボン…と大きなダンゴを投げ入れる。さぁ、次は…!
何もしないで待っとくんですか??
“待て”ばかりで、よだれをたらしながら釣りたい気持ちを抑える4人。
「魚を集めることが大切。ダンゴにチヌが集まってくるまで待って、それから釣り始めないと。集まってくる前にダンゴ投げて釣りだしても、絶対釣れない」

なるほどなるほど。チヌ釣りに必要なことは、チヌを集めること。これですね。
そりゃ、そうですな。
姿が見えている金魚すくいでさえ、一匹を追うより、たくさん群がっているところを狙った方が確率あがるってもんです。

で、またまた待ち時間。
この間に仕掛けを整える。今回は道具も全て先生にお借りしたもの。リールは初めて使うタイプ。道具の扱い方から、針と糸をつなげる結び方まで教わる。
実は、ワタクシとSねぇは針と糸を結んだこともなかった(えへっ)。なので、初体験。
結構難しいと思っていたのに、簡単にしっかり結ぶことができた。さすが先生!
ぐーりぐーりと針に糸を巻きつける回数は人それぞれとの事。
ここで男子二人が
「ボク、7回」
「うわ、ボクも7回にしてる!」
…ラッキーセブンですか。なんだかちょっと古臭い縁起かつぎのような気がします。

さらに、エサについて新事実。
オキアミは、殻をむくんです!!これはちょっと驚きました。
でも、茶碗蒸しの中に殻のついたままのエビが入っていたら、ちょっと食べる気がなくなるもんね。あ、豪華幕の内弁当に入っている殻と頭付きのエビも食べるかどうか悩むなぁ。そうそう、本場タイのトムヤンクンに入っているエビは絶対殻付きで、もう手が汚れてうんざりだし…(もう殻付きエビの話はいいですね)。
チヌの気持ちになったらむいてあるエビの方が食べやすいわなぁ、と心の中で強く納得。

なんでも釣れる生ミック(練りエサ)とサナギの付け方も先生からレクチャーしてもらい、ひと通り下準備は終わり。
さすが“イチから教える”というだけあって、細かいトコロまでしっかり教えてくれる先生。頼りになります!

そして…!
いよいよ、竿を持って実技指導。まずは、先生がエサなしで竿を持ち、エアチヌ釣りを披露。
「しっかり穂先を見ること。前アタリがあったら、ゆっくり糸を送り込んで、本アタリがあったら一気に合わせる。」
「ダンゴが割れてもアタリがない場合はゆっくり穂先をあげて誘ってあげる。それでも無かったら、潮の流れに沿ってゆっくり糸をはわせて、送り込む。」
ふむふむ、なるほど。要は、チヌ君たちにおいで、おいでってするわけですね。こっちに美味しいもんあるよーって。

この頃になると、もう4人ともやってみたくてウズウズ。先生に教えてもらったとおり、送りこんで、はわせて、あわせて。頭の中ではもうチヌが釣れている。

「そろそろ時間経つから、やってみよか。」
次は実際にエサをつけて、お手本を見せてくれます。
ダンゴを左手だけで丸く整え、中に殻をむいたオキアミ。それをひしゃくに乗せ、ぽいっと落とす。
ダンゴが底に着いて、かなり穂先がしなる位置で竿を持つ。
「穂先はだいたいコレぐらい。で…、あ、今ダンゴ割れたな。」
ダンゴが割れるまで、おおよそ15秒から30秒くらいかな?
「穂先がしなっていた分だけ竿をおろして…ホラ、コレが前アタリ。で、送り込む…で次アタリが来たら…来たな!」
バッと右ウデを大きく上げてあわせる先生。全員の視線が先生の派手な動きに合わせ、右腕先の穂先へ。続いて我に返ったようにと水面へと移動。すると、釣れている!!
しなやかな穂先が大きく水面へ向かって弧を描き、その先には動きまわる魚がいるのがわかる。
「これは、チヌやな。」
といいながらゆっくり糸を巻いていくと、本当にチヌの魚影が。

えー! ええー!!
マジっすかー!?

先生が丁寧にタモでチヌをすくい上げ、
「まぁ、小さいけど。こんな感じや。」
そこには30cm弱のチヌ。まぎれもなくチヌ。今まで一回も見ることができなかったチヌが、目の前に。しかも、第一投で!
確かに目ん玉が10cmくらい飛び出た。間違いなく出た。
まるで日本で一番ナイスバディの超一流女優と三流、いや大目に見て二流の芸人が結婚したというニュースを聞いたぐらいの衝撃(ちょっとネタ古かったかな?)。

そんなショックを受けている我々を気にもせず、先生は次のダンゴを投入。
「これ、これが前アタリ。で、落とし込んでやると…」
次の瞬間、またもや先生が大リアクションであわせると、これまたイキの良さそうな魚が釣れている!
「あー、これはチャリコや〜」
先生が言うとおり、釣り上げたのは15cmぐらいのチャリコ。
またまたすぐさまダンゴを投入し、次は20cm弱のキビレを釣り上げた。
最初に出会った時より、確実に先生がカッコよく見える。もう、先生は雲の上の人、憧れの存在。みんなが先生を見る目はハートになっていたかもしれない…。いや、Sねぇの目からはハートビームがでていた。

「さ、やってみよか。」と先生。
いやいや、呆気にとられてウットリしている場合ではない。自分で釣り上げるためのレクチャーだったのだから!

4人が並ぶ。まず、エビの殻をむき、ダンゴをコネコネ、ぽいっ。
いつもとちがうリール、竿なので少々違和感があるが、ダンゴが底に着いたのがわかる。えーと、ダンゴが割れるのを待って・・・と思っていたら着いたと同時に割れてしまった。ありゃ、と思っていると
「え、何?これ、アタリかな…?」
小さな、小さな動き。でも確実に底でなにかがつついているカンジ。
「おくりこむ!」
先生の声。思わず、サッと竿をおろしてしまった。
「ゆっくり!」
とまた先生。そや、ゆっくりや。なんか、ワタシ、あせってる…。
「いくよ、次来たらあわせるよ。」と先生からアドバイス。
そこで、あれ、これかな?アタリってこれかな?もっと大きく動くかな?
と考えていたら先生が
「あー、もうエサとられてるな。きっと。あげてみ」
ということでゆっくり糸を巻き上げると、エビはついていない。

なんと繊細で微妙な駆け引き!
これがチヌ釣りか!と改めて実感。その駆け引きはまるで、お互いが好きだとわかっているのに、「ワタシ、○○君から好きだって言われたんだけど、どうしよう?」「どうしようって、お前が好きなら付き合えよ。」「え、付き合っちゃってもいいの?」「お前が決めたことならしょうがないよ、オレあきらめる」「あきらめるって…どういうこと?」「お前の気持ちはどうなんだよ?」みたいに、お互いに告白されるのを待つ二人の会話のよう。それぐらい敏感で繊細で巧妙で、裏の裏をかくような、可愛らしい顔をしながら頭の中はフル回転!みたいな(長くなりすぎた…)。

とにもかくにも、慣れなきゃ!お魚は確実にいる!!
と、ダンゴを投入。今度はいい感じに割れたが、前アタリから本アタリに行くまでに我慢が出来ず、早くあわせすぎ。これはなんだかちょっとはずかしい。
先生に見られてたかなー、とチラ見すると、先生はちがう竿を見ていたのでひと安心。
次々ダンゴを投入するも、アタリは確実にわかるんだけど、うまくあわせられない。
すると、同行のAべっちが密かに竿を大きくしならせているではないか!
確かに、彼は他人に一切興味がない極度の人見知りで自分のことだけ考えて生きている人だけど(事実)、4人並んで釣っているんだから「きたっ!」くらいは言ってもいいんじゃないの?と思ったけれど、それは置いといて、ずいぶん大きい魚を釣っている。
先生にタモですくってもらうと、40cmほどの大きなチヌ!!
「なかなかやるなー。Aべ君はセンスがいいな」
と言われる。へへっとちょっとだけ笑顔を見せたAべっち。

ワタシにはわかる。
彼は、今、金本が逆転満塁ホームランを打った時の阪神ファン並みに喜んでいることが。きっと彼は今夜ビールをたくさん飲んで酔っぱらってきただろう時に
「先生にセンスいいって誉められた」と自慢するであろう。
そして
「自分が一番最初でしかも大きいチヌを釣った」とも。

まぁ、そんなAべっちが早くもチヌを釣り上げたことで、ガゼンやる気に火がついたのは事実。いや、もうとっくに火はついているから、原子力発電なみのやる気になった。
全員が集中し、ダンゴを投げ、おくりこみ、はわせて、アタリをとる。確実にアタリはある。
「あー、ちょっと早かったな。」
「次きたら、あわせるよ」
「ほら、遅い!」
と先生の指導にも熱が入る。先生の指導は的確でとてもわかりやすい。すべて納得する。
それも、隣のSねぇが釣っている姿を見ていると、ものすごくよくわかるからだ。前あたりがあって、送りこんで、
「いけっ!!」と先生とワタクシが同時に言う。でも、Sねぇのあわせはちょっと遅いとエサは取られている。なるほど、人のフリ見てわがフリなおせ。Sねぇには迷いがあるのだな。

一時間ほど先生の指導のもと、キスやチャリコを釣ってはいたが本命は出ず。先生は「また戻ってくるから」と言い残し船で去ってしまった。
ちょっと、緊張が緩和。やっぱり、雲の上の人がそばにいると、普段より緊張感が増しているらしい。ふーっと大きく一息。

でも続けますよ!
先生がいなくても、声は聞こえてくるようです。ツンツンと微妙な前アタリがあって、次来たら行くよーっと心構えしていたら、ホントに来た!
先生並みに大きなリアクションであわせると、魚がついている!
あれ、でもヘンなカンジ??あれ?あれあれ??
と糸を巻いていると、お隣のSねぇの糸も同時に引っ張っている。
あらら、お祭りですね。
丁寧にたぐりよせたら、20センチほどのチヌがぴよーんと登場。一応、ワタシの針についているので、ワタシの釣果です。初チヌです。でも、ちょっとうれしくない初体験です。
ま、釣れたことには変わりないし…と記念すべき初チヌなのに、写真も撮らずにスカリへぽいっ。

そうこうしていたら、集中して釣っていた志Dさんの竿にしなりが!
志Dさんは、九州にいる親父さんも釣り好きという親子釣り師。「海に背を向けるな」というありがたい教えをいただき、釣行のたびに親父さんとメールでやり取りしている。もうチヌが釣りたくて釣りたくて、誰よりも研究しているのに釣れない熱心で残念でもある人だ。
そんな彼の竿がしなっている!
釣り上げると25cmほどの、まぎれもなくチヌではないですか!
もう、うれしそうでうれしそうで。
志Dさんは「初チヌ〜。感動〜。かなりうれしい〜。」を連発。
機嫌良しなこと、この上ナシなカンジです。

そうでしょう、そうでしょう。今まで全く釣れなかったのに、先生の指導を受けたらすぐ釣れたんですよ。みんな。まるで、先生に魔法をかけられたようですね(ちょいメルヘン)。
その後、志Dさんが30cm弱のキビレを釣るも、チャリコや大きなキス、アジなど本命にめぐり合わない。すると、アタリが少なくなってきた。
あっと言う間に時間は10時を過ぎている。

先生が戻ってきてくれた。
「釣れた?」
「釣れました!」
初めての肯定的な返事。聞かれるのも答えるのもうれしい。
「でも、アタリがなくなってきて…」
「ちょっと貸して」(と先生が竿を持つ)
「…あー、潮が流れてないな。もう一回、ダンゴを落として、待ってみよか」
ということで、
またもやハンドボール大の大きなダンゴをつくり、ドボンドボンと落とす。
「まぁ、また、少し待って」
と先生。

その間、ゴハンを食べながら、先生と雑談を。先生がなぜ船頭さんになったか、船頭になる前はどんな仕事をしていたかなどネホリハホリ。すると、先生が
「人生、誰と出会ってどうなるかわからんな。」
とポツリ。全く、その通りでございます。
先生にご教授いただくことになりましたのも何かのご縁。今後とも宜しくお願いします、と心の中でつぶやきました。

さて、後半戦です。
アタリをとる、あわせる。このカンがつかめてきて、上手くあわせるも針が取れたり、糸が切れたり。先生が見回ってきては
「サマになってきたな〜。」
と誉めてくれるものの、チャリコやキスばかりで本命はあがらぬまま、時間が経ちます。日差しもきつくなり、体感温度は30度以上。
夏の釣りは暑さとの戦いでもありますね。
ということで、帰る時間は1時にする?2時にする?なんて相談していると、ワタシの竿にアタリが!うまいことあわせることができ、うまいこと釣り上げることができました!30cmぐらいの本命・チヌです!
ひゃっほー!!やったー!!
針をはずして、写真を撮ろう、えーっと、まず、チヌを撮って、んで、チヌとワタシも撮って…って、誰も撮ってくれない!!無視ですかー!!
「写真、撮って〜」とお願いしても、暑いのと集中して穂先見ているのとで、皆さん動きが鈍い。しょうがないから携帯カメラをインカメラにして、自ら撮影してみるが、片手に携帯、片手に元気なチヌではうまくいかず。しょうがないな、と重い腰を上げてSねぇが撮ってくれたものの、実は保存されていませんでした…。

ということで、結局これが最後の釣果となり、4人で7匹のチヌ。その他、キスやアジなど。そりゃ、もう、大満足ですよ。
だって、初めてですよ、あんなに竿がしなって、お魚が釣れたの。
先生に教えてもらった人は本当に釣れるんですね。
今回の釣行で全員が心に強く思いました。“慣れるより習え”ってね。
大先生の教えを忘れず、体が覚えているウチにまた堂浦で糸を垂らしたいと思っています。

次は10匹釣れるかな?
えへっ!

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