ハクビシン(白鼻芯)



 ハクビシンというのは、もともと日本に生息しない生き物だそうである。輸入されてきて、そのまま、野生化したものらしい。タヌキに似た風体だが、尻尾が長く、ジャコウネコ科の動物だそうである。鼻筋が白いのでハクビというらしい。シンはよく分からない。なかなか器用なやつで、西土佐村のイチゴ農家の人が、夜間にハウス内に忍び込んできて、一個一個のイチゴをひょいぱく、ひょいぱくと食べて去っていくハクビシンに怒っていた話を聞いたことがある。飼うと結構、人になつくらしく、珍獣マニアの間で取り引きされたりしていることもあるらしい。
 さて、ネコひっかき病という病気がある。ネコに引っかかれた傷からネコに居る特殊な菌が入って、その後、壊死性リンパ節炎を来す珍しい病気である。平成12年、リンパ節腫脹の患者さんが来院され、初診でM崎医師が担当した。いろいろ検査をしても確定診断がつかず、皮膚を切開しリンパ節を直接調べてみたところ、壊死性リンパ節炎と診断された。ネコひっかき病に特異的な血液検査をさせていただいたところ、陽性に出た。この患者さんはネコは飼ってないが、ハクビシンをペットとして飼っていた。リンパ節の腫れる暫く前に、このハクビシンに引っかかれたことがあるとのことである。ということで、世界初?のハクビシンによるネコひっかき病という診断がされたのである。
 この検査は保険が利かず、アメリカまで血液を送る必要がある。医局費でこのこの1万円以上する検査料を負担する代わりに、M崎医師は、論文で症例報告をするノルマを課せられたのである。右の写真は、論文にするために犯人の写真として撮影されたものである。みんなこいつが悪いんじゃ。

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